72 / 86
第72話 客をもてなせ!
しおりを挟む
『地獄骸』に担がれ、人間では実現できないスピードでダッシュして暗黒城に戻ってきた俺はすぐに暗黒城の技術班を招集した。
暗黒城の外観を担当している『失敗した錬金術師』を筆頭に、材料生産のための各種モンスターが集まっている。
そしてなぜか、目を輝かせてワクワクしているレーナが『失敗した錬金術師』の横で両拳を握ってやる気を見せていた。
だが、もうレーナを説教している時間はない。無駄にやる気に溢れているようだし、彼女の手も借りたい。ご一行様はもうすぐそこまで迫っているのだ。
「『失敗した錬金術師』、お前はご一行様が到着する前に、城の外観をもっと煌びやかに改築しろ。火精霊や電気精霊の力を借りて、思いっきり視覚的な豪華を演出するんだ」
俺の指示に『失敗した錬金術師』は戸惑ったように言う。
「し、しかし、召喚主。それほどの改築をする時間はありませんよ」
「あの速度だと、ご一行様が到着するのは早くても今日の夜。城の前面だけのハリボテでいい。なんとか仕上げてくれ。ご一行様には楽しんで帰ってもらうぞ」
俺が苦渋の決断を口にすると、『失敗した錬金術師』は尊敬するように瞳を輝かせ、俺を見つめる。
「さすがは召喚主さま! 観光事業にも乗り出すとは敏腕魔王様ですね!」
「やりたくてやってるわけじゃないんだって……」
「ォォォ、ォォォォォ……!!」
「とにかく、手の空いている者は手分けして、城の外観、内観を改造!」
「ォォォォォ……!」
「ご一行様が怖がりそうな姿の奴は、観光ツアー中は隠れてさせることにする!」
「ォォォォォォォオオオオ!!」
「――って、おい、誰だ! 『ゴースト』をここに呼んだ奴! ご一行様が怖がるから、しばらく隔離!」
技術班もとい、観光地化計画班の中に混じっていた『ゴースト』を『雑魚死後』の誘導で暗黒城の中でも後方の部屋へと案内させる。
あの『ゴースト』、試しに文字召喚してみた時に生んでしまった、ただ唸ることしかできない奴だが、どこかで機会を見てあいつにも活躍できる場を与えてやりたいものだ。
「とにかくこれ以上、魔王が怖いものだと印象を与えるのは絶対ダメだ。親しみやすい良い魔王であるということをご一行様には感じてもらって、観光地見物を満喫して帰ってもらおう」
「シュウトさま、意外とノリノリじゃないですか……?」
レーナが小首を傾げて問うてくるが、
「何か言ったかな? 今回の元凶よ」
「ひっ! なんでもないですないです~~!」
一睨みするとレーナは『失敗した錬金術師』の背後に素早く隠れ、そこから顔だけ出してじーっとこちらの様子を窺っている。
「ちなみにレーナ、お前が言っていたお土産販売計画だが、どこまで進んでいる?」
「へ? そうですねー、もう販売する商品は量産し終わっています! いつでも売り出せますよ!」
と、危険はもうないと判断したのか、俺の前までやってきたレーナはなぜか誇らしげに胸を張ってふふんと鼻を鳴らす。
制服っぽい彼女の服の上からでもわかる大きな胸が揺れるが、俺は視線を少し逸らして続ける。
「そういう頼んでもいないことの準備は早いよな、お前……ともかく、そのお土産販売はレーナの小遣い稼ぎじゃなく、暗黒城の事業一環として行う」
「えーーー! わたしのお小遣いがーーー!」
「……ちゃんと利益は分配するし、販売もお前だけじゃなく、暗黒城の面子で協力して回す。それなら問題ないだろ?」
「シュウト様の知名度を利用して、ガッポガッポお金持ち計画が……」
ほんと、そういうところは頭が回るよね。この弟子。
本音も聞けたので、同情の余地はなし。
「それは決定事項だ。お前が独占しようとするなら、営業許可は出しません」
「うぅ……わかりましたよ。で、でも、それならわたし以外もちゃんと止めてくださいね!」
なんだか嫌な台詞が聞こえた。
「……わたし以外?」
「そうですよ、お師匠とオルビークちゃんもこの機会を狙ってお土産品作ってますから!」
衝撃の事実発覚。そして、レーナが小汚く仲間を売った瞬間だった。
「ど、どいつもこいつも……『地獄骸』!」
「はっ!」
「今、名前の挙がった奴ら、全員ここに連れて来てくれ」
「畏まりました」
そうして驚異の跳躍力を見せ、暗黒城の外壁に張り付いた『地獄骸』は奴らがいそうな場所から的確に侵入し、その後、「きゃー!」やら「やめるのじゃー!」やら抵抗の声がしばらく聞こえたのだった。
