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第1章
07.カロルという名の吸血鬼
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夜中近いのにも関わらず、1人の女性が近寄り、アールグレイたちに挨拶をしてきた。
「こんにちは。あなた方が転校生なのね?私(わたくし)は美硝子 小夜(みがらす さよ)と云うものですの」
どこからか扇を取り出し口元に当てる。翠亜はじっと美硝子を見ていたが、さっと目を逸した。
「………私たちのこと知ってるわよね?小夜ちゃん?」
「えぇ。存じておりますの、アールグレイ様と氷魚様と翠啞様?」
(俺たちも有名になったものだな。たかが一般人に名前を覚えられてるなんて)
そうアールグレイは思ったが、翠亜の口から零れたのは予想を遥かに超えたものだった。
「何言ってんの紅茶、コイツ蝙蝠の一味だよ」
「褒めてくださってるのかしら、嬉しいわあほんとに♡あなた方は私たちの敵なんですの、シン様もこの学園トップクラスの魔導師に負けたみたいで、ざまあないですわあ♡♡」
扇を口元に当て笑っている美硝子。蝙蝠の一味というなら、こいつも吸血鬼。結構な人数の吸血鬼と知り合いになりそうで恐ろしいな、、、でも来栖とこいつは敵。どんな特権を使うのだろうか。
「私の特権を知りたい……くすっ…敵に手の内を魅せるほどお馬鹿ではないのよ?」
「こんなところで戦ったら周りの人たちが起きちゃうわ、今回のところは“穏便に済ます”ってことでどうかしら」
「いいですわよ、真夜中ですものね、仕方がありませんわ」
螺旋階段横でドンパチをしたら、周りの魔導師の睡眠を邪魔することになるために、ここは穏便に済まそう、ってことになった。美硝子は扇に口を当てた後その扇をアールグレイたちに向けてきた。
「蝙蝠様の邪魔はさせません、もし仮に邪魔をするなら私はあなた方を排除しなければなりませんの。私自身あまり血を見たくないもので」
口は笑っているが目が一切笑っていない。相当自信がある様に見える。
「それでは御免遊ばせ~」
くるっと方向転換する美硝子は、そそくさと自分の部屋に入っていった。
「それじゃあ私たちも部屋に入りましょうか、明日は早いわ」
「そうだな」
翠亜は部屋の鍵を開けると、エアコンがかかっていたみたいで、涼しい風が一気に入り込んでくる。
「すずしっっ」
「さっっっっむ」
「キンキンに冷えてるじゃない、一体誰が……」
3人は顔を合わせると、1人の名前が思い浮かんだ。“美硝子小夜”、美硝子がここのエアコンを勝手に操作していた、、、ということになる。
「遠隔操作……超上級者しか使えない特権だ」
ぽつりとそう呟く氷魚。あの舞妓さんみたいなヤツ、相当な手練だ。
一体、何のために…………。
「ぷぷぷぷぷぷぷ………」
アールグレイたちの部屋の中に響いた不気味な笑い声。
「え、何の声??」
「心霊、物件…………?」
「まさか、ここは学校の寮だぞ」
笑い声がしたところを3人で捜索しようということになった。
「ぷぷぷぷぷぷ」
また不気味な笑い声。初めはお風呂場から笑い声が聞こえていたが、次は寝室…。この笑い声の主は移動している、ということになる。
「頑なに探しましょ、こんな笑い声した中じゃ寝れるものも寝れないわ」
「ぷーぷぷぷぷぷ」
「????」
次はアールグレイたちの目の前で笑い声が聞こえた。翠亜はきょろきょろしているが、その人物が目視できない。
「ぷぷぷぷぷぷ どこを見ているのか!!」
まさか。と思い、恐る恐る下の方へ視線を下ろすと、風船の様に丸々と太った猫がアールグレイたちを見上げていた。
「!!!!カロル!!」
ボンッという音と共に目の前にいた小動物は小さい人間に姿を変えた。
「久しぶり!翠くんと氷魚くんと紅茶くん!」
小学生くらいの身長で、相変わらず人を見下す言い方。
「なんで……なんで俺だけ“紅茶”呼びなんだよ!!!!」
「だって紅茶は紅茶だろ?」
「まぁまぁ…吸血鬼が敵となりゃ医者は必要でしょ??ってことで!僕が人間界に派遣されたのであるっ!!」
ででーんという効果音が出てきそうなポーズを取っているカロル。
「もしかして、ここのエアコンをつけたのも……」
「僕★」
翠亜は頬に手をついていて、氷魚は諦めムード、アールグレイは半ギレしそうな状態。
「なんで俺だけ“紅茶”呼びなんだよ……ムカつくな…」
ぼそっとそう呟くアールグレイ。その言葉にカロルは気づいたようでそっぽを向きながらぽつりとアールグレイの名前を言った。
「ん、今なんて言ったんだ?カロル」
「なんでもないよ、紅茶くん。さ、僕もう帰ろーっと!」
「ぷぷぷぷぷぷ」
不敵な笑いをしながら、カロルはアールグレイたちの部屋を出ていった。「ん、なんだこれ…置き土産?」
テーブルの上にはカロルの土産だろうか、京都のお土産品である八ツ橋と紅芋タルトが置いてあった。
「あーーー!忘れ物忘れ物!!」
カロルがテーブルに置いてある2つのお土産品を手に取った。じーっと3人の顔を見ているカロル。
「にひひ」
笑いながら袋に入っている八ツ橋5つをテーブルの上に置いた。
