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快楽
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散々迷った末、いつまで経っても慣れることのない臭いに耐えきれなくなった僕は…。
ついに『自分の身体に戻る』という決断をした。
…のだが。
「あ゙あ゙ぁぁ!!! あ゙がぁぁ!!!」
すぐに後悔した。獣の叫ぶ声みたいな音が自分の喉から発せられたことに驚く余裕もなかった。
夜から昼を越え、また夜になるまで抱かれ続けていた僕の身体。
そんなところに、迂闊にも意識を戻してしまったのだ。
じっくりと溜めこまれていた“身体の記憶”…その感覚の全てが、一気に襲いかかってきたみたいだった。
勝手に仰け反った背中が、高圧電流を流されたようにガクガク跳ね、
「へ…?」
掠れた間抜けな声と共に
じょろろろ、と失禁していた。
急に激しい叫び声を上げて暴れた僕に驚いたのか、しばらくぽかんとしていた兄だが、
「優弥?!!」
いきなり僕が漏らしたせいで我に返ったのかもしれない。
これまで聞いたことがない上擦ったような兄の声を聞いた気がするが、それどころではなかった。
意識がなく弛緩していたこの身体は、信じられないくらい奥まで兄に道を明け渡し、腹のなか深くまで剛直を受け入れてしまっていたのだ。
…うそ。
なに…これ。
襲い来るであろう激痛は覚悟していた。
それなのに…。
…こんな…、
…こんなのしらない、
…うそだ。
…きもちいい…なんて。
ベッドの上に漏らしてしまった、とか、実の兄に抱かれて快感を得てしまった、とか。
後から落ち込むことがいっぱい起こったのだけれど、僕はその全てから逃避するようにスゥッと意識を失うのだった。
◇
今度の僕は幽霊にはならなかった。
意識を取り戻した僕は、
「優弥!! …良かった。優弥…」
涙に瞳を潤ませて笑う兄に、優しく抱き締められることになる。
「好きだ、優弥。もう離さない」
兄さんは僕のことが好きだったんだって。
『いつから好きだったの?』って訊いたら、
『初めて会った時から』。
『病院で赤ちゃんだった優弥が、僕の指をギュッと握ってくれた瞬間から好きだった』
って。
なにそれ。
本当?
ずっと寂しかった。
『お兄ちゃん』という言葉、存在に押し潰されると思った。
でも僕が寂しかった本当の理由は、
小さい頃から大好きだった兄に、“憎まれている”のだと思っていたから。
大学生になって、兄が家を出て行ってしまったから。
その一方で、兄さんが一人暮らしを選択した理由は、
比較対象の自分がいなければ、僕に対する両親の対応が改善されるのではないかと期待したから。
僕への執着を母さんに責められたから。
なにより、まだ身体が未成熟な僕にうっかり手を出してしまいそうで、『とにかく離れなくてはならない』って思ったからなんだって。
もう我慢するのが限界だったところに、
父さんが僕を“親族の誰か”に“下げ渡そうとしてる”って知って、
僕に手を出してしまったんだって。
“下げ渡す”って何?って思ったけど、その言葉を発した兄さんの顔が、見たことないほど恐ろしいものだったから、詳しくは聞かないことにした。
兄さんに愛されたかった。
ずっと諦めてたのに。
僕が思っていた“愛”と形は違ったのだけれど…、
名前を呼んでもらったせいか、愛しそうに口付けられたためか。
この数日間、僕の身体を甲斐甲斐しく世話する兄の姿を見せられていたからか。
赤ちