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終編
第36話
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ルクティアとルクリア王国で出会ってから、半年――。
私は今、ルクティア、ペネトラティアと共にバリエル神聖国家の首都アリアへと来ていた。
新しい土地に来れたと横で目を輝かせるペネトラティアの心情とは裏腹に私は警戒を強くする。
ここは只人至上主義の国。
深くフードを被り、耳を見られないようにしているが、何かの拍子に見られたらどうなるか容易に想像できる。
ハッキリ言って、私はこの国があまり好きじゃない。
只人至上主義だから、という理由ではなく、彼等が何の神かも分からないものを信仰しているからだ。
彼等が信仰するのは闘神でも、龍神でも、巨神でも、海神でも、魔神でも、幻神でも、恐神でも、黒神でもない。
彼等が信仰しているのは、ぼくのかんがえたさいきょうのかみという奴だ。正直言ってルクティアと出会わなければ、あそこに住んでいるのは妄想で頭が可笑しくなった奴等と言う認識しかなかった。
それでも私がここに来た理由は当然、バリエル神聖国家が何をしようとしているのかを探るためだ。
ルクリア王となったマルムが文を送るとは口にしたが、どうにも違和感が拭えない。
オフィキウムも同じことを口にしていた。
彼もどうやら謁見の際に最後に見せたマルムの表情が引っ掛かっているらしい。
「オフィキウムさんも来れば良かったのに……」
「ペネトラティア、遊びに来たんじゃないんだぞ」
「はい! 分かっています!!」
本当に分かっているのだろうか。
目を輝かせて周囲を見渡すペネトラティアを見て、思わず連れて来るのではなかったと後悔する。
今オフィキウムは海人族の国へと戻っている。
彼の場合、体を隠してもその大きな体格のせいで怪しまれると彼自身が判断したからだ。
厳重に警備されている城門に近づく。
私の前には同じくフードを被ったルクティアがいる。
「そこで止まれ。これから検分を始める。持ち物全てこちらに寄越すんだ。フードも取って顔を見せろ」
兵士の一人が私たちの前に立つ。
この場面で私とペネトラティアができることはない。全てルクティア頼りだ。勇者一行と言えど、知りもしなかった他人に命を預ける行為は普段ならしないのだが、バリエル神聖国家に来る前にアルバ様と手紙のやり取りをして、ルクティアという女性は信用できると他ならないアルバ様が太鼓判を押していた。
ここは任せても良いだろう。
「無礼な奴ね。私の顔を知らないの?」
そう口にしてルクティアがフードを取り払う。
「あぁ? 誰だお前は?」
「はぁ、新人ねあなた。まさか、私の顔も知らない奴が配置されている何て。あなたどこの部隊の所属? 名を名乗りなさい」
高圧的な貴族のように振舞うルクティア。男の兵士の目付が鋭くなる。
「新人だと? 俺はここで五年は働いているぞ!!」
「ふん、五年も働いていて私のことも分からない何て、あなた本当にこの国の門を預かる兵士なの? 偽物じゃないでしょうね?」
「ふっざけやがってこの女――!!」
顔を真っ赤にしてルクティアに詰め寄る男。伸びてきた手をルクティアは振り払う。
「触らないでくれるかしら? 無礼よ。あなたたち、この男を捉えなさい。不敬罪よ」
「何でお前が俺の部下に命令してるんだ!! お前達何をしている。この女を取り押さえろ!!」
「何あなたたち? もしかしてあなたたちも私の顔を知らない何て馬鹿なことを口にするんじゃないわよね?」
「この頭の可笑しい小娘が!! 貴族でもない癖に偉ぶってんじゃねえ!!」
「貴族でもないですって?」
ルクティアの表情から感情が消える。
怒りでどうにかなってしまった。そんな演技だ。
「私の名はルクティア・フィーデス・モルタルズ。六大貴族に名を連ねるモルタルズ家の長女にして、かの勇者一行に名を連ねた者よ」
ルクティアが名を告げた瞬間に周囲が騒然となる。
彼女の手にはモルタルズ家の家紋となっている郭公薊(カッコウアザミ)のペンダントがあった。この家紋を知らない者はこの国にはいない。
本物の貴族と分かり、しかも相手が六大貴族だと理解した男は顔が真っ青になっている。
「さて、貴族を――しかも六大貴族を犯罪者扱いして、あなた覚悟はできているんでしょうね?」
「え、いや……でも……」
男がしどろもどろになりながらも言い訳をしようとする。
分からないでもない。貴族なら、フード何て深く被らず護衛を付けて馬車にでも乗って来てくれ、そもそも顔を知っているとか言いながら、顔隠していたじゃないかとでも思っているのだろう。
しかも、いつの間にか自分が貴族を犯罪者扱いしていたことになっているおまけ付き。ただ、仕事をしていただけなのに憐れだ。
六大貴族がフードを深く被り、顔さえ見えない者たちの中に紛れているとは誰も思わない。
尤も、私たちはそんな思考を利用した訳だけど。
「何か気の毒になってきました」
「声を出すなペネトラティア」
狼狽える男を見てペネトラティアが同情の声を上げる。
だが、これは必要なことだ。
こんなフードを深くまで被り、顔を見せない怪しい集団必ず門の前で止められるに決まっている。
中に入るためには、私たちから意識を逸らす必要があった。
怪しまれることは織り込み済み。
必要なのは、相手に致命的なまでの失態をさせること。
今回の場合、六大貴族であるモルタルズ家の次期当主であるルクティア・フィーデス・モルタルズを貴族として疑う発言を兵士にさせることが重要だった。
だから敢えてルクティアは自分の顔を知っているだろうと言う思い込みをした傲慢な貴族を演じた。
予想通り相手の男の怒りを買い、望んだ発言を口にさせることに成功。
後は、罪を大きく意識させるだけ。
それだけで既に男の中に私たちはいなくなり、代わりにどうすれば罰を逃れられるかだけを考えるようになる。
「はぁ、もう良いわ。疲れた。通って良いわよね?」
男が冷静を取り戻す前にルクティアが行動を先に移す。
まだ真面に頭を回せない男は必死に首を縦に動かすしかなかった。
「ど、どうぞ!!」
「そ、後ろの人たちも通させて貰うわよ。大丈夫、身分は私が保証するわ」
「勿論でございます。モルタルズ家の次期当主、しかもあの世界を救った勇者一行に名を連ねる御方を疑うようなことはしません!!」
「ふーん、まぁ良いわ。それじゃ行きましょ」
「はぁー!! お通りください!!」
仰々しく男がお辞儀をして道を開ける。
城門を通り抜けた後、ルクティアは悪戯が上手く行った子供の様に笑った。
「どう? 私の演技?」
「あぁ、良かったよ。おかげで助かった」
「あのおじさんには悪かったですけどねぇ」
「大丈夫大丈夫。私が問題に上げなければただおじさんが焦るだけで終わるから」
そう口にしてルクティアは歩き出す。
暫く歩くと大きな彫刻が建っていた。
「これは……聖女の像か」
「お、知っているんだ。そう、これは聖女プリマの像よ。この国を作り、巨人の進撃から祈りで街を守った尊き御方」
「祈り? 私は壁と聞いたが?」
そう口にして私は空まで続く土壁を見上げる。
バリエル神聖国家はロンディウム大陸と冥大陸の境目に近くに存在する国だ。昔は二つの大陸は地続きになっていてそこからよく巨人族が攻めて来たとも言われている。
目の前に立つ像の元になった人物。
聖女プリマは、巨人族と只人族の戦争がピークになった頃に現れた英雄だ。
凄まじい人だった。とアルバ様が語っていたな。何で知っているのかは分からないが。
「あの壁を聖女が作ったのではないのか?」
「あ~最初はそう考えられていたんだけど、最近はそうじゃないって歴史家たちが考えているのよ。今一番有力な考察は、聖女を支えた六人の従者たちが作ったものだって考えよ」
「六人の従者? 初めて聞いたな。そんなの存在したのか」
「私たちの先祖よ。聖女が聖女と言われる前から仕えていた六人の従者のこと。存在したのか何てこの街の人たちには誰も言わないでよ? 聖女だけじゃなくて、六人の従者を崇める人もいるんだから。下手すれば殺し合いになるわよ」
「分かった。気を付けよう。しかし、何故あの壁は聖女が作ったものではないと否定されているのだ?」
「一番の理由は聖女が壁を作る時間なんて無かったからよ。当時、バリエル神聖国家は誰もが巨人族の侵攻に怯え、疲れ切っていたと言われているの。そんな中一人で聖女は戦っていたの。昼も夜も祈りで巨人を防ぎ、怪物の相手もしなければならなかった。前線に出っ放しでここに帰る暇もなかったの。『ここは死体ですら尊厳を保てない』そんな前線の過酷さを現す聖女の言葉が残っているわ。だから、六人の従者が聖女に代わってこの国を守る壁を作っていたと言われる方が誰もが納得できたのよ」
「納得ね」
「分かっているわ。言いたいことは。証拠なんてないって言いたいんでしょ。でも、聖女が作ったってのも伝聞だけで確たる証拠もないんだから、同じようなものじゃない?」
「まぁ、そう言われてしまったらそうだな」
「たっかい壁~。登ったらどんな景色が見れますかねぇ」
この国に住むルクティアがそう納得しているのであれば、私が口を挟むことではない。元々私は歴史考察家ではない。戦士だ。
考えるべきは、壁が崩れてきた場合の想定ぐらいだろう。
「さて、それじゃあバリエル神聖国家の荷台観光名物も見れたことだから、行きましょうか」
「そう言えば、聞いていなかった。この街に入ってくれば、分かることはあるとは聞いていたが、ここからどうするんだ?」
「そんなの決まっているでしょ?」
私の問いにルクティアがウィンクを飛ばす。
「情報収集、私の悪いお友達を頼るわ」
私は今、ルクティア、ペネトラティアと共にバリエル神聖国家の首都アリアへと来ていた。
新しい土地に来れたと横で目を輝かせるペネトラティアの心情とは裏腹に私は警戒を強くする。
ここは只人至上主義の国。
深くフードを被り、耳を見られないようにしているが、何かの拍子に見られたらどうなるか容易に想像できる。
ハッキリ言って、私はこの国があまり好きじゃない。
只人至上主義だから、という理由ではなく、彼等が何の神かも分からないものを信仰しているからだ。
彼等が信仰するのは闘神でも、龍神でも、巨神でも、海神でも、魔神でも、幻神でも、恐神でも、黒神でもない。
彼等が信仰しているのは、ぼくのかんがえたさいきょうのかみという奴だ。正直言ってルクティアと出会わなければ、あそこに住んでいるのは妄想で頭が可笑しくなった奴等と言う認識しかなかった。
それでも私がここに来た理由は当然、バリエル神聖国家が何をしようとしているのかを探るためだ。
ルクリア王となったマルムが文を送るとは口にしたが、どうにも違和感が拭えない。
オフィキウムも同じことを口にしていた。
彼もどうやら謁見の際に最後に見せたマルムの表情が引っ掛かっているらしい。
「オフィキウムさんも来れば良かったのに……」
「ペネトラティア、遊びに来たんじゃないんだぞ」
「はい! 分かっています!!」
本当に分かっているのだろうか。
目を輝かせて周囲を見渡すペネトラティアを見て、思わず連れて来るのではなかったと後悔する。
今オフィキウムは海人族の国へと戻っている。
彼の場合、体を隠してもその大きな体格のせいで怪しまれると彼自身が判断したからだ。
厳重に警備されている城門に近づく。
私の前には同じくフードを被ったルクティアがいる。
「そこで止まれ。これから検分を始める。持ち物全てこちらに寄越すんだ。フードも取って顔を見せろ」
兵士の一人が私たちの前に立つ。
この場面で私とペネトラティアができることはない。全てルクティア頼りだ。勇者一行と言えど、知りもしなかった他人に命を預ける行為は普段ならしないのだが、バリエル神聖国家に来る前にアルバ様と手紙のやり取りをして、ルクティアという女性は信用できると他ならないアルバ様が太鼓判を押していた。
ここは任せても良いだろう。
「無礼な奴ね。私の顔を知らないの?」
そう口にしてルクティアがフードを取り払う。
「あぁ? 誰だお前は?」
「はぁ、新人ねあなた。まさか、私の顔も知らない奴が配置されている何て。あなたどこの部隊の所属? 名を名乗りなさい」
高圧的な貴族のように振舞うルクティア。男の兵士の目付が鋭くなる。
「新人だと? 俺はここで五年は働いているぞ!!」
「ふん、五年も働いていて私のことも分からない何て、あなた本当にこの国の門を預かる兵士なの? 偽物じゃないでしょうね?」
「ふっざけやがってこの女――!!」
顔を真っ赤にしてルクティアに詰め寄る男。伸びてきた手をルクティアは振り払う。
「触らないでくれるかしら? 無礼よ。あなたたち、この男を捉えなさい。不敬罪よ」
「何でお前が俺の部下に命令してるんだ!! お前達何をしている。この女を取り押さえろ!!」
「何あなたたち? もしかしてあなたたちも私の顔を知らない何て馬鹿なことを口にするんじゃないわよね?」
「この頭の可笑しい小娘が!! 貴族でもない癖に偉ぶってんじゃねえ!!」
「貴族でもないですって?」
ルクティアの表情から感情が消える。
怒りでどうにかなってしまった。そんな演技だ。
「私の名はルクティア・フィーデス・モルタルズ。六大貴族に名を連ねるモルタルズ家の長女にして、かの勇者一行に名を連ねた者よ」
ルクティアが名を告げた瞬間に周囲が騒然となる。
彼女の手にはモルタルズ家の家紋となっている郭公薊(カッコウアザミ)のペンダントがあった。この家紋を知らない者はこの国にはいない。
本物の貴族と分かり、しかも相手が六大貴族だと理解した男は顔が真っ青になっている。
「さて、貴族を――しかも六大貴族を犯罪者扱いして、あなた覚悟はできているんでしょうね?」
「え、いや……でも……」
男がしどろもどろになりながらも言い訳をしようとする。
分からないでもない。貴族なら、フード何て深く被らず護衛を付けて馬車にでも乗って来てくれ、そもそも顔を知っているとか言いながら、顔隠していたじゃないかとでも思っているのだろう。
しかも、いつの間にか自分が貴族を犯罪者扱いしていたことになっているおまけ付き。ただ、仕事をしていただけなのに憐れだ。
六大貴族がフードを深く被り、顔さえ見えない者たちの中に紛れているとは誰も思わない。
尤も、私たちはそんな思考を利用した訳だけど。
「何か気の毒になってきました」
「声を出すなペネトラティア」
狼狽える男を見てペネトラティアが同情の声を上げる。
だが、これは必要なことだ。
こんなフードを深くまで被り、顔を見せない怪しい集団必ず門の前で止められるに決まっている。
中に入るためには、私たちから意識を逸らす必要があった。
怪しまれることは織り込み済み。
必要なのは、相手に致命的なまでの失態をさせること。
今回の場合、六大貴族であるモルタルズ家の次期当主であるルクティア・フィーデス・モルタルズを貴族として疑う発言を兵士にさせることが重要だった。
だから敢えてルクティアは自分の顔を知っているだろうと言う思い込みをした傲慢な貴族を演じた。
予想通り相手の男の怒りを買い、望んだ発言を口にさせることに成功。
後は、罪を大きく意識させるだけ。
それだけで既に男の中に私たちはいなくなり、代わりにどうすれば罰を逃れられるかだけを考えるようになる。
「はぁ、もう良いわ。疲れた。通って良いわよね?」
男が冷静を取り戻す前にルクティアが行動を先に移す。
まだ真面に頭を回せない男は必死に首を縦に動かすしかなかった。
「ど、どうぞ!!」
「そ、後ろの人たちも通させて貰うわよ。大丈夫、身分は私が保証するわ」
「勿論でございます。モルタルズ家の次期当主、しかもあの世界を救った勇者一行に名を連ねる御方を疑うようなことはしません!!」
「ふーん、まぁ良いわ。それじゃ行きましょ」
「はぁー!! お通りください!!」
仰々しく男がお辞儀をして道を開ける。
城門を通り抜けた後、ルクティアは悪戯が上手く行った子供の様に笑った。
「どう? 私の演技?」
「あぁ、良かったよ。おかげで助かった」
「あのおじさんには悪かったですけどねぇ」
「大丈夫大丈夫。私が問題に上げなければただおじさんが焦るだけで終わるから」
そう口にしてルクティアは歩き出す。
暫く歩くと大きな彫刻が建っていた。
「これは……聖女の像か」
「お、知っているんだ。そう、これは聖女プリマの像よ。この国を作り、巨人の進撃から祈りで街を守った尊き御方」
「祈り? 私は壁と聞いたが?」
そう口にして私は空まで続く土壁を見上げる。
バリエル神聖国家はロンディウム大陸と冥大陸の境目に近くに存在する国だ。昔は二つの大陸は地続きになっていてそこからよく巨人族が攻めて来たとも言われている。
目の前に立つ像の元になった人物。
聖女プリマは、巨人族と只人族の戦争がピークになった頃に現れた英雄だ。
凄まじい人だった。とアルバ様が語っていたな。何で知っているのかは分からないが。
「あの壁を聖女が作ったのではないのか?」
「あ~最初はそう考えられていたんだけど、最近はそうじゃないって歴史家たちが考えているのよ。今一番有力な考察は、聖女を支えた六人の従者たちが作ったものだって考えよ」
「六人の従者? 初めて聞いたな。そんなの存在したのか」
「私たちの先祖よ。聖女が聖女と言われる前から仕えていた六人の従者のこと。存在したのか何てこの街の人たちには誰も言わないでよ? 聖女だけじゃなくて、六人の従者を崇める人もいるんだから。下手すれば殺し合いになるわよ」
「分かった。気を付けよう。しかし、何故あの壁は聖女が作ったものではないと否定されているのだ?」
「一番の理由は聖女が壁を作る時間なんて無かったからよ。当時、バリエル神聖国家は誰もが巨人族の侵攻に怯え、疲れ切っていたと言われているの。そんな中一人で聖女は戦っていたの。昼も夜も祈りで巨人を防ぎ、怪物の相手もしなければならなかった。前線に出っ放しでここに帰る暇もなかったの。『ここは死体ですら尊厳を保てない』そんな前線の過酷さを現す聖女の言葉が残っているわ。だから、六人の従者が聖女に代わってこの国を守る壁を作っていたと言われる方が誰もが納得できたのよ」
「納得ね」
「分かっているわ。言いたいことは。証拠なんてないって言いたいんでしょ。でも、聖女が作ったってのも伝聞だけで確たる証拠もないんだから、同じようなものじゃない?」
「まぁ、そう言われてしまったらそうだな」
「たっかい壁~。登ったらどんな景色が見れますかねぇ」
この国に住むルクティアがそう納得しているのであれば、私が口を挟むことではない。元々私は歴史考察家ではない。戦士だ。
考えるべきは、壁が崩れてきた場合の想定ぐらいだろう。
「さて、それじゃあバリエル神聖国家の荷台観光名物も見れたことだから、行きましょうか」
「そう言えば、聞いていなかった。この街に入ってくれば、分かることはあるとは聞いていたが、ここからどうするんだ?」
「そんなの決まっているでしょ?」
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「情報収集、私の悪いお友達を頼るわ」
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