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別居生活
壊した人生
しおりを挟む「私は貴方が当主だとは認めません」
それは伯爵の地位について、初めてバロンが発した言葉だ。
「貴方もまさか、自分のしたことを忘れたわけではないでしょう」
****
フィリアは独りだった。
親は早くに亡くし、独りで生きてきた女だった。
フィリアには夢があったらしい。いつか、心から慕える男と結婚して、幸せな家庭をつくること。
俺が壊した、フィリアの人生。
死ぬことはなく、未だに昏睡状態で眠っている。認めたくはないけれど、もう二度と目覚めることはないのだと直感で分かる。
俺はあれからずっと、フィリアの眠る部屋へと行けずにいた。
***
「…なぁ、バロン」
「はい?」
機嫌を窺うようなバロンにイラッとしつつも、まぁいいと話を続ける。
「シャルロットは今、どうしている?」
「…先程の報告では、特に問題なく、恙無く生活しておられるそうですが」
「…そうか。必要なものがあれば送ると伝えてくれ。くれぐれも、体調には気を付けろと」
「は……分かりました」
女を二度と好きになることはないと誓ったのに、また好きになってしまった。そして今回も、傷つけた。
けれどもう、あの時とは違うのだ。
自分の気持ちを素直に伝えることが出来た。
だから、少しは変われているはずなのだ。
…バロンが認めてくれるまでまだ先は長いだろうが。
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