ボディガードはオジサン

しょうわな人

文字の大きさ
13 / 80

第13話 マネージャーの仕事

しおりを挟む
 それから2人が帰った後に私は東京のマンションに転移で戻ってきた。
 両隣の部屋を気配感知で探るとランドールの2人ともテレビでも見て過ごしているようだ。居ない間に何か問題があったらとは思っていたから私はホッとした。

 確認した私は2人の安全を確実にする為に2人の魔力を確認して覚え私自身の魔力と接続した。コレで何処に居ても私には2人の居場所が分かる。
 ただ、ヒナちゃんの魔力はちょっと特殊な感じがしたのだが? まあ今はそれを検証するよりも先ずは2人の安全確保の為に打てる手は打っておこう。
 なお、トイレやお風呂などのプライバシーが大切な場所に入った時には自動的に接続は切れる様にしてある。長年の異世界生活で身につけた大切な技術だ。セクハラオヤジは嫌われるからね。

 それから私は弥生に渡された2人の予定を確認していく。明日はスタジオ撮影が9時からあるのと撮影終了後にそのスタジオ内で出版社のインタビュー。
 それから明後日は千葉にある小さなライブ会場で歌フェスに参加して2曲披露する。出演時間は午後2時からだが、会場入りは午前10時だ。
 そこまで確認した時に私のスマホに着信があった。タカシさんからの着信だ。慌てて私は出る。

「はい、もしもし。タケフミです」

「ああ、タケフミさん。タカシです。実はランドールの新たな予定表をスマホにお送りしたのですが、まだ見られてないようなので確認の連絡なのですが、マインに添付てんぷして送ったので見ておいてもらえますか?」

「ああ、申し訳ありません。分かりました。まだ、使い慣れなくて……」

「それもそうですよね。でも使用してたらその内に慣れますよ。では、よろしくお願いします」

「はい、わざわざ有難うございます」

 そして電話を切った私はマインを立ち上げる。確かにタカシさんから連絡が来ていた。コレからはスマホもちゃんとチェックしないとな。
 私はそう考えて予定表を確認する。そこには明々後日以降の予定が記入されていた。
 
 中々の過密スケジュールになっている。コレは2人と共有しておいた方が良いのか? と私は考えたが私は2人のスマホの番号も知らなければマインで友達にもなっていない…… 意を決して私は今日の夕飯に2人を誘って見る事にした。
 しかし、ヘタレな私はやっぱり最初は嫌われてないだろうヒナちゃんの部屋の呼び鈴を押す。ヒナちゃんからナミちゃんに言って貰おう作戦だ!

 呼び鈴を押すと直ぐにヒナちゃんの声が聞こえる。

「ん~、どしたの、タケフミさん? ヒナ、今から晩御飯を作ろうかと思ってたんだけど」

 ちゃんとカメラも確認して私だと認識してから声を出すのは現代では当たり前の事なのだろうが、私的にはちょっと寂しく感じている。私が異世界に拉致される前は、呼び鈴を押せば家の人がそのまま玄関を開けながらはーいって言ってたよな……
 ハッ、イカンイカン、物思いに耽ってる場合じゃなかった。インターホンからヒナちゃんがもしもーし、タケフミさーんと呼んでいる。

「あっ、ああ、ゴメンゴメン。実は社長さんから明々後日以降のランドールのスケジュールが届いてね。共有した方がいいかなと思ったんだ。どうだろう? 拙い男料理で良ければご馳走するから、私の部屋で夕飯を食べながらスケジュールについて話をさせて貰えないかな?」

「えっ、ホント!? 良かった、ヒナご飯作るの面倒くさいって思ってたの。あ、タケフミさんナミちゃんにはもう声はかけた?」

「いや、まだなんだよ。できればヒナちゃんから言ってもらえたらなぁ、なんて思ってるんだけど」

 私がそう言うと、ヒナちゃんがちょっと待っててねと言ったので素直に待つ。

 そして、3分ほどで扉が開きヒナちゃんが出てきたと思ったらナミちゃんの部屋の扉も開きナミちゃんも出てきた。私が驚いていると、ヒナちゃんが言う。

「タケフミさん、面白いねぇ。そんなに驚かなくてもいいじゃん。部屋からナミちゃんにスマホで連絡を入れたんだよ」

 それもそうか…… 何もヒナちゃんが出てきてナミちゃんの部屋のインターホンを鳴らす必要は無いよな。私は納得した。

「ちょっと、オジサン。仕事の話なんでしょう? 早く部屋に入りなさいよ!」

 いや、先に入ってくれてもいいんだけどね。そう思った私は素直にそう言ってみた。すると、意外な答えが返ってきた。

「なに言ってるのよ、オジサンが居ない部屋に勝手に入ったら泥棒になるでしょっ!」

 ほう? この娘は私を嫌ってはいるようだが私に近い常識をもっているんだと返答を聞いてちょっと嬉しくなってしまった。もちろんヒナちゃんも私が先に部屋に入るのを待っていたようだ。2人とも若いけどそういう面ではシッカリとしているようだ。

 私はそれもそうだねと言いながら先に部屋に入る。そして2人の部屋の扉をまた魔法で侵入不可にしておいた。

 部屋にはヒナちゃんの部屋を訪れる前に用意しておいた料理を既に並べている。その料理を見て2人は目を大きく開いて驚いてくれている。

「なっ、なっ、なにコレ!?」

 とナミちゃんが言えばヒナちゃんも

「スゴーイッ! これホントにタケフミさんが作ったの?」

 と疑問符を投げかけてくる。

「もちろん、私が作った料理だよ。さあ、冷めない内に先ずは食べよう。それから明々後日からのスケジュールを言うから」

 そう言って私は2人を食卓に促した。椅子に座った2人にさあ食べてと言うと2人ともいただきますとちゃんと言ってから一口パクリと料理を口にする。

「ウソ!? 美味しい!」

 とはナミちゃん。どうやら見た目はともかく、味は不味いと思ってたようだ。ちょっと傷ついたよ。

「美味しいね、タケフミさん。料理人になれるよ!」

 とはヒナちゃん。それは褒めすぎだよ。

「2人とも口に合ったようで良かったよ。遠慮せずに食べてね。それと食べながらでいいから聞いて欲しいんだけど、2人のスマホの番号を教えてくれるかな? 手早く連絡を入れられるように頼むよ」

 私がそう言うとナミちゃんはしぶしぶと、ヒナちゃんはいいよといいながら番号を教えてくれた。ついでにマインの友達登録もやってくれたのはさすがヒナちゃんだ。これでスムーズに連絡を取れるようになった。

「いい? マネジャーの仕事もするから教えただけなんだからねっ!? 勘違いしないでよ!?」

 ナミちゃん、オジサンは微塵も下心は無かったよ…… 本当に信用が無いなあ。まあ、ゆっくりと信頼関係を構築していこう。
 私は2人に気になっていた事を聞いてみた。

「2人とも他の部屋の住人とは挨拶とかしたのかな?」

 私の問いかけにヒナちゃんが答えてくれた。

「ううん、ナミちゃんもヒナも出来るだけ部屋から出ないようにって社長と弥生さんから言われたから挨拶とかはしてないよ。それにこの階はウチの事務所で押えてるって社長が言ってた気がする」

「そうなんだね。このマンションに引っ越ししたのはご両親には知らせているのかな?」

 それにはナミちゃんが答えてくれた。

「言ってないわ。事務所に止められたのもあるけど親がもしも巻き込まれて怪我なんてしたらイヤだもの。元気だって連絡は入れてあるけど……」

 なるほど、そこまで徹底しているのか。それではこのマンションはまだストーカーに知られていない可能性は高いな。まあ上の階の住人は怪しいけど…… 保留状態だな。

 明日からの仕事には私が細心の注意を払うようにしよう。

 私はそう思いながら、明々後日以降の仕事のスケジュールを2人に伝えたのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

処理中です...