女子大生の魔女裁判 第二審 ー生け花パクパク殺人事件ー

八木山

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2巡目 ゆかり→かいり 「ボタン」

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*:
皆さんは、猿が棒を一心不乱に何もない場所に向かって振り下ろすのを見たことはないだろうか。
あるいは、無表情なカードゲーマーが手札をパチパチと擦るのを見たことはないだろうか。
あなたがペンを回す時の無表情を、誰かが見ていると気付いたことはあるだろうか。

ゆかり:
うーん、反応ないね

*:
かいりは、手に持ったボタンを押しながら、別荘中を歩き回っていた。
それを少し離れたところで、他の4人が追いかける。
カチッ、カチッと押し込んでは戻してを繰り返し、を確認していく。

かいり:
これで一通り見回りましたけど、何も反応しないでしょう?

ゆかり:
何か、押し方に問題があるのかも

ひかり:
やめようよ、もう
これ、再現性ないって

かいり:
そうですよ、やめましょう

ほとり:
自分で言うのは違くないッスか、お姉様

*:
ゆかりがかいりの部屋で見つけたのは、、すでに押し込まれているアンテナのついたボタンだった。
もう一度押すと押し込みは戻るが、再び押しても何も起きない、用途不明のボタン。
部屋が悪いのではないか。そう誰かが言い出した。
かいりは手に持ったボタンを押しては戻してを繰り返しながら、別荘を行脚する羽目になったのである。
なお結果は、見事に空振りであった。

ほとり:
ウチもこんなボタン見たことないッスよ

かいり:
そりゃあ、ジョークグッズですからね
別に隠し部屋が現れるとか、毒針が壁から出て来るなんてことないですよ

ひかり:
別荘に行こうと言い出したかいりがそんなボタンを持っていて、しかもそれを一度は押しているって事実は、正直見逃せない
少なくとも押すだけで何も起きないボタンとは私は思えないんだよね~

かいり:
いやいや、梱包材のプチプチを無限に潰すやつとかハンドスピナーとかの類ですって
これのおかげで火災報知機を押さないで済んでるんですよね、自分

ゆかり:
それに、コイツはぽかりが死んだことで保険金を手に入れられる、つまり既に得している立場なんだ
そのボタンが彼女を殺す異能を持っていてもおかしくないよね

ひかり:
解体して電子基盤を見る?
私はできないけど

ほとり:
この中にそんなことできる人いないんじゃないッスか?
そもそもネジ穴とかも見当たらないし

ひかり:
ぽかりはひも状のもので首を絞められていた
そして、花を周囲に散らされ、口からも生やしていた
ぽかりとあかりの部屋の掛け軸の絵は変わっている
・・・今時点で確定している事実はこれだけあるの
そのボタンは一つも関係がないって言える?

かいり:
ええ、言えますよ
何故ならこのボタンが私の部屋で見つかったこと自体がそれを裏付けています

ゆかり:
頭よさそうなこと言うねぇ
続き聞こうか

かいり:
仮にこのボタンが天井から寝ている人間の首めがけて降りてきて器用に絞め殺し、そしてそれは一度使ったら再現できない、としましょうか
だったら、このボタンを自分で持っている必要はない、むしろぽかりの部屋に捨てておけばいいんですよ
ボタンそのものでトリックが再現できるわけでもなければ、誰が押したかもわからないんですから

ひかり:
・・・それでもあえて自分で持っていたということ自体が、このボタンの潔白性を証明するってことかー
事件と関係ないからあえて言わなかった、と

かいり:
そう言うことです
それに隠しておいて後から証拠隠滅しようにも、こうも電子機器では目立ちますからね
手紙や書類を処分するのとはわけが違います
つまり、このボタンは事件と無関係なのです!

ゆかり:
なんか今日のかいりはやけに賢いな・・・
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