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結婚生活③
般若のようなバロンさん。
しおりを挟むお互いの気持ちを確認したあの日から、ゼス様は私を大切にしてくださっています。それはそれは宝物を扱うように、新婚かと突っ込みたくなるほど甘々に。
そして私は今日、旦那様と喧嘩致しました。
「勘弁してください…」
頭を抱えるバロンさん。その隣で不機嫌そうに佇むゼス様。
何故こうなったのか、今日の昼に遡る。
シャルロットが自分の気持ちに素直になれたのは、バロンと話したからだと思った。だからこそバロンに礼を直接伝えたく、二人で茶を飲んだ。
それだけだというのに、誰から聞いたのか、ゼス様が男と二人きりになったと激怒したのだ。
「ゼイルド様。いい加減にして下さい。私にも仕事があるのですが」
「元はと言えばお前がシャルロットと二人で飲むから、しっかりケリをつけるためにこうして集まっているのだろう」
「このまま黙っているだけでは時間の無駄です。それに私のような老いぼれを男などと…」
「シャルロットの美しさにおいては子供も大人も関係ない」
「はぁ」
げんなりした顔のバロンに申し訳なくなる。良かれと思って有名な焼き菓子を渡したことも気に入らなかったらしい。
「そもそもシャルロット、お前は!俺には何の贈り物もしないくせに、バロンには焼き菓子をやっただと!?」
「何を仰っているのか分かりませんが」
「俺には贈り物をしないのに、お前は、」
「ゼス様には私という贈り物をしたでしょう?」
少し図太く答えると、ゼス様の口が開いたまま止まった。器用だなぁ、なんて眺める。
「う、あ、だ、だが」
「それに私はゼス様しか見ておりませんわ」
計算がなかったかと聞かれれば嘘になる。計算込みで、上目遣いをした。こうするのが一番穏便に済むと分かっているからだ。
夜に私が大変なことになるけれど、それは気にしないことにしよう。
「…シャルロット、愛しているよ」
「私もゼス様を愛していますわ」
「シャルロット…」
ゼイルドの顔が近付いてきたところで、大きな咳払いが一つ。
「私はもう仕事に戻って良いですか」
「なんだ、バロン。まだいたのか、邪魔だ。さっさと帰れ」
ゼイルドのその言葉に、バロンは。まるで般若のような顔をなさって、部屋を後にされました。
「…シャルロット、愛してるよ」
その言葉に、今度は私も目を瞑る。
愛されるのは嬉しいけれど、こうして怒られると辛くなる時がある。それは多分、浮気なんてするはずがないのに、疑われているように感じる時だろう。
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