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第1章
3︰有名配信者【天見アヤメ】
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★★天見アヤメ視点★★
広がる森林、穏やかに水が流れる小川に不自然に存在する大岩。
そんな世界に優しく差し込んでくる光が私の身体を包み込む。
ここは駆け出し探索者がよく利用する【ひだまり迷宮】の中心地。
とても穏やかな光景が広がっており、ほとんどのモンスターが私ですら一撃で倒せてしまうほど弱い。
まさに配信にうってつけの場所ってところね。
ということで私はいつものように衣装の確認をする。
もちろん、このひだまり迷宮で迷宮配信をするため。
本日は魔女っ娘風にしたもの。トンガリ帽子にゴスロリ風ドレスを着ただけという言葉にすればシンプルなデザイン。
でも、このままじゃインパクトが足りないから衣装は白を基調にしたんだ。
私好みの衣装に仕上げられたし、これで目立つこと間違いなし!
あとは配信用カメラを設置しているドローンを起動させれば準備万端!
『ちょっとアヤメ。その衣装は何?』
私がドローンの準備をしていると白猫バニラが声をかけてきた。
なんだか不思議そうな顔をして見上げている。
まあ、今回の衣装は私が一人で判断して持ち込んだから仕方ないかもね。
「魔女っ娘だよ。ほら、私これでも魔法が得意だし。それによくお金を落としてくれるパパはこういうのが好きでしょ?」
『好きかどうかはわからないけど、魔女なのに白いってどういうことなの? それは魔女とはいわない気がするけど』
「いろんな色の魔女がいてもいいじゃない。それに陰湿なのは嫌いだし。あ、ちなみに白にしたのはバニラに合わせたからだよ」
私がそう言い放つとバニラはちょっとだけ嬉しそうに『フフッ』と笑った。
でも恥ずかしかったのか、すぐにその笑顔を隠し誤魔化すようにこんな指摘をする。
『魔女は基本的に黒いものよ。それより、ちゃんと課題はこなしたの? 言っておくけどあなたが通い始めた大学の出し物は私じゃわからないからね』
「大丈夫、全部やったから! たぶん、間違ってもないはずだよ!」
私がそう告げるとバニラは興味なさげに『ふぅーん』って返事をし、前足を使って顔の毛づくろいをし始めた。
いつものように全身をペロペロとしつつ、身体を綺麗にしていく。
うん、まさに猫だ。
でも、いつも一緒にいるけどバニラは不思議な猫だなぁー。
だって、猫なのに喋るんだもん。
迷宮のことに詳しいし、それに魔法だって使えるし。
そういえば、バニラは『この世界の住人じゃない』とか言ってた気がする。
じゃあもしかして、あの碑石に返事をしてくれる子のところからやってきたのかな?
それならいろいろと知ってそう。
私はそんなことを考えつつ、ようやく配信用ドローンの起動準備を終える。
あとは、右目にかけたモノクル型端末を使って起動すればよしっと。
右目にかけたモノクルに表示される【配信開始】を見つめる。
途端にドローンが飛び上がり、いい高さで私達にカメラを向け始めた。
私はもうカメラが回っていると認識し、配信画面の向こう側にいるみんなに挨拶をする。
「みんなぁー、おっはよー! 今日はいつもより早めに天見アヤメの迷宮配信を初めちゃうよぉー!」
「うにゃー」
カメラに向かって私とバニラが言葉をかけると、途端にモノクルに配信コメントが表示された。
〈待ってたぜ!〉
〈待機してた〉
〈おはおは~〉
〈今日はやい〉
〈アヤメ、おっはー〉
〈アヤメちゃんねるはじまた〉
〈今日はお早いですね本日はなにをしようとしているのですかああ本日もおうつくしい ああその白く美しい髪の輝きが目にしみる 本日は一段とかわいい顔をしてるよアヤメちゃん〉
うん、今日もみんな元気そう。
古参リスナーの変態紳士さんもいるし、というかこの人のテンション昔から変わらないなぁー。
まあ、それは置いておいて。
今日の目的をみんなに伝えちゃおう。
「今日は駆け出し探索者御用達の【ひだまり迷宮】に来ましたぁー」
「にゃー」
〈ひだまり迷宮?〉
〈アヤメ今日もかわいいー!〉
