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第1章 異世界転移&チート持ち──確かにハーレムだけど、想像してたやつと全然違った件
第11話 チート無限資金で街中のアイテムを買い漁る!依頼の掃除もチートで気持ちよく!
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午後。
カナタは軽い足取りで冒険者ギルドへ向かっていた。
(依頼完了ってどんな感じなんだろう……?ちょっと楽しみだな……!)
ギルドの扉を押し開けると、昼過ぎのためか朝よりも人は少なく、
受付前もすんなりと進めそうな静けさが漂っていた。
「次の方、どうぞ」
呼ばれたカナタは受付へ向かい、インベントリから薬草の束を取り出す。
「ミント草10束、依頼分そろっていますね。確認します」
受付嬢が慣れた手つきで数を確認すると、ほんの数秒で処理完了した。
「はい、依頼達成です。こちらが報酬になります」
「おお、早っ!」
カナタはつい声を上げてしまった。
冒険者の仕事というからもっと時間がかかると思っていたが、想像以上に事務処理が早い。
(いや……チートで楽に集めたとはいえ、こうして正式に依頼“完了”すると気持ちいいな……!)
ほくほくした気分のまま依頼掲示板へ目を向けると、
初心者向けの日常依頼がずらりと並んでいた。
「家の掃除」「買い物代行」「庭の草むしり」
「落とし物探し」「荷物運び」……
その中で、ひとつの依頼票が目に留まった。
■ 依頼:家屋清掃サポート
《報酬:1500G》
《内容:依頼者宅の室内清掃・簡単な片付け》
《訪問時間:16:00》
(掃除か……チートなら余裕すぎるし、いい経験になりそうだし……よし、これにしよう!)
冒険者証を依頼書の上にそっと重ねる。
──ピッ。
淡い光が走り、依頼情報が即座にカナタの冒険者証へ読み込まれた。
【依頼受注完了】
《家屋清掃サポート》
《報酬:1500G》
《訪問時間:16:00》
(うん、ちゃんと入ったな。こういう生活系依頼も悪くないよな!)
外へ出ると、まだかなり時間があった。
(16時まで……まだ余裕ある……
せっかくだし、街でも探索してみるか!)
ギルドを出たカナタは、石畳の大通りを歩きながら周囲を見回した。
陽射しはまだ明るく、街は昼下がりのゆったりした空気に包まれている。
(日本じゃ散歩なんて全然しなかったけど……異世界ではすべてが新鮮に見えて楽しいな!)
そう思って歩いていると、視界の端にひときわ大きな看板が映った。
──《アルデ文庫》と書かれた木製の看板。
外観は二階建て、窓には本のイラストが飾られ、扉の前には小さな立て看板。
どう見ても“本屋”である。
(……お、本屋!? 異世界の本屋とか絶対おもしろいだろ……!)
ワクワクしながら扉を押す。
──カラン。
中に入った瞬間、インクと紙の落ち着いた匂いがふわっと広がった。
店内は思った以上に広く、棚にはぎっしりと本が並んでいる。
魔法理論書、植物図鑑、地理書、歴史書、魔獣名鑑……ジャンルが幅広すぎる。
(うわ……種類多っ! テンション上がる……!)
カナタは棚に並ぶ本の背表紙を片っ端から眺めた。
魔法陣の描き方、ダンジョン調査記録、魔物の弱点まとめ、薬草の繁殖指南書──
どれも知的好奇心をくすぐる内容ばかりだ。
(異世界の知識って全部価値あるよな……これは勉強にもなるし、中国人観光客並に買おう!)
カナタは迷うことなく本を手に取り、次々と積み重ねていく。
普通の冒険者なら荷物になる量だが、カナタのチートなら重さは問題にならない。
すでに両腕いっぱいになったところで、店主の老人が驚いた顔で声をかけてきた。
「お、お客さん……そんなに買うのかい? 全部で二十冊以上あるよ?」
「ええ、全部お願いします!」
「ぜ、全部!? 本棚でも作るのかい……?」
(本棚……作るか……? いや、モンスターファームに置いてもいいな……!)
カナタが満面の笑みで本を抱えると、店主は苦笑しながら包装を始めた。
「若いのに本が好きなのはいいことだねぇ……しかしこんなにとは……」
「まあ、知識は大事ですから!」
(日本じゃ勉強も本を読むのも大嫌いだったけど……
異世界の本は“ゲームの仕様書”みたいで最高の娯楽になるだろ!)
本を受け取り、カナタは意気揚々と店を後にした。
(……お金が無限に使える買い物って、こんなに楽しいんだ……!
YoutubeのShortsでよく見るドバイ人になった気分……!
さて、次は……どこか他にも面白そうな店ないかな!)
そう周囲を見渡した瞬間、今度は別の店の外観が目に留まる。
──魔法器具店らしき派手な看板が通りの奥に光っていた。
──《アルデ魔具店》
(……おお、マジックアイテム店!? 絶対寄る!!)
看板には魔法陣やランプのイラストが描かれ、
扉の前にはキラキラ光る石が並べられている。
(おお……異世界といえば魔法道具! 行くしかない!!)
勢いよく扉を押し開ける。
──カラン。
中は予想を遥かに超えて広かった。
壁にはランプ、ポーチ、杖、魔法で冷える保存箱などが並び、
棚には魔力を帯びた小物やアクセサリーがぎっしり。
(うわ……品揃ええぐいな……!
魔法道具ってこんなに種類あるのかよ……!)
カナタは棚に近づき、一つ一つ手に取って確認していく。
「こちらは魔石ランプですね。魔力を流せば一晩持ちますよ」
店主の渋い声が聞こえた。
「おおっ、便利そうですね。これください!」
「ありがとうございます。ほかにも夜道用の光玉や、収納袋なんかもありますよ」
(収納袋……!? ゲームの定番アイテムじゃん!)
さっそく手に取る。
【APPRAISAL】
▷ 名称:簡易収納袋
▷ 容量:50リットル
▷ 特徴:入れた物の重量を半減
▷ 備考:冒険初心者に人気
(重量半減!? 便利すぎる! 買う!!)
カナタはテンションのまま、次々と商品を手に取っていく。
・魔石ランプ
・携帯浄水ボトル
・魔力で温まるブランケット
・自動補充型インクセット
・火起こし魔道具
・携帯調理プレート
(いやぁ……こんな大量に物を買う日が来るなんて……
もはやテーマパークに来た気分だわ……!)
気がつけば、店主が目を丸くしていた。
「お、お客さん……ほんとに全部買うんですか……? けっこうな値段になりますよ?」
「ええ、端から端まで! 全部ください!」
「す、すごい景気だ……大冒険でも行くのかい?」
(大冒険……!? 確かにこの世界に来てチートを持っているなら……!
すべてを堪能しないとな……!)
店主が慌てながら袋詰めするのを待つ間、
カナタは店内を見渡した。
(異世界の買い物……楽しすぎるな……!
本買って、魔道具も買って……あとは掃除の依頼だけだな!)
カナタはすべてのアイテムを受け取り、軽く会釈して店を後にした。
(よし……次は依頼先の家に向かう準備するか!)
腕時計代わりのUIを見ると、まだ少し余裕がある。
(ちょうどいい時間だな。そろそろ向かうか……!)
マジックアイテム店での買い物を終え、カナタは街道を外れた住宅街へと足を向けた。
家々が並ぶ通りは賑やかな商業区とは違い、穏やかで静かな空気が流れている。
(依頼先はここをまっすぐ進んで……角を曲がって……あ、あれか)
小さくて可愛らしい木造の家が視界に入った。
古いけれど手入れは行き届いており、花の鉢植えがいくつも並んでいる。
(おばあちゃんの家って感じだな……なんか落ち着く雰囲気だ……)
カナタは扉横の金属ノッカーを軽く叩いた。
──コン、コン。
「はぁい……」
扉の向こうから優しい声が響き、ゆっくりと扉が開く。
現れたのは、小柄で背を少し曲げた白髪のおばあちゃん。
エプロンをつけ、温かい笑顔を浮かべている。
「まあ……あなたが冒険者さんかい? 来てくれてありがとうねぇ」
「こんにちは。掃除の依頼で伺いました、カナタです」
「ああ、そうそう……助かるよ。最近少し調子が悪くてねぇ……部屋の掃除をお願いしたかったんだよ」
おばあちゃんはゆっくりと家の中へ案内してくれた。
室内は思ったより物が多くはないが、隅のほうにホコリが溜まっていたり、
棚の上の小物が整理しきれておらず、生活の手が回らない様子が伝わってくる。
(なるほど……こんな感じならチート掃除で一瞬だな……!)
「悪いねぇ……本当に、ちょっとだけでいいから……」
「お任せください。すぐ終わらせますから」
おばあちゃんは安心したように微笑んだ。
「そんなに急がなくていいんだよ? 本当に助かるよ……ありがとうねぇ」
「いえ、せっかくの依頼ですし、しっかりやらせてもらいます」
カナタは軽く頷き、部屋の中央へ立つ。
(よし……チートで掃除、やってみるか……!)
風魔法、水魔法、物体操作魔法──
いろんな掃除のアイデアが頭の中で閃く。
(これ……案外楽しそうだぞ……!)
「さて……」
カナタは軽く息を吸い、手を前にかざした。
(まずは風魔法で……!)
指先からふわりと柔らかい風が広がり、部屋の隅に溜まっていたホコリがふわっと舞い上がる。
しかし舞い散ることはなく、風は渦を描くようにホコリだけを集め、一点へまとめ上げた。
(よし……次は水魔法を使い……!)
渦に小さな水の球を落とすと、ホコリがそのまま吸収され、泥水のように凝縮されていく。
水は空中で“汚れだけ”を取り込み、自動的にカナタの前へ流れてくる。
(最後に……物体操作魔法で仕上げ!)
手をひらりと振るだけで椅子、棚、小物、カーペットまですべて宙に浮いた。
床には何一つ残らず、すべての家具がふわりと空中で待機する。
「うわっ……浮いた……」
後ろでおばあちゃんが息を呑む。
(床、ピカピカにするか……!)
透明の水膜が床全体をなぞると、くすんだ木材は新品のような艶を取り戻した。
次に浮かぶ家具へ風と水を順番に当て、ホコリや汚れを完全に取り除く。
まるでゲームの“掃除スキルの連打”のように、
部屋の汚れが高速で浄化されていく。
(……掃除ってこんな楽しいのか!?
チートでやると……むしろ無限に掃除したくなるな……!)
軽快に指を動かすたびに物が光り、埃が消え、空気が澄んでいく。
たった数分──
部屋は、まるで新築のような清潔さになっていた。
「……はい、終わりました!」
宙に浮いていた家具がそっと元の位置へ戻り、
カナタは手をパンッと軽く叩いた。
「えっ……えっ……?」
おばあちゃんは辺りを見回し、口元を押さえた。
「もう……終わったのかい……?」
「はい。問題なく完了です。これでも一応、冒険者なので」
カナタが軽く笑って言うと、
「まぁ……なんてことだい……! 本当にありがとう……!」
おばあちゃんは目を潤ませ、両手を胸に当てながら深く頭を下げた。
「ここまで綺麗になるなんて……こんなに助かることはないよ……」
「喜んでもらえたなら、よかったです!」
温かい空気が、静かに部屋に満ちていく。
(……ダンジョンの依頼達成とは違う気持ちよさがある……!)
