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後編
キルシュライト国王。(ローデリヒ過去)
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国王は人ではない。
人々を導く光である。
人々の上に立つのが凡人であってはならない。
人間として在ってはならない。
キルシュライト王家はそうやって、人々の上に立ってきた。
特に最初から王になる事が決まっている者に対しての教育は、他の王族とは一線を画していた。
親元で育てられることはない。臣下である多くの教育係にかしずかれながら育てられる。
誰かに心を入れ込むこと等ないように。日々入ってくる情報に心痛めること等ないように。誰かが居なくなっても動揺すること等ないように。
全ては冷静な判断を下せるように。
合理的な考えが出来るように。
そうして育てられたディートヘルム・エリーアス・キルシュライトは――
「最近太ろうかと思っているんだ」
非常に、人の機微に疎かった。
あむ、と口を開けて苺のケーキを頬張る主君に、ハイデマリーはティーカップを持つ手を止めた。
「何故です?」
「以前に会った国王が丸い体型でかなり人の良さそうな雰囲気を持っていたのだ。だが、相当の切れ者でな。人は見た目が重要という。人の良さそうな見た目になれば相手の油断するのではないかと思ったのだ」
「はあ。……なるほど?」
ハイデマリーは首を傾げた。よく分からない。
「見た目が重要であれば、べティーナに嫌われるかもしれませんわよ?」
ディートヘルムは昔から美しいと言われてきた。
周りの意見をそのまま受け止めて、ハイデマリーはディートヘルムは美しいと認識していた程度だ。
ハイデマリーは美醜がよく分からない。ハイデマリーも将来王妃として育てられてきた人間だったからである。国王が美しくなくても、配偶者として隣に並び立つ為に。だから周りの意見を参考にするしかなかった。
いつも着飾っているのは、ハイデマリーが王妃として美しいと称される為であった。彼女自身は公務をこなせる頭脳と所作があればいい。美容に関しては侍女がいればよかった。
ハイデマリーの問い掛けに国王は顔を顰める。
「それは困るな……。いや、今も困っているのだが……」
「好きなのに疲れたって言ってましたわ」
「疲れた?」
二人して一瞬黙り込む。
「ええ。私にはよく分からないのですけれど」
「私にも分からんな」
育った環境が近しいディートヘルムとハイデマリーは揃って首を捻る。だが、全く結論は出なかった。
恐らくこの場にゲルストナーが居ても同じだったろう。
国王が特別だと言っても、王族もほぼ似たような環境だった。
国王は深々と息をつく。ケーキを食べ進めていた手は、すっかり止まってしまっていた。
「こういう所が私達の欠点なのだろうな」
三人集まっても解決策が全く出てこない。まず、問題の意味からして全く理解出来ていない。
平民ならばすぐに分かることであっても。
ディートヘルム自身、人の機微に疎くて不便したことはほとんどなかった。だから必要とすら思っていなかった。
だから、このまま一番最初に側室入りしたハイデマリーを王妃にして、子供には自身が受けた教育を施すつもりだった。
――べティーナの存在がなければ。
べティーナはディートヘルムの付きの侍女の一人であった。
そして、ディートヘルム付きの侍女としては、落ちこぼれであった。
感情が顔に表れやすい、ただ一点において。
侍女の中でも悪目立ちをしていたべティーナの存在を、ディートヘルムが認識するのは当然の流れだった。
そして、分かりやすい性格をしていたからこそ、人の機微に疎いディートヘルムであっても、なんとなく好意が伝わった。表情と感情の豊かなべティーナに興味を持ったのである。
だから、ディートヘルムは考えたのだ。
自身はどんな事があっても、誰に対しても、冷徹に判断を下すことが出来る。しかし、この娘はどのような選択をするのだろうか、と。
