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第1章
05.凌駕の重力
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アールグレイと氷魚、翠亜は彼女に近付いた。
「鴉、許せねぇよな」
「当たり前でしょ...私が私じゃなかったら今頃アイツの餌食だった....」
杉咲は不知火をじっと見ていたが、そいつがその目線に気付いた瞬間目を逸らしていた。あぁ..やっぱりこいつ.....不知火のことが好きなのか。若干頬が赤かったし。
「大丈夫、その鴉ってやつは私が倒すから」
「私たちも協力するわ、貴方たちのお友達を助けましょ」
「鴉さんは絶対に許せません。不知火さんを泣かせて....」
「お前ずっとそのことを考えてたのか」
カァアァアァアと顔が一気に真っ赤になる杉咲。
不知火はこくりと頷いて、これで協力関係は完成した。
「俺はアールグレイ、こいつは氷魚で翠亜、そんでこいつは冬真」
俺は連続で名前を読み上げていく。不知火はきょとんとした顔で杉咲の方を見ている。杉咲は不知火をふと見ると、首をちょっと傾げて彼の真後ろをじっと見ていた。
「アンタの真後ろに居る女の人、名前はなんていうの?」
『私はヒストリアと申します、よろしくお願いしますね?不知火灯さん』
不知火はヒストリアに興味を持っているのか、きらきらとした眼差しでじーっと見ている。杉咲は急にヒストリアが来てがっかりしたのか、裏路地に入り体育座りでぶつぶつと呟いていた。アールグレイはそんな杉咲を見るに堪えないので、って思ったが、氷魚が杉咲に駆け寄った。
「冬真、落ち込むなよ!」
氷魚は背中をポンポンと叩いていた。かなりほほえましい。
「鴉ちゃんに邪魔されちゃったけれど、寮に向かいましょ!えーっと..灯ちゃん?私たちを寮まで案内してもらってもいいかしら」
「あ...もしかしてアンタたち..明日転校してくる"人"たち?」
俺たち人じゃないんだけどなー。
「そうよ、そう、私たち転校生なの」
「そうだったんだね、じゃあ案内するよこっち」
不知火はアールグレイたちを魔導学校の寮まで案内してくれるらしい。
"人"だって!人じゃないのに!なんか新鮮だな、人間如きに人だって言われるの。
「ねぇ、さっきアイツが使ってた魔法、なんなの?魔導学校で見たことのなかったから....」
「あれは結晶、私たちに害をもたらすもの」
「アンタたちに、害をもたらす.....」
ぼそっとそう呟く不知火。翠亜は不知火に向かってにこっと笑い早歩きで不知火の前に立つ。
「でも大丈夫!私たちこう見えて強いのよ?」
「冬真ちゃんは、私たち4人の中で一番強いし、アルグレちゃんは次代を担う魔導士だし、氷魚ちゃんもまぁまぁ強いの!」
「おい」
翠亜の言葉に氷魚はぷちっと来たのか、ずかずかと翠亜に近付いて両頬を抓ったり伸ばしたり縮めたりしていた。
「アンタたち仲がいいのね、羨ましい限りだわ」
アールグレイ含め4人は急に表情が固まる。
「ねぇ?灯ちゃん、あの人、貴方の知り合い?」
「ああああん!!俺のマイス.....ウィーートハニィー!!こんなところにいたんだねぇえええ!!!!」
ドドドドドド!!という音と共に不知火に近付く1人の男性。不知火の表情は一気に青ざめアールグレイたち3人の後ろに隠れた。
「え?何?あの人...」
「私のクラスメイトの来栖 晋(くるす しん)くん...ここだけの話、彼ね妄想癖がすっっっごいんだ」
彼はアールグレイたちの顔を順に左から見ていった。
「俺の不知火さんなんで退いてくれますか?」
来栖はしかめっ面で、そう訳の分からないことを言っていた。
「いや、晋くんは他に彼女いるでしょ」
おお...まじかよ、二股....。二股は駄目だぜ.....。その、"彼女"という言葉を聞いた瞬間、来栖の表情は一気に一変する。
「彼女なんていないよ?不知火さん。勘違いも甚だしい、僕は君一筋さ☆」
「ふーん」
不知火はそう言いながら来栖に彼女が居るという決定的証拠を彼に突きつける。それは来栖が彼女と話している動画、美人っちゃ美人の女の人。
「綺麗だよね~この人、絶対20超えてるよ...もしかして晋くんって....ヤり魔?」
ぴくっと身体と表情が動く来栖。やっぱり図星だったみたいだ。
「ところでお前ら、なんで不知火さんといるの?」
「彼女に寮の場所を案内してもらっていたのよ」
「ふーん……また明日学校で会おうね、不知火さん!」
(鴉さんにはこのことを言っておいたほうがいいな....)
