さぁ、離縁して下さいませ。

伊月 慧

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別居生活

事件②

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 フィリアの元婚約者だという男が現れたのは、季節が秋に変わり始めた時だ。
 女子はみなうっとりとするような男で、俺もまぁ、顔だけはいいのだろうと認めた。
 男は公衆の面前で、フィリアにプロポーズした。再会して、すぐに。

 満更でもなさそうなフィリアの顔を見て、胸が焼けるように感じたのを覚えている。


「…お前、俺の嫁にしてやってもいいぜ?」

 そう言った俺に、彼女は笑い転げた。

「あは、あはっ!な、なに言って、ひい、おかし~!!」

 その姿に、頭に来た。

「は、伯爵家次期当主の妻だぞ、正妻にしてやってもいいと言っているんだ!」
「…ゼイルド君、大人をからかわないの。バカなことを言っていないで、早く帰りなさい」

 思えば、あれが俺の初恋だったのだ。

 俺はいつも、大切な人を傷付けることしか出来なかったのだ。

 自分で言うのもなんだが、不器用だった。

 それは今でも変わらないけれど。


 彼女が男と結婚するのだと聞いたとき、フィリアが自分のものというわけでもないのに、裏切られたような気がした。
 だから、俺はただ、彼女がこちらを向くようにしたかっただけなのだ。
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