〈魔女だ! いや魔女っ娘だ!〉
〈真っ白な魔女っ娘!!!〉
〈ああアヤメ今日もなんて美しいんだよかったらあとでデートしてくれそしてその額にキスをさせてほしいなんなら私の背中を踏んづけて〉
〈変態紳士が暴走しているw〉
〈こいつしばらくミュートwww〉
〈おい誰か変態紳士を拘束しろwww〉
〈おまわりさんあいつですw〉
〈ふっだれが私をとめられるか私のアヤメに対する愛は無限大とめられるものなど うわっなにをするやめっ ぬわーーーーー!wwwww〉
「変態紳士さん捕まっちゃった。私、あなたのことを忘れないからね!」
〈まだだ、まだおわらんよ! 私は不死鳥のごとくよみがえる! たとえこの肉体が滅びようともぉぉぉぉぉ〉
〈無期懲役です〉
〈おぉぉぉぉぉ!!!(血涙)〉
変態紳士さんのおかげでみんなが笑っている。
でも変態紳士さんのせいで話が脱線しちゃったよ。
まあ、ひとまずここで軌道修正をかけよう。
「えっとね、本日はこの迷宮でまだ見つかっていないレアアイテムを探しに来たの」
〈レアアイテム?〉
〈見つかってないのあるんだ〉
〈アヤメちゃん今日もかわいい〉
〈変態紳士が脱走したぞ 囲め囲め!〉
「そのレアアイテム、どんな存在なのか一切情報がないんだ。だから今日の配信はそのレアアイテムの第一発見者になろうって企画なの!」
〈おおおおお〉
〈アヤメ探検隊じゃん〉
〈歴史的発見に立ちあえる〉
〈真っ白魔女っ娘の大冒険だ〉
〈アヤメ危険を冒さないで君は一輪の花で私の希望だから美しいままの君でいてほしいああこの感情をなんと表現すればいいだろうかそうだスパ爆茶を投げよう〉
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
〈おいいいいいwww〉
〈やりやがったな変態紳士wwwww」
〈財力なら任せろ〉
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
〈マジかよ〉
〈おまどんだけ金持ってんのw〉
〈ふっこれでもお金持ちなんでね〉
〈あああああ ぼくちん欲しいゲーミングPCがあるのパパ買ってw〉
〈頑張って貯金して買いたまえwww〉
〈おのれ変態紳士ぃぃぃぃぃ!!!〉
うん、さすが変態紳士さんすごいな。
二十五万円も投げてくれたし、今日も大儲け。
でもあとで、話の進行の邪魔をしすぎないように注意しないとね。
「今後の活動資金に使わせてもらうね、変態紳士さん。あ、あと後で体育館裏に来てねぇー」
「シャーッ」
〈変態紳士ぃぃぃぃぃwww〉
〈おまえ説教されるぞw〉
〈そんな怒られるようなことは たくさんある〉
〈あるじゃねーかww〉
さて、ひとまず迷宮の奥へ進もうかな。
それにしても、見つかっていないレアアイテムか。
一体どんなものなんだろう。
そんなことを考えながら私はレアアイテム探しを始める。
本当の目的は違うけど、まあこれは配信でやることじゃない。
とにかくみんなが楽しんでくれるように頑張らなくちゃ。
「ふへへっ、見ーつけた。たまたま見かけたから追いかけてきたけど、まさかこんなところで配信をするなんて。へへへっ、僕が有名になるのを手伝ってもらうよアヤメちゃーん」
だけど、そんな楽しい時間に水を差す奴がすぐ近くにいた。
物陰に隠れていたせいでそいつに気づかなかったけど、私はすぐにそいつと対峙することになる。
そのことに私はまだこの時、気づいていなかった。
広がる森林、穏やかに水が流れる小川に不自然に存在する大岩。
そんな世界に優しく差し込んでくる光が私の身体を包み込む。
ここは駆け出し探索者がよく利用する【ひだまり迷宮】の中心地。
とても穏やかな光景が広がっており、ほとんどのモンスターが私ですら一撃で倒せてしまうほど弱い。
まさに配信にうってつけの場所ってところね。
ということで私はいつものように衣装の確認をする。
もちろん、このひだまり迷宮で迷宮配信をするため。
本日は魔女っ娘風にしたもの。トンガリ帽子にゴスロリ風ドレスを着ただけという言葉にすればシンプルなデザイン。
でも、このままじゃインパクトが足りないから衣装は白を基調にしたんだ。
私好みの衣装に仕上げられたし、これで目立つこと間違いなし!