来栖は不敵な笑みを浮かべながら闇夜に消えていった。
氷魚は来栖の方を見ながら翠亜にこそっと何かを伝えていた。
「うん、うん、わかったわ」
アールグレイは不知火の方を見た。彼女はきょとんとした表情で氷魚たちの方を向く。
「灯ちゃん、ビックリするかもしれないけど、心して聞いてね」
「晋くんが鴉ってやつの手先なんでしょ」
この言葉を聞いた瞬間2人はビックリしていた。アールグレイも正直驚いていた、不知火は千里眼(※相手が思ってることも分かる)も持っていた。
「前々から知ってたよ、晋くんが私たちの敵だって」
「……ってまずいわ、夜はヤツのテリトリーよ、灯ちゃん早く寮の方へ」
「う、うん」
不知火は早歩きに寮の方へ歩いていく。
アールグレイは翠亜にこそこそっと聞いてみた。
「ヤツって誰なんだよ」
「....蝙蝠(コウモリ)。私たちの最大の敵」
「鴉じゃないのか?俺たちの敵は....」
翠亜は首を横に振る。翠亜はアールグレイにだけ教えた。鴉を従えているのは蝙蝠で、蝙蝠の下には鴉を含め10体以上の手下が居るということを。
1人目はヤマブキ、2人目は凌駕(りょうが)、3人目はカルテル・モンカ、4人目はシン・モンカ、5人目は小夜(さよ)、6人目はカキュウ・ド・フィルクラン、7人目はフェローチェ・カルナンディ、8人目は佐寿(さじゅ)、9人目はフィン、10人目はカルテット。
残りは不明。恐らく雑魚だろう...。さすが翠亜だな、きちんと蝙蝠の一味の情報が頭の中に入っている。
「ところで…兄さんの敵は、貴方たちですか?困るんですよねぇ...なぁんもロクに努力しない奴が蝙蝠兄さんを殺そうとするの」
『冬真さん、コイツ....』
「やあこんにちは、『 』」
口角はあがっているが目が一切笑っていない目の前の少年。
「アールグレイさんたちは下がっていてください、こいつはヒストリアの因縁相手です」
杉咲たちはアールグレイの前に出る。
「あっはははは!よく分かってますねぇ?吸血鬼の分際で。兄さんが邪魔だって言ってる吸血鬼はお前、ですよね?」
威圧がすごい...黒いオーラが目に見えて.......。目の前の少年は急に腕を上にあげると、急にアールグレイたちだけ重力が重くなる。
「ふふふ...俺の目の前のオカマさんは分かってますよね?俺の"特権"の能力」
「えぇ..蝙蝠ちゃんの下にいる子たちの名前、特徴、特権、全部私の頭の中に入ってるわよ?ねぇ?"凌駕"ちゃん。唯一蝙蝠一派にいる人間さん」
凌駕と呼ばれた少年は一瞬驚いた顔をしていたが、自分の名前を呼ばれたから驚いているわけではないみたいだ。
「え...どうやって......もしかしてお前....鴉さんの...!!!!」
「そうね、私は鴉ちゃんの弟よ、それに私と鴉ちゃんは長の子供」
「ふ~ん...だからなんですね...俺の重力が効かなかったの、納得です」
「うふふ..褒めてもらってうれしいわあ♡」
翠亜は頬に手を当てながら凌駕と話していた。やっぱ翠亜は最強だ、なんでも耐性を持っていてどんな特権も跳ね返せる。
「ってなわけで、貴方の特権、解除させてもらうわね」
翠亜は重力の特権解除の詠唱を唱え、解除した。
「むー...今回はこれくらいでいいですかね....もう何にもしないですよ、ただ鴉さんの弟さんがどんな顔なのか見に来ただけなので」
そう凌駕が呟くと、蝶々になって空に消えていった。
「鴉、許せねぇよな」
「当たり前でしょ...私が私じゃなかったら今頃アイツの餌食だった....」
杉咲は不知火をじっと見ていたが、そいつがその目線に気付いた瞬間目を逸らしていた。あぁ..やっぱりこいつ.....不知火のことが好きなのか。若干頬が赤かったし。
「大丈夫、その鴉ってやつは私が倒すから」
「私たちも協力するわ、貴方たちのお友達を助けましょ」