ディートヘルムは誰かに入れ込むことも、心痛めることも、近しい者が居なくなっても動揺することもない。
だが、きっとべティーナはそれが出来ない。
ディートヘルム自身は自分が不幸だとは思った事はない。そんな概念すらない。
しかし同時に、ディートヘルムが思い浮かべる全ての物事への選択肢は合理的なものしかなかった。
合理的以外の、無駄というものは果たして意味のないものなのだろうか、と。
きっと無駄を少し含むだけで、選択肢は無限に近いくらい沢山広がっていくのではないのか、と。
その発想からして無駄なものだったが、ディートヘルムはべティーナと関わることを選んだ。
相変わらず恋愛というものは分からなかったが、べティーナといる事は飽きなかった。コロコロ表情が変わるべティーナは、人の機微を悟りにくいディートヘルムでもなんとなく感情を読み取る事が出来たのも大きかった。
それはハイデマリーも同じ。
ハイデマリーが王妃という周囲に定められていた道から逸れようとしたきっかけだった。先代達が作ってきたシナリオ通りに生きる自分達には、同じくシナリオ通りにしか生きられない。そして、それを後世もずっと続けていく事しか出来ない。
やはり、合理的な選択が一番良いと思ってしまっているから。
べティーナが妊娠した時、ハイデマリーは後宮で生きることを決めた。これからのキルシュライト王家は良い方向へ変わると、そんな希望を持って。
その希望はべティーナの魔力が少なかった事によって、潰えることになったが。
妊娠出来たのはべティーナが貴族の血を引いており、平民よりは魔力を持っていたから。
胎児がまともに育たなかったのは、べティーナの貴族の血が薄まっていたから。
体を壊してしまったべティーナが王妃になるのは不可能だった。
「でも、分からなくてもどうにかしなければいけないのではないのです?
――だって、あの子、もうだいぶ体を悪くしているわ」
「……揉めているのは、ローデリヒの教育方針でだ」
「そうですね……。困りましたわ」
ディートヘルムはケーキの苺を投げやりにフォークで刺す。
「下手にべティーナの子供を王位につけない、なんて言うべきではなかったな。本人と周囲を安心させる為だった」
「たぶん私も同じことしましたわ」
「やはり、私達と彼女とは大きく違っているのだろうな。……いや、私達が違うのか」
国王は人ではない。
人々を導く光である。
人々の上に立つのが凡人であってはならない。
人間として在ってはならない。
だから、国王は誰か特定の者を特別扱いしない。気を遣うこともない。
何故なら、国民を平等に照らす希望の光なのだから。
「最低限、次代の国王としての教育は受けさせたいと思っているのだが……」
そうして彼らは間違える。
何を間違えているのか、それすらも分からないまま。
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「母上の体調はまだ戻らないのか?」
後宮の一室の前で、ローデリヒは眉を寄せた。侍女が扉の前で立ち塞がっている。
「殿下。べティーナ様は熱が高いのです。お控え下さい」
「ずっとじゃないか!」
そう言われ続けて、七日は会っていない。流石にローデリヒの胸に焦燥感が湧く。
母親は体が弱い。なのに、そんなに高熱が続いて大丈夫な訳がない。
自分の知らない所で大変なことになっているのではないか、と怖かった。
「少しだけ、少しだけお会いするだけ、だから」
「申し訳ございません。本日はべティーナ様は調子が悪いのです」
同じようなやり取りをグルグルと繰り返す。頑なに拒否する侍女に苛ついた。埒が明かない。
熱が出た、調子が悪いと言うだけ。
流石にもう聞き分けよくなんて、出来なかった。
「……っあ!殿下?!」
侍女の隙をついて扉を開ける。子供一人分の隙間からまんまと入ったローデリヒは、べティーナの寝室の前に立った。
「母上。母上?……入ります」
ローデリヒの予想に反して、べティーナは寝台に横たわってはいなかった。寝台に腰を掛けて、頭を抱えている。髪は乱れていた。ゆっくりと顔を上げた母親に、ローデリヒは僅かに笑みを浮かべる。
