それなりに怖い話。

只野誠

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なるかいだん

なるかいだん

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 ギィギィと鳴る階段がある。
 古い家の急な階段だ。
 仕方がないところもある。

 その日、少女はそんな家の二階で暇をつぶしていた。
 エアコンもない部屋で、扇風機の前を陣取って床に転がり、両親が帰宅するのを待っていた。

 窓から生暖かい風が吹き込んでくる。
 いつの間にか寝ていた少女は目を覚ます。
 ギィギィと音を鳴らして誰かが階段を上がって来ていたからだ。

 少女は時計を見る。
 まだ夕方だ。
 なら母親が帰って来たのだろう、そう思って母の名を呼ぶ。
 そうすると返事はない。
 だが、階段を登る音は聞こえて来る。

 少女は起き上がり開けっぱなしのドアから廊下越しに階段を見る。
 そこには誰もいない。
 だが、誰かがすぐそこにいるように、階段は軋んだ音を発する。
 もう階段を登り切るかのような音だ。

 少女は嫌なものを感じ部屋のドアを閉めて鍵をかけた。

 その瞬間、廊下をダダダッと走る音がして、なにかが少女の部屋のドアの前に立つ。
 そして、鍵のかかったドアをガタガタガタガタと鳴らし始める。

 少女は、誰? 誰かいるの? と、ドアに向かい叫ぶが返ってこなかった。
 ドアはガタガタと揺らされている。
 少女はドアに鍵をかけたまま、窓からベランダに出て隣の部屋へ行く。
 こっそりとその部屋のドアを開けて、自分の部屋のドアを覗き見る。

 そこには誰もいない。

 それなのに今も自分の部屋のドアはガタガタガタと鳴っているのだ。
 少女は怖くなり今いる部屋のドアも静かに閉じて鍵をかける。

 そして、母親に電話をかけて助けを求める。
 母親はすぐ帰るから、と返事をし、念のため仏壇のある部屋に居なさい、と少女に言う。
 今いる部屋こそ、仏壇のある部屋だ。

 少女は仏壇に線香をあげ、おりんをチーンと鳴らした。
 そうすると、少女の部屋のガタガタとドアを揺らす音はピタリと止まった。

 それからしばらくして、少女の母親が帰ってくる。
 少女は母親に報告すると、母親はきょとんとした顔をして、そんな電話受けてないわよ、と少女に言ったのだった。
 それからというもの、少女は自ら進んで毎日仏壇に線香をあげ、供え物もするようになった。






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