女子大生の魔女裁判 第二審 ー生け花パクパク殺人事件ー

八木山

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3巡目 ゆかり→かいり 「黒い瓶」

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ゆかり:
あの、これ・・・

*:
ゆかりが手にしていたのは、黒い色のせいで中身の見えない、小さな瓶だった。
それを目にしたとたん、かいりは野獣のようにとびかかると、瓶をひったくり両手で包み隠した。
それまで飄々としていたかいりの姿からは考えられない、機敏な動きと、額に浮かぶ油のような汗。
だからこそ、その瓶が彼女にとって知られたくなかったものなのだと、その場の全員が感じ取るのは容易だった。

かいり:
これは・・・その・・・ど、毒薬だ
無味無臭の・・・匂いを嗅いでも危険なレベルの強力なやつだ!
だから、蓋を開けるなんてこと、しない方が身のためだぜ?

ゆかり:
毒薬・・・?

ひかり:
何でそんなものを持ってきたの?
いやこう聞こうか、誰に使う予定だったの?

かいり:
コレは・・・断じて、ぽかりに使おうなんて思ってない!

ほとり:
でも彼女の保険金目当てに殺害するという、動機はありますよね?

かいり:
い、いや、そうなの・・・か?
そ、そうかも!実は自分が

ひかり:
ほとり、それだとおかしいんだよ
死因は絞殺、つまり毒薬の出る幕なんてない
儀式に使うにも、毒を使って生き血を流すなんてそうそうできない
仮に凶器と動機が揃っても、それが死因や状況と矛盾するなら、やっぱりかいりは犯人じゃないと思う

あかり:
にしちゃあ、ずいぶんな焦りようだけどな
怒らないから言ってみろよ
それ、誰に飲ませる予定だったんだ?

かいり:
じ、自分で飲むため・・・です・・・

ほとり:
お姉様!?
どうして・・・自殺しようとしたんですか!?

かいり:
そうです、借金が嫌になって・・・

ゆかり:
ほとり、従妹から見た明戸院家っていうのは、彫像の男性器を壊しただけで娘を死に追い込むような家なのか?

ほとり:
それが、そんなことないと思うんス
泣いて謝れば許してくれると思いますし、借金も一時的に罰として課しているだけで本気で取り立てしに来るかと言えばそんなことないッスね、多分

かいり:
よそはよそ、うちはうちだったってだけですよ
従妹に見せているのは菩薩の顔で、自分に見せてるのは閻魔の顔なんです

ゆかり:
じゃあ、やっぱりぽかりの保険金目当てだったか

かいり:
そ、そういうことになりますね

ひかり:
いや、なんかおかしいな
だとしたらなんで自分の別荘で殺そうとしたんだろう
私たちが揃っている、つまり容疑者候補がほかにもいる環境がベターとしてもだよ?
自分の実家が持ってる別荘を現場に選べば、絶対疑われやすくなるじゃん
まだ適当なホテルや旅館で殺す方がマシだと思うんだけど

かいり:
えぇ・・・?そ、そう・・・?

あかり:
それを言い出したら、別荘に来ている以上最初からほとりとかいりは容疑者から外すべきだったってことになるよな?
でもふたを開けてみたらほとりの馬鹿は祠を壊してたわけで
かいりが何もしていない理由にはならないだろ

ゆかり:
じゃあこういうのはどう?
かいりは僕のことが好きで、ぽかりが邪魔だった

ほとり:
あんたはそれしか言えないんですか?

ゆかり:
・・・ガーンだな

かいり:
いや、実はそうなんです

ゆかり:
本人はこう言ってるけど?

ひかり:
・・・こうは考えられないか?
やっぱりその毒を飲む予定だったのはかいり自身だったんだ
目的は、借金を連帯保証人であるぽかりへと移すことだった
あるいは、自分を殺した罪も誰かにかぶせるつもりだったのかもしれない
とにかく、「自分の別荘で自分が死ぬ」と言うシチュエーションは、それに適していた

あかり:
自分は死ぬが、ぽかりは多額の借金を抱えることになる
それこそがゆかりを奪ったぽかりへの嫉妬ゆえの犯行・・・ってこと!?

かいり:
多分そうです

ほとり::
多分違いますよこれ
ほんとは毒薬じゃないんじゃないスか?

ゆかり:
誰かの汗とか?

ひかり:
まあ、考えてもどうしようもないよ
少なくともかいりの持っている毒だけじゃ、ぽかりの殺害は不可能だ
まずは犯人を探そうじゃないか
それが「かるみあ様」なのか「愚行法師」なのかは、この際どうでもいい

かいり:
そ、そうですよね
じゃあ、自分が失礼して・・・
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