「鴉さんは絶対に許せません。不知火さんを泣かせて....」
「お前ずっとそのことを考えてたのか」
カァアァアァアと顔が一気に真っ赤になる杉咲。
不知火はこくりと頷いて、これで協力関係は完成した。
「俺はアールグレイ、こいつは氷魚で翠亜、そんでこいつは冬真」
俺は連続で名前を読み上げていく。不知火はきょとんとした顔で杉咲の方を見ている。杉咲は不知火をふと見ると、首をちょっと傾げて彼の真後ろをじっと見ていた。
「アンタの真後ろに居る女の人、名前はなんていうの?」
『私はヒストリアと申します、よろしくお願いしますね?不知火灯さん』
不知火はヒストリアに興味を持っているのか、きらきらとした眼差しでじーっと見ている。杉咲は急にヒストリアが来てがっかりしたのか、裏路地に入り体育座りでぶつぶつと呟いていた。アールグレイはそんな杉咲を見るに堪えないので、って思ったが、氷魚が杉咲に駆け寄った。
「冬真、落ち込むなよ!」
氷魚は背中をポンポンと叩いていた。かなりほほえましい。
「鴉ちゃんに邪魔されちゃったけれど、寮に向かいましょ!えーっと..灯ちゃん?私たちを寮まで案内してもらってもいいかしら」
「あ...もしかしてアンタたち..明日転校してくる"人"たち?」
俺たち人じゃないんだけどなー。
「そうよ、そう、私たち転校生なの」
「そうだったんだね、じゃあ案内するよこっち」
不知火はアールグレイたちを魔導学校の寮まで案内してくれるらしい。
"人"だって!人じゃないのに!なんか新鮮だな、人間如きに人だって言われるの。
「ねぇ、さっきアイツが使ってた魔法、なんなの?魔導学校で見たことのなかったから....」
「あれは結晶、私たちに害をもたらすもの」
「アンタたちに、害をもたらす.....」
ぼそっとそう呟く不知火。翠亜は不知火に向かってにこっと笑い早歩きで不知火の前に立つ。
「でも大丈夫!私たちこう見えて強いのよ?」
「冬真ちゃんは、私たち4人の中で一番強いし、アルグレちゃんは次代を担う魔導士だし、氷魚ちゃんもまぁまぁ強いの!」
「おい」
翠亜の言葉に氷魚はぷちっと来たのか、ずかずかと翠亜に近付いて両頬を抓ったり伸ばしたり縮めたりしていた。
「アンタたち仲がいいのね、羨ましい限りだわ」
アールグレイ含め4人は急に表情が固まる。
「ねぇ?灯ちゃん、あの人、貴方の知り合い?」
「ああああん!!俺のマイス.....ウィーートハニィー!!こんなところにいたんだねぇえええ!!!!」
ドドドドドド!!という音と共に不知火に近付く1人の男性。不知火の表情は一気に青ざめアールグレイたち3人の後ろに隠れた。
「え?何?あの人...」
「私のクラスメイトの来栖 晋(くるす しん)くん...ここだけの話、彼ね妄想癖がすっっっごいんだ」
彼はアールグレイたちの顔を順に左から見ていった。
「俺の不知火さんなんで退いてくれますか?」
来栖はしかめっ面で、そう訳の分からないことを言っていた。
「いや、晋くんは他に彼女いるでしょ」
おお...まじかよ、二股....。二股は駄目だぜ.....。その、"彼女"という言葉を聞いた瞬間、来栖の表情は一気に一変する。
「彼女なんていないよ?不知火さん。勘違いも甚だしい、僕は君一筋さ☆」
「ふーん」
不知火はそう言いながら来栖に彼女が居るという決定的証拠を彼に突きつける。それは来栖が彼女と話している動画、美人っちゃ美人の女の人。
「綺麗だよね~この人、絶対20超えてるよ...もしかして晋くんって....ヤり魔?」
ぴくっと身体と表情が動く来栖。やっぱり図星だったみたいだ。
「ところでお前ら、なんで不知火さんといるの?」
「彼女に寮の場所を案内してもらっていたのよ」
「ふーん……また明日学校で会おうね、不知火さん!」
(鴉さんにはこのことを言っておいたほうがいいな....)
