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結婚生活
別居
しおりを挟むシャルロットに別居を言い渡されたのは、その話した次の日だった。
「しばらく離れたいと思います」
もう無理なのか、と思ったが、そんなゼイルドの顔を見てシャルロットが言い方を変える。
「このままここにいても、何も変わらないと思います。私にも考える時間が欲しいのです」
「…考える時間?」
「私は、…私は、ゼス様を愛したい」
「え…」
今、俺のこと。
「一度貴方の元で幸せになろうと思ったのですから、私も貴方を愛おしいと思いたい。けれど私も思うところはあります。今まで通りの生活をいきなり変えるのは無理ですわ」
気のせいか。
「……そうか。…なら、俺が…」
「ゼス様はここにいてくださいませ」
あぁ、やっぱり。俺のことを、ようやく名前で呼んでくれるのか。
シャルロットの全てが愛おしい。美しい黒い髪も、瞳も、彼女の全てが欲しい。
「…分かった」
よくある話だ。別居を言い渡され、妻に出ていかれる。そのまま妻に逃げられた貴族の話は五万と聞く。
(例え、逃げられたとしても)
ゼスと呼ばれただけで、俺はこんなにも幸せだった。
だから大丈夫だ。…逃げられても、全ての権力を屈指して探し出せる。心折れたりする暇もなく、見つけるまでは寝ずにシャルロットを探し続けるだろう。
「…ありがとう、ゼス」
ーーその時が初めてだった。人形のようにそっぽを向いて、目もロクに合わなかったシャルロットが初めて、ゼイルドに笑いかけた。
そしてその顔で、分かった。シャルロットはゼイルドが考えているように逃げ出すために別居を言い渡したのではない。
お腹の子供のために、ここで幸せになれる方法を探そうとしてくれたのだ。
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