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7,大切なのは、その事実。
しおりを挟む「それまた、何故?」
カインが苦笑しながら尋ねてくる。
「ヒューリア、君はルイスを愛していただろう。…誰も入る隙がないくらい」
「えぇ、愛していましたわ。ですから裏切られたときの憎しみは忘れません」
「裏切られた?」
「ルイス様は私と婚約しておりながら、どこぞの令嬢と手を繋いで歩いておられました。私を呼ぶことはなく、その女を城に呼びました。ですからこれは復讐なのです。あの女がまた現れる前に早くしなければ」
「ーールイスが君を裏切るなんて、あり得ないと思っていたが」
「私も裏切られるとは思いませんでしたよ」
まぁそうか、とカインが笑う。
「ですから、そうですわね……あなたも縁談がこざかしいと言っていたでしょ?私に婚約を申し込んで。私は迷いながらもルイス様を選ぶ真似をするわ」
「それでは私にメリットがない」
えぇ、むしろデメリット。だから。
「そのすぐ後に、貴方は私の従妹に婚約を申し込む。従妹には話を通しておくわ。そうなったら私はカイン様への想いへ気付く。そしてルイス様と別れて貴方と婚約するの」
「それが復讐になるのか?」
「私はどこぞの女に婚約者を奪われた気持ちをルイス様に味わってほしいだけだもの。それに侯爵家だもの、皆が第二王子のルイス様よりも次の王となるカイン様に相応しいとお考えになるはずよ」
「……いいだろう。それにしても君は、本当に恐ろしいことを考えるものだ。ルイスが可哀想だよ」
「けれどルイス様をお嫌いでしょう?」
「まぁね」
その理由は知らないけれど、大切なのはカインがルイスを嫌っているという事実だけ。
「私にもチャンスが出来たわけだ」
ぼそりと呟くカインに、はい?と聞き返す。
何でもないよと笑うカインに、また笑ってしまった。
「ヒューリア?」
その声にドキリとする。
「ル、ルイス様!」
「何故まだ帰っていない?…まさか、兄上と…!?」
「いえ、その、ま、迷ってしまって!」
「……なに?」
これはさすがに苦しいかしら。
「…わかった。早く帰れ、明日からは俺が邸へ行く。お前は城へ来るな」
それは困る…。
「ルイス様、ご迷惑でしたか…?」
さぁいけ、必殺上目遣い!!
「……君、が、疲れると……いけない…」
ドモってる。完璧。
「私は大丈夫ですわ。ルイス様のご迷惑になりたくはないので…」
「っ……なら約束してくれ。僕だけに会いにくるんだ、兄上とは話さないでくれ」
「カイン様と?」
「頼む」
んー…まぁ、会わなくてもやり取りする方法はあるわよね。
「…分かりましたわ。ルイス様のお望みのままに」
ーーさぁ、布石を打ちましょうか。
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