あと1年、彼の隣に

伊月 慧

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本編

14日目~弘樹side~

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 自分の部屋の天井を見上げながら、弘樹はふうっとため息をついた。

 今日、俺は二度目の失恋をした。


 中学の時、付き合っていた彼女がいた。小早川梨香りかという、女子の中ではまぁ可愛い子だった。
 告白されて付き合うようになったのは、周りに囃し立てられたからだ。まぁ彼女はいて困るものではないと思ったから付き合った。彼女は気立ても良かったし、尽くしてくれるタイプだったので一緒にいて楽しかった。好きになれるとも思った。
 けれど中二の春、一目惚れした。その相手は一つ下の少女で、それが中西咲良という子だった。
 女子が自分に群がる中、彼女だけはずっとを見ていた。その彼が煌夜だった。
 後に煌夜が自分のいたバスケ部に入ってきた時、咲良はよく練習を見に来たりしていた。咲良の姿を見ると嬉しくて、けれど咲良の視線の先を見るたび苦しくなった。どうせなら、自分を見てくれればいいのに。他の人の視線なんていらない。咲良の視線が欲しい。
 けれどそれは叶うことなく、思いを伝えることもなく勝手に失恋して、忘れようとした。
 そんなある日、煌夜が一年の男子と話しているのを聞いた。
「湯川先輩に敵うなんて思ってないけどさ、好きなんだよ、小早川先輩が」
「でもお前、幼馴染みの女の子は?すごいかわいー子いたじゃん」
「咲良?アイツはただの幼馴染み、いわば親友。なんならお前、咲良に紹介してやろうか?」
「マジ!?」
 煌夜は中西を見ていない。つまり、中西の恋が叶うことはない。なら。

「図書委員、立候補します」

 ずっと生徒会の役員をしていたけれど、初めて委員会に入った。その時何故だと責めてきた小早川を、初めて邪魔だと思ってしまった。
「別れよう」
 そう告げて、フリーになって初めて、中西に話しかけたのだ。
「隣、いいかな。確か煌夜と幼馴染みだって言ってた子だよね」

***


「あー…キッツいわー…」
 そこそこ仲良くなったつもりでいた。高校も同じところに来ると思ってた。だから卒業してからも必死でメールしたり連絡を取っていたけれど、真っ先に見つかるはずの咲良の姿は、高校二年生の春、見つからなかった。
 そこから俺は勝手に拗ねて、ほのかに連絡がくることを期待していたが、結局くることはなかった。
 まぁ、恋愛対象として見られていないのならば仕方ない。
 なんて終わったはずの、矢先に。
 兄に届け物のついでに寄った病院で、彼女の姿を見てしまったのだ。
 もう一度、今なら。咲良を諦めてから適当に付き合った女子で磨いたスキルで今度こそ、落とせる。そう思ったのに。だから決死の覚悟で、見舞いにまで行ったのに。
(マジかよ…)
 初めから敵わないと分かっていたヤツが、とうとうライバルになってしまったのだ。

 ーーー幼稚園の頃からずっと、俺のこと好きなくせに。

 今日、咲良の病室でそう言った煌夜は確実に、にやけていた。
 心からお互いを想い合っているのが分かった。だから、余計に思った。
「絶対、諦めねぇ…!」
 煌夜には幼馴染みというハンデがある。そして俺には、というハンデ。
 今のところ煌夜が有利でも、それが覆るのだということを、証明してやる。
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