暗黒城の外観を担当している『失敗した錬金術師』を筆頭に、材料生産のための各種モンスターが集まっている。
そしてなぜか、目を輝かせてワクワクしているレーナが『失敗した錬金術師』の横で両拳を握ってやる気を見せていた。
だが、もうレーナを説教している時間はない。無駄にやる気に溢れているようだし、彼女の手も借りたい。ご一行様はもうすぐそこまで迫っているのだ。
「『失敗した錬金術師』、お前はご一行様が到着する前に、城の外観をもっと煌びやかに改築しろ。火精霊や電気精霊の力を借りて、思いっきり視覚的な豪華を演出するんだ」
俺の指示に『失敗した錬金術師』は戸惑ったように言う。
「し、しかし、召喚主。それほどの改築をする時間はありませんよ」
「あの速度だと、ご一行様が到着するのは早くても今日の夜。城の前面だけのハリボテでいい。なんとか仕上げてくれ。ご一行様には楽しんで帰ってもらうぞ」
俺が苦渋の決断を口にすると、『失敗した錬金術師』は尊敬するように瞳を輝かせ、俺を見つめる。
「さすがは召喚主さま! 観光事業にも乗り出すとは敏腕魔王様ですね!」
「やりたくてやってるわけじゃないんだって……」
「ォォォ、ォォォォォ……!!」
「とにかく、手の空いている者は手分けして、城の外観、内観を改造!」
「ォォォォォ……!」
「ご一行様が怖がりそうな姿の奴は、観光ツアー中は隠れてさせることにする!」
「ォォォォォォォオオオオ!!」
「――って、おい、誰だ! 『ゴースト』をここに呼んだ奴! ご一行様が怖がるから、しばらく隔離!」
技術班もとい、観光地化計画班の中に混じっていた『ゴースト』を『雑魚死後』の誘導で暗黒城の中でも後方の部屋へと案内させる。
あの『ゴースト』、試しに文字召喚してみた時に生んでしまった、ただ唸ることしかできない奴だが、どこかで機会を見てあいつにも活躍できる場を与えてやりたいものだ。
「とにかくこれ以上、魔王が怖いものだと印象を与えるのは絶対ダメだ。親しみやすい良い魔王であるということをご一行様には感じてもらって、観光地見物を満喫して帰ってもらおう」
「シュウトさま、意外とノリノリじゃないですか……?」
レーナが小首を傾げて問うてくるが、
「何か言ったかな? 今回の元凶よ」
「ひっ! なんでもないですないです~~!」
一睨みするとレーナは『失敗した錬金術師』の背後に素早く隠れ、そこから顔だけ出してじーっとこちらの様子を窺っている。
「ちなみにレーナ、お前が言っていたお土産販売計画だが、どこまで進んでいる?」
「へ? そうですねー、もう販売する商品は量産し終わっています! いつでも売り出せますよ!」
と、危険はもうないと判断したのか、俺の前までやってきたレーナはなぜか誇らしげに胸を張ってふふんと鼻を鳴らす。
制服っぽい彼女の服の上からでもわかる大きな胸が揺れるが、俺は視線を少し逸らして続ける。
「そういう頼んでもいないことの準備は早いよな、お前……ともかく、そのお土産販売はレーナの小遣い稼ぎじゃなく、暗黒城の事業一環として行う」
「えーーー! わたしのお小遣いがーーー!」
「……ちゃんと利益は分配するし、販売もお前だけじゃなく、暗黒城の面子で協力して回す。それなら問題ないだろ?」
「シュウト様の知名度を利用して、ガッポガッポお金持ち計画が……」
ほんと、そういうところは頭が回るよね。この弟子。
本音も聞けたので、同情の余地はなし。
「それは決定事項だ。お前が独占しようとするなら、営業許可は出しません」
「うぅ……わかりましたよ。で、でも、それならわたし以外もちゃんと止めてくださいね!」
なんだか嫌な台詞が聞こえた。
「……わたし以外?」
「そうですよ、お師匠とオルビークちゃんもこの機会を狙ってお土産品作ってますから!」
衝撃の事実発覚。そして、レーナが小汚く仲間を売った瞬間だった。
「ど、どいつもこいつも……『地獄骸』!」
「はっ!」
「今、名前の挙がった奴ら、全員ここに連れて来てくれ」
「畏まりました」
そうして驚異の跳躍力を見せ、暗黒城の外壁に張り付いた『地獄骸』は奴らがいそうな場所から的確に侵入し、その後、「きゃー!」やら「やめるのじゃー!」やら抵抗の声がしばらく聞こえたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる