婚約者を見限った令嬢は、1年前からやり直す。

伊月 慧

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6,意味が分からない

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 帰ると嘘をついて何とかルイスを振り切り、カインの部屋へと向かう。

「カイン様」

 カイン付きの侍女が変な顔をしていたけれど、気にせずに声をかける。

「ヒューリア!」

 嬉しそうな彼の顔を見て、こちらも普通に笑ってしまった。




「カイン様、失礼ながらお聞きします」

 礼儀正しく言うと、カインが笑う。

「君がそんなに畏まると、まるで私が威張っているようだ。いつものように話してくれ」

 まぁ、そうですわよね。

「ではカイン様。お聞きしますが、カイン様は何故戻られたのですか。目が覚めたらーー…?」
「あぁ、そうだ。僕も君の跡を追うように死んだんだ」
「ーーはい?」

 ちょっと(いや、だいぶ)意味が分からない。

「何故…」
「塔から落ちたんだ。君が自殺したその景色を眺めようとしたら、足が滑ってね」

 ははっと笑いながら話すカインにドン引いてしまう。

「カイン様、それで目が覚めたら戻っていたと…?」
「あぁ。だけどお陰でよかったよ、戻って。きっと神様がヒューリアを救うためにくれた手立てだと思っていたけれど、肝心のヒューリアも戻っているんだ」

 あぁ、話が早くて助かる。

「そうですか。では、急ですが……私の頼みを聞いてはいただけますか?」
「頼み?」
「えぇ。私も人間ですので、もう二度と死ぬなんて怖いことはしたくないのです。けれどこのままいても、また自殺の原因が来るのを待つだけですので」
「私に出来ることならば、なんでも」

 簡単なことですわ、と笑う。

「カイン様にこんなことを頼むのも何ですが、私とルイス様の婚約を解消して頂きたいの。いえ、もちろん今ではないわよ?
ーー時を待って、それから…あなたが王になるまでの間、私と婚約してちょうだい」

 その言葉に、カインは息を飲んだ。

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