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別居生活
笑顔
しおりを挟むシャルロットは別邸で何をするでもなく、ひたすら本を読んでいた。
「シャルロット様、旦那様からの伝言です」
ナカバの声に、シャルロットが顔をあげた。
「ゼス様から?」
「えぇ。なんでも、物が入り用でしたら何でも言ってくれとのことですわ。シャルロット様、なにか…」
「特に必要ないわ。ここに置いているものだけで十分、事足りているもの。ナカバがなにか欲しいなら頼んでちょうだい」
「私はいいのですが…。あ、それから。体調はどうだとお聞きですが」
「とてもいいと伝えて」
「ですがシャルロット様…」
シャルロットはここ最近、体調を崩してばかりだった。シャルロットの願いで本邸には知らせていなかったのだが。
「いいの。余計な心配をされるもの。私の身体が少し弱いだけ」
「ですが、身重なのですから…いつも以上に身体に気を使わねば…」
「…そうね」
「子供が生まれたらあっという間ですよ。休む暇も本を読む暇もないのですから」
「そうね、名前も考えなくては」
「旦那様がきっといい名前を付けて下さるでしょう」
「…あら、ナカバ」
シャルロットが少し不服そうに言う。
「この子の名前を考えるのは旦那様一人ではないわよ。だって私の子でもあるんですもの」
そんなシャルロットに、ナカバが笑う。
「そうですわね。けれどシャルロット様、ここに来て少し元気になられましたね。本当に良かったですわ」
体調を崩してばかりだが、笑顔が増えたのも事実だった。
「…ありがとう、ナカバ。貴女のおかげよ」
ふと窓の向こうを見ると、本邸から来た使いが馬に乗って遠ざかっていく。
(…ゼス様はお元気かしら)
そういえば、こんなにも長い間顔を見ないのは初めてだった。
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