さぁ、離縁して下さいませ。

伊月 慧

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結婚生活

願い

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「…今さら、旦那様を信じろと仰いますか」

 旦那様と呼んだシャルロットの目は据わっていて、その目がこちらへ向いているというのに俺は、目が合うだけで嬉しいと思ってしまう。
 思えば彼女はいつも、人形のようだった。全く自分のことなど見ていなくて、どこか遠くを見ていた。

「…信じろとは言わない」

 一度もこちらを見ようとしなかったシャルロットが自分から話し合いの意を持ってくれた。
 今まで自分が彼女にした仕打ちが消えるとも許されるとも思っていない。ただ、願うのは。どんなに責められても、この時が永遠に続くといいのに、と。彼女が俺を見て、向かい合う。ただそれだけが嬉しくて仕方ない。

「もっと、話したいことはある」

 俺は彼女のことを何も知らなくて、彼女も俺のことを何も知らなくて。だって話をする時間なんてなかったのだから。

「…俺のことを知ってほしい。それで、知っても俺のことが嫌いだと言うのなら…その時は無理に引き留めたりしない」

 自分が好かれるという自信はない。けれど少なくとも、俺は彼女の幸せを願っている。

 そして出来れば、その幸せにする男が自分でありたいと願っているのだ。
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