あとは配信用カメラを設置しているドローンを起動させれば準備万端!
『ちょっとアヤメ。その衣装は何?』
私がドローンの準備をしていると白猫バニラが声をかけてきた。
なんだか不思議そうな顔をして見上げている。
まあ、今回の衣装は私が一人で判断して持ち込んだから仕方ないかもね。
「魔女っ娘だよ。ほら、私これでも魔法が得意だし。それによくお金を落としてくれるパパはこういうのが好きでしょ?」
『好きかどうかはわからないけど、魔女なのに白いってどういうことなの? それは魔女とはいわない気がするけど』
「いろんな色の魔女がいてもいいじゃない。それに陰湿なのは嫌いだし。あ、ちなみに白にしたのはバニラに合わせたからだよ」
私がそう言い放つとバニラはちょっとだけ嬉しそうに『フフッ』と笑った。
でも恥ずかしかったのか、すぐにその笑顔を隠し誤魔化すようにこんな指摘をする。
『魔女は基本的に黒いものよ。それより、ちゃんと課題はこなしたの? 言っておくけどあなたが通い始めた大学の出し物は私じゃわからないからね』
「大丈夫、全部やったから! たぶん、間違ってもないはずだよ!」
私がそう告げるとバニラは興味なさげに『ふぅーん』って返事をし、前足を使って顔の毛づくろいをし始めた。
いつものように全身をペロペロとしつつ、身体を綺麗にしていく。
うん、まさに猫だ。
でも、いつも一緒にいるけどバニラは不思議な猫だなぁー。
だって、猫なのに喋るんだもん。
迷宮のことに詳しいし、それに魔法だって使えるし。
そういえば、バニラは『この世界の住人じゃない』とか言ってた気がする。
じゃあもしかして、あの碑石に返事をしてくれる子のところからやってきたのかな?
