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執拗な嫌がらせ
しおりを挟むシャルロット・レイドル。それがゼイルドの妻となる前の、私の旧姓。
私は生まれたときから、居場所がなかった。父の妾であった母は出身が平民で、正妻から執拗な嫌がらせを受けていた。
レイドル家はゼイルドの生家であるイルタナー家と同等の権力を持つ家だった。
その長男であるゼイルドに目をつけたのは、父の妻のリーシャだった。
「あなた、あのイルタナー伯爵のゼイルド様と婚姻するんですってね。ふふ、お気の毒!」
嬉しそうに笑ったのは、正妻のリーシャの娘であり、シャルロットにとっては姉に当たる女のルーラだった。
「あの醜いと噂のゼイルド様でしょう?社交界デビューもしたことのない、太っちょでわがままで横暴だと噂の、ゼイルド様!」
気の毒だと言いながらざまぁみろと言いたげな姉のルーラが嫌いだった。
「そうそう。私はね、ユーリとの婚約が決まったのよ。うふふ、あなたはユーリを慕っていたものね。けれどユーリはずっと、私だけを見ていたのよ…。あら、誤解なさらないでね?私はただ、本当にあなたが気の毒でならないの。可愛い妹だもの」
例え、とぼそりと呟く。
「私があなたをどれだけ憎んでいても、よ」
ユーリは再従兄でルーラやシャルロットと幼馴染みの男だ。シャルロットは幼い頃から、密かにユーリを想っていた。けれど姉の感か、女の感か。ルーラにはバレバレだったようだ。
悔しくて仕方なかった。
苦しくて辛かった。
どうしようもないほど、泣いた。泣いて、泣いて、涙が晴れる頃には、もう心なんて砕けていた。
悲しくて、もう死のうかとも考えた。
けれど、初めて会ったゼイルドは優しく私に接してくれた。
「もしよろしければ、私と結婚してはいただけませんか」
噂とは違って、ゼイルドは物腰が柔らかくて素敵な人だった。背も高くて、細くて、綺麗な顔立ちをしていた。この人ならば愛せるかもしれないと思ったから、頷いた。
けれど現実はそうは甘くはなかった。
新婚生活が始まって割とすぐに、ゼイルドの本性は出てきた。
「女なんて所詮、ただ子供を生むだけの道具だろう」
本気でそれを言うのだ。
愛せなどしなかった。
夜会の度に、嫌味を言われた。何故子供が出来ないのだと、義母にも言われた。とんだ紛い物を掴まされたとも言われた。
夫のゼスは、それを聞いてただ笑っていた。
そんな夫が、大嫌いで仕方なかった。
シャルロットにとってこの家こそが、最悪な場所だったのだ。シャルロットは日に日に追い詰められていった。
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