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別居生活
ルーラお姉様
しおりを挟むシャルロットは不安ながらも、言われた通りに部屋で待っていた。が、遠くで聞こえる、懐かしい姉の声。
「シャルロット、いるんでしょう!出てきなさいよこの女狐!」
女狐はどっちなんでしょうね、なんて皮肉を考えてしまう。
(ルーラお姉様はどちからというと、狸かしら)
更に遠くで聞こえるゼイルドの声にドキリとしながら、部屋に居続けたのだけれど。
「やっと見つけたわ!」
片っ端から部屋を開けたのでしょうね。すぐに見つかりました。
どうせユーリお兄様のことでグダグダ言いに来たことを考えると、少し頭が痛くなる。
そうだ、昔から私の悩みの原因は大抵がこの人だったのだ。
「…あら…お久しぶりです、ルーラお姉様」
ゼイルドが後ろで不安げに見ている。
頬には叩かれた跡。先程までなかったということは、ルーラにつけられたものだろう。
「シャルロット、この淫売!ユーリお兄様に色目を使ったわね、私の婚約者なのに!!」
「あら、お姉様。なんのことだか分かりませんわ」
こうなったらとことん、貴女の言う通り、女狐になって見せますわ。
「どうなさったの?そんなに息を荒げて…」
ニコリと笑って尋ねると、ルーラの顔が真っ赤になっていった。
「なんですって!?」
実家ではずっと、揉めないようにと機嫌取りをしていた。自分の居場所のために。
けれど今は…今は、この家がある。
ゼイルドのいるこの家が、シャルロットの居場所なのだ。
「何をお聞きになったかは知りませんが、無礼ではないですか?」
「なにがよ!」
「そんなことも分からないのですか。こんな朝早くに押し掛け、喚き散らし、この家の当主を叩き、イルタナー夫人である私を詰るのです。無礼千万だと思うのは私だけかしら?」
「はっ、なにを…!」
「まぁ…お姉様のような方に理解していただくのは難しいことかもしれませんが」
「なんですって!?」
「まずは非礼を詫びて下さいませ。私ではなく、私の夫に!」
「私が何故謝るの!貴女が土下座しなさい!」
「それこそ道理に敵っていません。私はユーリお兄様に愛していると言われただけです。それに応えていません。ユーリお兄様に愛されることすら罪なのだと仰るのなら…それで構いませんが」
「そ、そうよ!ユーリお兄様に愛されることが…」
「つまりルーラお姉様は罪人にならないために、ユーリお兄様に愛されるわけにはいかないんですわね!」
「私はいいのよ!」
(…これ以上話していても時間の無駄かもしれないわね…)
「ゼス様に謝らないのなら、お父様にこのことを報告し、抗議させて頂きます。そうなれば何がなんでも、ユーリお兄様とルーラお姉様の婚約は解消されるでしょうけれど?」
「っ……分かったわよ!非礼をお詫び致します!!」
謝っているとは言えないけれど、まぁ謝罪はしている。
「…身重の妻を詰ったことを詫びて頂きたいのだが…」
(ちょっと、ゼス様!)
あのルーラが謝ったことですら驚くことなのに、更に私に謝れなんて。
それはさすがにやりすぎだ。
というシャルロットの考えが分かったのか、ゼイルドはふうっとため息をついた。
「…妻がそうしては欲しくなさそうなので、やめておきます。次はありません、どうぞお帰りください」
こうして、無礼な訪問者のルーラは帰っていったのだった。
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