それならいろいろと知ってそう。
私はそんなことを考えつつ、ようやく配信用ドローンの起動準備を終える。
あとは、右目にかけたモノクル型端末を使って起動すればよしっと。
右目にかけたモノクルに表示される【配信開始】を見つめる。
途端にドローンが飛び上がり、いい高さで私達にカメラを向け始めた。
私はもうカメラが回っていると認識し、配信画面の向こう側にいるみんなに挨拶をする。
「みんなぁー、おっはよー! 今日はいつもより早めに天見アヤメの迷宮配信を初めちゃうよぉー!」
「うにゃー」
カメラに向かって私とバニラが言葉をかけると、途端にモノクルに配信コメントが表示された。
〈待ってたぜ!〉
〈待機してた〉
〈おはおは~〉
〈今日はやい〉
〈アヤメ、おっはー〉
〈アヤメちゃんねるはじまた〉
〈今日はお早いですね本日はなにをしようとしているのですかああ本日もおうつくしい ああその白く美しい髪の輝きが目にしみる 本日は一段とかわいい顔をしてるよアヤメちゃん〉
うん、今日もみんな元気そう。
古参リスナーの変態紳士さんもいるし、というかこの人のテンション昔から変わらないなぁー。
まあ、それは置いておいて。
今日の目的をみんなに伝えちゃおう。
「今日は駆け出し探索者御用達の【ひだまり迷宮】に来ましたぁー」
「にゃー」
〈ひだまり迷宮?〉
〈アヤメ今日もかわいいー!〉
〈魔女だ! いや魔女っ娘だ!〉
〈真っ白な魔女っ娘!!!〉
〈ああアヤメ今日もなんて美しいんだよかったらあとでデートしてくれそしてその額にキスをさせてほしいなんなら私の背中を踏んづけて〉
〈変態紳士が暴走しているw〉
〈こいつしばらくミュートwww〉
〈おい誰か変態紳士を拘束しろwww〉
〈おまわりさんあいつですw〉
〈ふっだれが私をとめられるか私のアヤメに対する愛は無限大とめられるものなど うわっなにをするやめっ ぬわーーーーー!wwwww〉
「変態紳士さん捕まっちゃった。私、あなたのことを忘れないからね!」
〈まだだ、まだおわらんよ! 私は不死鳥のごとくよみがえる! たとえこの肉体が滅びようともぉぉぉぉぉ〉
〈無期懲役です〉
〈おぉぉぉぉぉ!!!(血涙)〉
変態紳士さんのおかげでみんなが笑っている。
でも変態紳士さんのせいで話が脱線しちゃったよ。
まあ、ひとまずここで軌道修正をかけよう。
「えっとね、本日はこの迷宮でまだ見つかっていないレアアイテムを探しに来たの」
〈レアアイテム?〉
〈見つかってないのあるんだ〉
〈アヤメちゃん今日もかわいい〉
〈変態紳士が脱走したぞ 囲め囲め!〉
「そのレアアイテム、どんな存在なのか一切情報がないんだ。だから今日の配信はそのレアアイテムの第一発見者になろうって企画なの!」
〈おおおおお〉
〈アヤメ探検隊じゃん〉
〈歴史的発見に立ちあえる〉
〈真っ白魔女っ娘の大冒険だ〉
〈アヤメ危険を冒さないで君は一輪の花で私の希望だから美しいままの君でいてほしいああこの感情をなんと表現すればいいだろうかそうだスパ爆茶を投げよう〉
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
〈おいいいいいwww〉
〈やりやがったな変態紳士wwwww」
〈財力なら任せろ〉
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
【スーパー爆茶 ¥50000 が投げられました】
〈マジかよ〉
〈おまどんだけ金持ってんのw〉
〈ふっこれでもお金持ちなんでね〉
〈あああああ ぼくちん欲しいゲーミングPCがあるのパパ買ってw〉
〈頑張って貯金して買いたまえwww〉
〈おのれ変態紳士ぃぃぃぃぃ!!!〉
うん、さすが変態紳士さんすごいな。
二十五万円も投げてくれたし、今日も大儲け。
でもあとで、話の進行の邪魔をしすぎないように注意しないとね。
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「シャーッ」
〈変態紳士ぃぃぃぃぃwww〉
〈おまえ説教されるぞw〉
〈そんな怒られるようなことは たくさんある〉
〈あるじゃねーかww〉
さて、ひとまず迷宮の奥へ進もうかな。
それにしても、見つかっていないレアアイテムか。
一体どんなものなんだろう。
そんなことを考えながら私はレアアイテム探しを始める。
本当の目的は違うけど、まあこれは配信でやることじゃない。
とにかくみんなが楽しんでくれるように頑張らなくちゃ。
「ふへへっ、見ーつけた。たまたま見かけたから追いかけてきたけど、まさかこんなところで配信をするなんて。へへへっ、僕が有名になるのを手伝ってもらうよアヤメちゃーん」
だけど、そんな楽しい時間に水を差す奴がすぐ近くにいた。
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そのことに私はまだこの時、気づいていなかった。
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