「これは僕の“ファン”から貰ったお土産品!紅茶くんたちにもあげるね」
そう言った後、扉をあけて誰かを助けにカロルはまた何処かへ歩いていった。
「こんにちは。あなた方が転校生なのね?私(わたくし)は美硝子 小夜(みがらす さよ)と云うものですの」
どこからか扇を取り出し口元に当てる。翠亜はじっと美硝子を見ていたが、さっと目を逸した。
「………私たちのこと知ってるわよね?小夜ちゃん?」
「えぇ。存じておりますの、アールグレイ様と氷魚様と翠啞様?」
(俺たちも有名になったものだな。たかが一般人に名前を覚えられてるなんて)
そうアールグレイは思ったが、翠亜の口から零れたのは予想を遥かに超えたものだった。
「何言ってんの紅茶、コイツ蝙蝠の一味だよ」
「褒めてくださってるのかしら、嬉しいわあほんとに♡あなた方は私たちの敵なんですの、シン様もこの学園トップクラスの魔導師に負けたみたいで、ざまあないですわあ♡♡」
扇を口元に当て笑っている美硝子。蝙蝠の一味というなら、こいつも吸血鬼。結構な人数の吸血鬼と知り合いになりそうで恐ろしいな、、、でも来栖とこいつは敵。どんな特権を使うのだろうか。
「私の特権を知りたい……くすっ…敵に手の内を魅せるほどお馬鹿ではないのよ?」
「こんなところで戦ったら周りの人たちが起きちゃうわ、今回のところは“穏便に済ます”ってことでどうかしら」
「いいですわよ、真夜中ですものね、仕方がありませんわ」
螺旋階段横でドンパチをしたら、周りの魔導師の睡眠を邪魔することになるために、ここは穏便に済まそう、ってことになった。美硝子は扇に口を当てた後その扇をアールグレイたちに向けてきた。
「蝙蝠様の邪魔はさせません、もし仮に邪魔をするなら私はあなた方を排除しなければなりませんの。私自身あまり血を見たくないもので」
口は笑っているが目が一切笑っていない。相当自信がある様に見える。
「それでは御免遊ばせ~」
くるっと方向転換する美硝子は、そそくさと自分の部屋に入っていった。
「それじゃあ私たちも部屋に入りましょうか、明日は早いわ」
「そうだな」
翠亜は部屋の鍵を開けると、エアコンがかかっていたみたいで、涼しい風が一気に入り込んでくる。
「すずしっっ」
「さっっっっむ」
「キンキンに冷えてるじゃない、一体誰が……」
3人は顔を合わせると、1人の名前が思い浮かんだ。“美硝子小夜”、美硝子がここのエアコンを勝手に操作していた、、、ということになる。
「遠隔操作……超上級者しか使えない特権だ」
ぽつりとそう呟く氷魚。あの舞妓さんみたいなヤツ、相当な手練だ。
一体、何のために…………。
「ぷぷぷぷぷぷぷ………」
アールグレイたちの部屋の中に響いた不気味な笑い声。
「え、何の声??」
「心霊、物件…………?」
「まさか、ここは学校の寮だぞ」
笑い声がしたところを3人で捜索しようということになった。
「ぷぷぷぷぷぷ」
また不気味な笑い声。初めはお風呂場から笑い声が聞こえていたが、次は寝室…。この笑い声の主は移動している、ということになる。
「頑なに探しましょ、こんな笑い声した中じゃ寝れるものも寝れないわ」
「ぷーぷぷぷぷぷ」
「????」
次はアールグレイたちの目の前で笑い声が聞こえた。翠亜はきょろきょろしているが、その人物が目視できない。
「ぷぷぷぷぷぷ どこを見ているのか!!」
まさか。と思い、恐る恐る下の方へ視線を下ろすと、風船の様に丸々と太った猫がアールグレイたちを見上げていた。
「!!!!カロル!!」
ボンッという音と共に目の前にいた小動物は小さい人間に姿を変えた。
「久しぶり!翠くんと氷魚くんと紅茶くん!」
小学生くらいの身長で、相変わらず人を見下す言い方。
「なんで……なんで俺だけ“紅茶”呼びなんだよ!!!!」
「だって紅茶は紅茶だろ?」
「まぁまぁ…吸血鬼が敵となりゃ医者は必要でしょ??ってことで!僕が人間界に派遣されたのであるっ!!」
ででーんという効果音が出てきそうなポーズを取っているカロル。
「もしかして、ここのエアコンをつけたのも……」
「僕★」
翠亜は頬に手をついていて、氷魚は諦めムード、アールグレイは半ギレしそうな状態。
「なんで俺だけ“紅茶”呼びなんだよ……ムカつくな…」
ぼそっとそう呟くアールグレイ。その言葉にカロルは気づいたようでそっぽを向きながらぽつりとアールグレイの名前を言った。
「ん、今なんて言ったんだ?カロル」
「なんでもないよ、紅茶くん。さ、僕もう帰ろーっと!」
「ぷぷぷぷぷぷ」
不敵な笑いをしながら、カロルはアールグレイたちの部屋を出ていった。「ん、なんだこれ…置き土産?」
テーブルの上にはカロルの土産だろうか、京都のお土産品である八ツ橋と紅芋タルトが置いてあった。
「あーーー!忘れ物忘れ物!!」
カロルがテーブルに置いてある2つのお土産品を手に取った。じーっと3人の顔を見ているカロル。
「にひひ」
笑いながら袋に入っている八ツ橋5つをテーブルの上に置いた。
「これは僕の“ファン”から貰ったお土産品!紅茶くんたちにもあげるね」
そう言った後、扉をあけて誰かを助けにカロルはまた何処かへ歩いていった。
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