「…………だれ?」
「……はは、うえ?」
人々を導く光である。
人々の上に立つのが凡人であってはならない。
人間として在ってはならない。
キルシュライト王家はそうやって、人々の上に立ってきた。
特に最初から王になる事が決まっている者に対しての教育は、他の王族とは一線を画していた。
親元で育てられることはない。臣下である多くの教育係にかしずかれながら育てられる。
誰かに心を入れ込むこと等ないように。日々入ってくる情報に心痛めること等ないように。誰かが居なくなっても動揺すること等ないように。
全ては冷静な判断を下せるように。
合理的な考えが出来るように。
そうして育てられたディートヘルム・エリーアス・キルシュライトは――
「最近太ろうかと思っているんだ」
非常に、人の機微に疎かった。
あむ、と口を開けて苺のケーキを頬張る主君に、ハイデマリーはティーカップを持つ手を止めた。
「何故です?」
「以前に会った国王が丸い体型でかなり人の良さそうな雰囲気を持っていたのだ。だが、相当の切れ者でな。人は見た目が重要という。人の良さそうな見た目になれば相手の油断するのではないかと思ったのだ」
「はあ。……なるほど?」
ハイデマリーは首を傾げた。よく分からない。
「見た目が重要であれば、べティーナに嫌われるかもしれませんわよ?」
ディートヘルムは昔から美しいと言われてきた。
周りの意見をそのまま受け止めて、ハイデマリーはディートヘルムは美しいと認識していた程度だ。
ハイデマリーは美醜がよく分からない。ハイデマリーも将来王妃として育てられてきた人間だったからである。国王が美しくなくても、配偶者として隣に並び立つ為に。だから周りの意見を参考にするしかなかった。
いつも着飾っているのは、ハイデマリーが王妃として美しいと称される為であった。彼女自身は公務をこなせる頭脳と所作があればいい。美容に関しては侍女がいればよかった。
ハイデマリーの問い掛けに国王は顔を顰める。
「それは困るな……。いや、今も困っているのだが……」
「好きなのに疲れたって言ってましたわ」
「疲れた?」
二人して一瞬黙り込む。
「ええ。私にはよく分からないのですけれど」
「私にも分からんな」
育った環境が近しいディートヘルムとハイデマリーは揃って首を捻る。だが、全く結論は出なかった。
恐らくこの場にゲルストナーが居ても同じだったろう。
国王が特別だと言っても、王族もほぼ似たような環境だった。
国王は深々と息をつく。ケーキを食べ進めていた手は、すっかり止まってしまっていた。
「こういう所が私達の欠点なのだろうな」
三人集まっても解決策が全く出てこない。まず、問題の意味からして全く理解出来ていない。
平民ならばすぐに分かることであっても。
ディートヘルム自身、人の機微に疎くて不便したことはほとんどなかった。だから必要とすら思っていなかった。
だから、このまま一番最初に側室入りしたハイデマリーを王妃にして、子供には自身が受けた教育を施すつもりだった。
――べティーナの存在がなければ。
べティーナはディートヘルムの付きの侍女の一人であった。
そして、ディートヘルム付きの侍女としては、落ちこぼれであった。
感情が顔に表れやすい、ただ一点において。
侍女の中でも悪目立ちをしていたべティーナの存在を、ディートヘルムが認識するのは当然の流れだった。
そして、分かりやすい性格をしていたからこそ、人の機微に疎いディートヘルムであっても、なんとなく好意が伝わった。表情と感情の豊かなべティーナに興味を持ったのである。
だから、ディートヘルムは考えたのだ。
自身はどんな事があっても、誰に対しても、冷徹に判断を下すことが出来る。しかし、この娘はどのような選択をするのだろうか、と。
ディートヘルムは誰かに入れ込むことも、心痛めることも、近しい者が居なくなっても動揺することもない。
だが、きっとべティーナはそれが出来ない。
ディートヘルム自身は自分が不幸だとは思った事はない。そんな概念すらない。
