寡黙な男はモテるのだ!……多分

しょうわな人

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転機

036話 街作りを考える

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 村に滞在している間に僕は公共所でフェルちゃんにロッテン、ローレン村長にこの村を街に発展させる計画書を見せていた。ロイヤルファミリーの皆様は忙しいから既に王都に戻っているよ。僕たちは当初は1週間の予定だったけど、場合によっては期間延長も考えているんだ。

 ロッテンが代表をしていた商会についてはハレの旦那が仮代表を勤めてくれているけど、ロッテン曰くそのまま仮を除けて代表にしますとの事だった。あのハレの人生パートナーだけあって肝も座っているし、商才もあるから安心して任せられるって言ってたよ。僕はまだ会った事がないから、王都に戻ったらハレかセラスに言って会わせて貰おう。

 そんな事を考えていたら、計画書の1ページ目を見たローレン村長が、

「トーヤ様、村を街に発展させるにしても今いる村人たちの住居や仕事はどうなりますでしょうか?……」

 と、言ってきた。僕は計画書の3ページ目を開いてローレン村長に見せたよ。
 そこには村人が一時的に住める仮設住宅の設置及び設置場所の選定。それに街が出来上がりみんなの住居が出来上がった後はその仮設住宅にも新規に入居したい人用に賃貸物件として利用する事も記入してあるんだ。
 それを見たローレン村長は

「しかし、それだけの費用はこの村にはありません!」

 と言うけど仮設住宅は僕の道具箱に入ってるし、みんなが住む住居についても道具箱の中から選んで貰うつもりなんだよね。だから、費用はかからない。その旨を書いて説明しようとしたらフェルちゃんが、

「ローレン村長、トーヤ様ならば領民に負担を強いるような事はありませんわ。だから、先ずはこの計画書の中身を確りと確認して、それから費用は考えずに期間と場所の選定を考えてみましょう」

 そう言って先ずは僕の計画書を熟読するようにローレン村長に促したんだ。本当にこの娘が僕の婚約者ですか? 神様、心より感謝申し上げます…… 本当に有難うございます!

 それからはみんなが静かに計画書を読んで、疑問点を僕に確認してきた。

「トーヤ様、現在の村は領地のちょうど中心位置にあります。新たに街を建設する場所の選定となっておりますが、トーヤ様がお考えの場所はおありでしょうか?」

 ロッテンからの質問に僕は先に書いていた用紙を取り出したんだ。それには簡単な地図を書いていて、現在の村を中心に据えて約半径8キロが領地となる。で、新たな街は村よりも温泉に近づける為に北に500メートル進んだ場所にするのがいいかなと思って印をいれてあるんだ。それを見たロッテンが

「ナルホド、温泉から湯を引く距離を短くする為ですね」

 と直ぐに気がついてくれたよ。温泉は今の村からだと直線距離で凡そ800メートルだけど、500メートル北に街を作れば、その距離も凡そ300メートルとかなり短くなるんだ。ロッテンは頷いてくれた。
 次にフェルちゃんからの質問だ。

「トーヤ様、今の村はどうなりますか? 畑などもございますが?」

 待ってましたよ、フェルちゃん。僕は今度は街の規模を書いた図面を取り出したよ。
 
 街は東西に1.5キロ、南北に2キロの4角形で、防壁で周りを囲むように設計してあるんだ。北側は住民の居住区域で、北の端から南に500メートルの範囲だよ。東側からも同じく500メートルの範囲にしてあるん。西は畑の区画だよ。


┌──────────────┬──────┐
│              │      │   畑           │ 居住区域         
│              │      │
└──────────────┴──────┘      
│                     │
│                     │
│                     │ 

 こんな感じで書いてあるけど、分かるかな? 
 
 2枚目の詳細図面では居住区域の割振りも出来てるんだ。領主の館?
 何かあった時に一番に矢面に立つ必要があるから、唯一の街への入口である南門のすぐ側にしてあるよ。けれども、それがフェルちゃんからダメ出しを食らうとは……

「トーヤ様、街に来て直ぐに領主の館では旅人が困惑してしまいますわ。住民を守る為だとは分かりますが、それならばこの居住区域の南側に建てるのが良いかと思いますわ。そしたら、商業区域にも近くなりますし、直ぐに問題解決の為に動けるようになるかと思います。代官としてトーヤ様が成人されるまで街を守るロッテンさんはどう思われますか?」

 フェルちゃんの問いかけにロッテンも、

「はい、私としてもフェル様のご意見の方が有り難いです。領主様の館として建てる建物の西側に政務場所を建設していただければ、更に良くなるかと思います」

 そう言ってフェルちゃんの意見に賛成のようだった。ローレン村長はと見ると、

「うーん、畑がここだとして、どのように割り振るか…… いや、それはロッテンさんに考えていただこう。街になったら私はもう村長ではないのだし……」
 
 と、聞捨てならない独り言を言ってたので、僕は街の計画書に書いてある街長の名前を見せたんだ。

「ナッ! 私が街長なんですか!? しかし、代官としてロッテンさんがおられるのですから、私はいち街人になりたいのが本音なのですが……」

 と、弱音を吐くので僕は紙にサラサラとこう書いて見せたよ。さすがに全てを一言で言い表わせないと思ったからね。

【今まで村人たちを問題なくまとめて来たローレン村長に、街になっても人々をまとめていって貰いたいんだ。街に変わっても急に住民が増える訳じゃないし、元からここに住んでいた領民の為にこれまでローレン村長に気軽に相談出来ていた体勢を変える事は出来ないよ。ロッテンは代官だから、街の人の意見なんかをローレン村長が聞いてそれをロッテンに伝えて欲しいんだ。その方が絶対に上手くいくから、頼むねローレン街長!】

 僕が書いた文を読んでローレンさんの顔に気合が入ったよ。

「トーヤ様、分かりました。私がやります。街の人々の意見などをロッテンさんにお知らせし、また些細な揉め事などは処理するようにします」

 そう言ってくれたローレン街長に僕は有難うの意を込めて頷いたんだ。

 それから、詳細な計画を決めていった。街が出来るまでの村人たちの生活は、ハイナイト家で面倒を見る事。温泉の湯を配管を通して引っ張って街の中に作る予定の大型タンクに貯める事。またそのタンクは何ヶ所か作る事。
 王家サラディーナ様からの依頼の王族専用の温泉施設については領主の館の敷地内に作る事。住民の各家に配管を通して温泉を引く事。などなど決めていって漏れがないかを村の人たちに確認してから計画を進めると決めてその日はお開きにしたよ。
 
 そして、翌日から村人を集めて昼の暑い時間の仕事を休んで貰って話合いを重ねたんだ。

 そして、これならばという同意を意見を言える年齢の子供たちも含めて貰ったから、8月20日から計画を進めて行く事になったよ。そう決まったのが、7月30日。
 え、進めるまで間が長いって? 段取りを考えたら8月20日でも早いぐらいだよ。先ずは王家にお伺いをたてて、それと並行して職人たちの選定、住民たちの家の希望の確認などの下準備段取りに時間がかかるだろうからね。

 取り敢えず僕たちはロッテンに村に残って貰い、王家にお伺いをたてる為に王都に一旦戻る事にしたんだ。
 そこで待っていたのは…… 陛下の拗ねた顔だったよ……

 いい年した大人の男の拗ねた顔は可愛くないと思ったのは内緒だよ……
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