ただ誰かの役に立ち、感謝される──
そのシンプルさが妙に心に沁みた。
「本当にありがとうねぇ、冒険者さん」
「こちらこそ!」
こうしてカナタは、異世界での二度目の依頼を気持ちよく完了させたのだった。
カナタは軽い足取りで冒険者ギルドへ向かっていた。
(依頼完了ってどんな感じなんだろう……?ちょっと楽しみだな……!)
ギルドの扉を押し開けると、昼過ぎのためか朝よりも人は少なく、
受付前もすんなりと進めそうな静けさが漂っていた。
「次の方、どうぞ」
呼ばれたカナタは受付へ向かい、インベントリから薬草の束を取り出す。
「ミント草10束、依頼分そろっていますね。確認します」
受付嬢が慣れた手つきで数を確認すると、ほんの数秒で処理完了した。
「はい、依頼達成です。こちらが報酬になります」
「おお、早っ!」
カナタはつい声を上げてしまった。
冒険者の仕事というからもっと時間がかかると思っていたが、想像以上に事務処理が早い。
(いや……チートで楽に集めたとはいえ、こうして正式に依頼“完了”すると気持ちいいな……!)
ほくほくした気分のまま依頼掲示板へ目を向けると、
初心者向けの日常依頼がずらりと並んでいた。
「家の掃除」「買い物代行」「庭の草むしり」
「落とし物探し」「荷物運び」……
その中で、ひとつの依頼票が目に留まった。
■ 依頼:家屋清掃サポート
《報酬:1500G》
《内容:依頼者宅の室内清掃・簡単な片付け》
《訪問時間:16:00》
(掃除か……チートなら余裕すぎるし、いい経験になりそうだし……よし、これにしよう!)
冒険者証を依頼書の上にそっと重ねる。
──ピッ。
淡い光が走り、依頼情報が即座にカナタの冒険者証へ読み込まれた。
【依頼受注完了】
《家屋清掃サポート》
《報酬:1500G》
《訪問時間:16:00》
(うん、ちゃんと入ったな。こういう生活系依頼も悪くないよな!)
外へ出ると、まだかなり時間があった。
(16時まで……まだ余裕ある……
せっかくだし、街でも探索してみるか!)
ギルドを出たカナタは、石畳の大通りを歩きながら周囲を見回した。
陽射しはまだ明るく、街は昼下がりのゆったりした空気に包まれている。
(日本じゃ散歩なんて全然しなかったけど……異世界ではすべてが新鮮に見えて楽しいな!)
そう思って歩いていると、視界の端にひときわ大きな看板が映った。
──《アルデ文庫》と書かれた木製の看板。
外観は二階建て、窓には本のイラストが飾られ、扉の前には小さな立て看板。
どう見ても“本屋”である。
(……お、本屋!? 異世界の本屋とか絶対おもしろいだろ……!)
ワクワクしながら扉を押す。
──カラン。
中に入った瞬間、インクと紙の落ち着いた匂いがふわっと広がった。
店内は思った以上に広く、棚にはぎっしりと本が並んでいる。
魔法理論書、植物図鑑、地理書、歴史書、魔獣名鑑……ジャンルが幅広すぎる。
(うわ……種類多っ! テンション上がる……!)
カナタは棚に並ぶ本の背表紙を片っ端から眺めた。
魔法陣の描き方、ダンジョン調査記録、魔物の弱点まとめ、薬草の繁殖指南書──
どれも知的好奇心をくすぐる内容ばかりだ。
(異世界の知識って全部価値あるよな……これは勉強にもなるし、中国人観光客並に買おう!)
カナタは迷うことなく本を手に取り、次々と積み重ねていく。
普通の冒険者なら荷物になる量だが、カナタのチートなら重さは問題にならない。
すでに両腕いっぱいになったところで、店主の老人が驚いた顔で声をかけてきた。
「お、お客さん……そんなに買うのかい? 全部で二十冊以上あるよ?」
「ええ、全部お願いします!」
「ぜ、全部!? 本棚でも作るのかい……?」
(本棚……作るか……? いや、モンスターファームに置いてもいいな……!)