しかし同時に、ディートヘルムが思い浮かべる全ての物事への選択肢は合理的なものしかなかった。
合理的以外の、無駄というものは果たして意味のないものなのだろうか、と。
きっと無駄を少し含むだけで、選択肢は無限に近いくらい沢山広がっていくのではないのか、と。
その発想からして無駄なものだったが、ディートヘルムはべティーナと関わることを選んだ。
相変わらず恋愛というものは分からなかったが、べティーナといる事は飽きなかった。コロコロ表情が変わるべティーナは、人の機微を悟りにくいディートヘルムでもなんとなく感情を読み取る事が出来たのも大きかった。
それはハイデマリーも同じ。
ハイデマリーが王妃という周囲に定められていた道から逸れようとしたきっかけだった。先代達が作ってきたシナリオ通りに生きる自分達には、同じくシナリオ通りにしか生きられない。そして、それを後世もずっと続けていく事しか出来ない。
やはり、合理的な選択が一番良いと思ってしまっているから。
べティーナが妊娠した時、ハイデマリーは後宮で生きることを決めた。これからのキルシュライト王家は良い方向へ変わると、そんな希望を持って。
その希望はべティーナの魔力が少なかった事によって、潰えることになったが。
妊娠出来たのはべティーナが貴族の血を引いており、平民よりは魔力を持っていたから。
胎児がまともに育たなかったのは、べティーナの貴族の血が薄まっていたから。
体を壊してしまったべティーナが王妃になるのは不可能だった。
「でも、分からなくてもどうにかしなければいけないのではないのです?
――だって、あの子、もうだいぶ体を悪くしているわ」
「……揉めているのは、ローデリヒの教育方針でだ」
「そうですね……。困りましたわ」
ディートヘルムはケーキの苺を投げやりにフォークで刺す。
「下手にべティーナの子供を王位につけない、なんて言うべきではなかったな。本人と周囲を安心させる為だった」
「たぶん私も同じことしましたわ」
「やはり、私達と彼女とは大きく違っているのだろうな。……いや、私達が違うのか」
国王は人ではない。
人々を導く光である。
人々の上に立つのが凡人であってはならない。
人間として在ってはならない。
だから、国王は誰か特定の者を特別扱いしない。気を遣うこともない。
何故なら、国民を平等に照らす希望の光なのだから。
「最低限、次代の国王としての教育は受けさせたいと思っているのだが……」
そうして彼らは間違える。
何を間違えているのか、それすらも分からないまま。
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「母上の体調はまだ戻らないのか?」
後宮の一室の前で、ローデリヒは眉を寄せた。侍女が扉の前で立ち塞がっている。
「殿下。べティーナ様は熱が高いのです。お控え下さい」
「ずっとじゃないか!」
そう言われ続けて、七日は会っていない。流石にローデリヒの胸に焦燥感が湧く。
母親は体が弱い。なのに、そんなに高熱が続いて大丈夫な訳がない。
自分の知らない所で大変なことになっているのではないか、と怖かった。
「少しだけ、少しだけお会いするだけ、だから」
「申し訳ございません。本日はべティーナ様は調子が悪いのです」
同じようなやり取りをグルグルと繰り返す。頑なに拒否する侍女に苛ついた。埒が明かない。
熱が出た、調子が悪いと言うだけ。
流石にもう聞き分けよくなんて、出来なかった。
「……っあ!殿下?!」
侍女の隙をついて扉を開ける。子供一人分の隙間からまんまと入ったローデリヒは、べティーナの寝室の前に立った。
「母上。母上?……入ります」
ローデリヒの予想に反して、べティーナは寝台に横たわってはいなかった。寝台に腰を掛けて、頭を抱えている。髪は乱れていた。ゆっくりと顔を上げた母親に、ローデリヒは僅かに笑みを浮かべる。
「…………だれ?」
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