来栖は不敵な笑みを浮かべながら闇夜に消えていった。
氷魚は来栖の方を見ながら翠亜にこそっと何かを伝えていた。
「うん、うん、わかったわ」
アールグレイは不知火の方を見た。彼女はきょとんとした表情で氷魚たちの方を向く。
「灯ちゃん、ビックリするかもしれないけど、心して聞いてね」
「晋くんが鴉ってやつの手先なんでしょ」
この言葉を聞いた瞬間2人はビックリしていた。アールグレイも正直驚いていた、不知火は千里眼(※相手が思ってることも分かる)も持っていた。
「前々から知ってたよ、晋くんが私たちの敵だって」
「……ってまずいわ、夜はヤツのテリトリーよ、灯ちゃん早く寮の方へ」
「う、うん」
不知火は早歩きに寮の方へ歩いていく。
アールグレイは翠亜にこそこそっと聞いてみた。
「ヤツって誰なんだよ」
「....蝙蝠(コウモリ)。私たちの最大の敵」
「鴉じゃないのか?俺たちの敵は....」
翠亜は首を横に振る。翠亜はアールグレイにだけ教えた。鴉を従えているのは蝙蝠で、蝙蝠の下には鴉を含め10体以上の手下が居るということを。
1人目はヤマブキ、2人目は凌駕(りょうが)、3人目はカルテル・モンカ、4人目はシン・モンカ、5人目は小夜(さよ)、6人目はカキュウ・ド・フィルクラン、7人目はフェローチェ・カルナンディ、8人目は佐寿(さじゅ)、9人目はフィン、10人目はカルテット。
残りは不明。恐らく雑魚だろう...。さすが翠亜だな、きちんと蝙蝠の一味の情報が頭の中に入っている。
「ところで…兄さんの敵は、貴方たちですか?困るんですよねぇ...なぁんもロクに努力しない奴が蝙蝠兄さんを殺そうとするの」
『冬真さん、コイツ....』
「やあこんにちは、『 』」
口角はあがっているが目が一切笑っていない目の前の少年。
「アールグレイさんたちは下がっていてください、こいつはヒストリアの因縁相手です」
杉咲たちはアールグレイの前に出る。
「あっはははは!よく分かってますねぇ?吸血鬼の分際で。兄さんが邪魔だって言ってる吸血鬼はお前、ですよね?」
威圧がすごい...黒いオーラが目に見えて.......。目の前の少年は急に腕を上にあげると、急にアールグレイたちだけ重力が重くなる。
「ふふふ...俺の目の前のオカマさんは分かってますよね?俺の"特権"の能力」
「えぇ..蝙蝠ちゃんの下にいる子たちの名前、特徴、特権、全部私の頭の中に入ってるわよ?ねぇ?"凌駕"ちゃん。唯一蝙蝠一派にいる人間さん」
凌駕と呼ばれた少年は一瞬驚いた顔をしていたが、自分の名前を呼ばれたから驚いているわけではないみたいだ。
「え...どうやって......もしかしてお前....鴉さんの...!!!!」
「そうね、私は鴉ちゃんの弟よ、それに私と鴉ちゃんは長の子供」
「ふ~ん...だからなんですね...俺の重力が効かなかったの、納得です」
「うふふ..褒めてもらってうれしいわあ♡」
翠亜は頬に手を当てながら凌駕と話していた。やっぱ翠亜は最強だ、なんでも耐性を持っていてどんな特権も跳ね返せる。
「ってなわけで、貴方の特権、解除させてもらうわね」
翠亜は重力の特権解除の詠唱を唱え、解除した。
「むー...今回はこれくらいでいいですかね....もう何にもしないですよ、ただ鴉さんの弟さんがどんな顔なのか見に来ただけなので」
そう凌駕が呟くと、蝶々になって空に消えていった。
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