カナタが満面の笑みで本を抱えると、店主は苦笑しながら包装を始めた。
「若いのに本が好きなのはいいことだねぇ……しかしこんなにとは……」
「まあ、知識は大事ですから!」
(日本じゃ勉強も本を読むのも大嫌いだったけど……
異世界の本は“ゲームの仕様書”みたいで最高の娯楽になるだろ!)
本を受け取り、カナタは意気揚々と店を後にした。
(……お金が無限に使える買い物って、こんなに楽しいんだ……!
YoutubeのShortsでよく見るドバイ人になった気分……!
さて、次は……どこか他にも面白そうな店ないかな!)
そう周囲を見渡した瞬間、今度は別の店の外観が目に留まる。
──魔法器具店らしき派手な看板が通りの奥に光っていた。
──《アルデ魔具店》
(……おお、マジックアイテム店!? 絶対寄る!!)
看板には魔法陣やランプのイラストが描かれ、
扉の前にはキラキラ光る石が並べられている。
(おお……異世界といえば魔法道具! 行くしかない!!)
勢いよく扉を押し開ける。
──カラン。
中は予想を遥かに超えて広かった。
壁にはランプ、ポーチ、杖、魔法で冷える保存箱などが並び、
棚には魔力を帯びた小物やアクセサリーがぎっしり。
(うわ……品揃ええぐいな……!
魔法道具ってこんなに種類あるのかよ……!)
カナタは棚に近づき、一つ一つ手に取って確認していく。
「こちらは魔石ランプですね。魔力を流せば一晩持ちますよ」
店主の渋い声が聞こえた。
「おおっ、便利そうですね。これください!」
「ありがとうございます。ほかにも夜道用の光玉や、収納袋なんかもありますよ」
(収納袋……!? ゲームの定番アイテムじゃん!)
さっそく手に取る。
【APPRAISAL】
▷ 名称:簡易収納袋
▷ 容量:50リットル
▷ 特徴:入れた物の重量を半減
▷ 備考:冒険初心者に人気
(重量半減!? 便利すぎる! 買う!!)
カナタはテンションのまま、次々と商品を手に取っていく。
・魔石ランプ
・携帯浄水ボトル
・魔力で温まるブランケット
・自動補充型インクセット
・火起こし魔道具
・携帯調理プレート
(いやぁ……こんな大量に物を買う日が来るなんて……
もはやテーマパークに来た気分だわ……!)
気がつけば、店主が目を丸くしていた。
「お、お客さん……ほんとに全部買うんですか……? けっこうな値段になりますよ?」
「ええ、端から端まで! 全部ください!」
「す、すごい景気だ……大冒険でも行くのかい?」
(大冒険……!? 確かにこの世界に来てチートを持っているなら……!
すべてを堪能しないとな……!)
店主が慌てながら袋詰めするのを待つ間、
カナタは店内を見渡した。
(異世界の買い物……楽しすぎるな……!
本買って、魔道具も買って……あとは掃除の依頼だけだな!)
カナタはすべてのアイテムを受け取り、軽く会釈して店を後にした。
(よし……次は依頼先の家に向かう準備するか!)
腕時計代わりのUIを見ると、まだ少し余裕がある。
(ちょうどいい時間だな。そろそろ向かうか……!)
