あと1年、彼の隣に

伊月 慧

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本編

7日目~煌夜side~

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 あのケーキの一件以来、咲良と曖昧なままだ。あのくらいで大人気なかったなとも思う、が。
(智樹じゃなかったら、俺だってあそこまで言わねーっての…)
 どこからどう見ても咲良に気がある智樹と仲が悪いのは、もう修復できないところまでいっている。というか、俺が修復する気などない。
 確かに俺は、智樹から咲良を盗ったことになるのかもしれない。それは咲良と俺が幼馴染であることを抜いてだ。
 咲良が俺を受け入れ、付き合うことになった次の日。
 アイツ……智樹は、である咲良に公衆の面前で堂々とキスしやがった。
 しかも俺を『クズ男』呼ばわりして、貶しまくったのだ。先に友情を崩壊させたのはアイツなのだ。

「………あ」

 噂をすれば。
 廊下に智樹の姿が見え、身構える。

(…?)

 こちらを向いているが目が合わない。どこを向いているのかと思い、視線の先を辿る。と。

「あはは、嘘だってー!」
「咲良ぁ!もう、やめてよ~」
「ごめんごめんっ!」

 そこにいたのは、咲良だった。周りを見ようとせず、咲良だけをずっと見ていたのだ。
 気に入らない。咲良は俺のなのに。
「…なに人の彼女ジロジロ見てんだよ」
 ガンッと足を蹴ると、ビックリしたようにこちらを見てから…睨んできた。
「うるせぇな、俺に関わんな」
「咲良のこと見んな」
「はぁ!?っ…見てねーし!」
「言っとくけどな、俺は咲良と絶対に別れる気ねーし……今までみたいに、捨てる気もないから」
「女は暇つぶしって言ってたの誰だよ」
「あれは咲良と付き合ってなかった時のことだ」
「…そうだな、お前が捨てることはなくても…咲良ちゃんがお前を捨てることはあるかもな」
「ねーよ」
「うるせー、さっさと別れろ」
「別れたらどうする気だよ」
「貰うに決まってんだろ」
「咲良は俺にベタ惚れだ」
「よく言うわ」
 ハッ、と鼻で笑われ、イラつく。やはりコイツのことは嫌いだ。
「さっさと他の女捕まえろ」
「お前が別れてくれたら……てか、俺に返してくれたら、そんなことする必要ねーけどな」
「…咲良は元から俺のだ」
「必死だな」
 と、その時。智樹の知り合いらしい女が寄ってくる。
「智樹くん、なにしてんのー?」
「…リカ」
 リカ、と呼ばれたその女は確か…そうだ、三組の塚本 梨花だ。
「友達?」
 ニコリと笑いかけてくるが、咲良の笑顔の方が断然カワイイ。
 多分、智樹も同じことを思っているだろうけれど。
「…ちげーよ、 そうだったけど、な」
「!」
 昔は。
 そうだ、俺と智樹は親友だった。
 分かっている。そうでなくなったのは、俺から幼馴染の咲良を盗った智樹のせいではない。智樹のを盗った、俺のせいなのだ。
 親友の彼女を、奪ったのだ。
(んだよ…)
 その事実が、付き合っている今でも…どうしようもないくらい、心に残っているのだ。
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