マジックアイテム店での買い物を終え、カナタは街道を外れた住宅街へと足を向けた。
家々が並ぶ通りは賑やかな商業区とは違い、穏やかで静かな空気が流れている。
(依頼先はここをまっすぐ進んで……角を曲がって……あ、あれか)
小さくて可愛らしい木造の家が視界に入った。
古いけれど手入れは行き届いており、花の鉢植えがいくつも並んでいる。
(おばあちゃんの家って感じだな……なんか落ち着く雰囲気だ……)
カナタは扉横の金属ノッカーを軽く叩いた。
──コン、コン。
「はぁい……」
扉の向こうから優しい声が響き、ゆっくりと扉が開く。
現れたのは、小柄で背を少し曲げた白髪のおばあちゃん。
エプロンをつけ、温かい笑顔を浮かべている。
「まあ……あなたが冒険者さんかい? 来てくれてありがとうねぇ」
「こんにちは。掃除の依頼で伺いました、カナタです」
「ああ、そうそう……助かるよ。最近少し調子が悪くてねぇ……部屋の掃除をお願いしたかったんだよ」
おばあちゃんはゆっくりと家の中へ案内してくれた。
室内は思ったより物が多くはないが、隅のほうにホコリが溜まっていたり、
棚の上の小物が整理しきれておらず、生活の手が回らない様子が伝わってくる。
(なるほど……こんな感じならチート掃除で一瞬だな……!)
「悪いねぇ……本当に、ちょっとだけでいいから……」
「お任せください。すぐ終わらせますから」
おばあちゃんは安心したように微笑んだ。
「そんなに急がなくていいんだよ? 本当に助かるよ……ありがとうねぇ」
「いえ、せっかくの依頼ですし、しっかりやらせてもらいます」
カナタは軽く頷き、部屋の中央へ立つ。
(よし……チートで掃除、やってみるか……!)
風魔法、水魔法、物体操作魔法──
いろんな掃除のアイデアが頭の中で閃く。
(これ……案外楽しそうだぞ……!)
「さて……」
カナタは軽く息を吸い、手を前にかざした。
(まずは風魔法で……!)
指先からふわりと柔らかい風が広がり、部屋の隅に溜まっていたホコリがふわっと舞い上がる。
しかし舞い散ることはなく、風は渦を描くようにホコリだけを集め、一点へまとめ上げた。
(よし……次は水魔法を使い……!)
渦に小さな水の球を落とすと、ホコリがそのまま吸収され、泥水のように凝縮されていく。
水は空中で“汚れだけ”を取り込み、自動的にカナタの前へ流れてくる。
(最後に……物体操作魔法で仕上げ!)
手をひらりと振るだけで椅子、棚、小物、カーペットまですべて宙に浮いた。
床には何一つ残らず、すべての家具がふわりと空中で待機する。
「うわっ……浮いた……」
後ろでおばあちゃんが息を呑む。
(床、ピカピカにするか……!)
透明の水膜が床全体をなぞると、くすんだ木材は新品のような艶を取り戻した。
次に浮かぶ家具へ風と水を順番に当て、ホコリや汚れを完全に取り除く。
まるでゲームの“掃除スキルの連打”のように、
部屋の汚れが高速で浄化されていく。
(……掃除ってこんな楽しいのか!?
チートでやると……むしろ無限に掃除したくなるな……!)
軽快に指を動かすたびに物が光り、埃が消え、空気が澄んでいく。
たった数分──
部屋は、まるで新築のような清潔さになっていた。
「……はい、終わりました!」
宙に浮いていた家具がそっと元の位置へ戻り、
カナタは手をパンッと軽く叩いた。
「えっ……えっ……?」
おばあちゃんは辺りを見回し、口元を押さえた。
「もう……終わったのかい……?」
「はい。問題なく完了です。これでも一応、冒険者なので」
カナタが軽く笑って言うと、
「まぁ……なんてことだい……! 本当にありがとう……!」
おばあちゃんは目を潤ませ、両手を胸に当てながら深く頭を下げた。
「ここまで綺麗になるなんて……こんなに助かることはないよ……」
「喜んでもらえたなら、よかったです!」
温かい空気が、静かに部屋に満ちていく。
(……ダンジョンの依頼達成とは違う気持ちよさがある……!)
ただ誰かの役に立ち、感謝される──
そのシンプルさが妙に心に沁みた。
「本当にありがとうねぇ、冒険者さん」
「こちらこそ!」
こうしてカナタは、異世界での二度目の依頼を気持ちよく完了させたのだった。
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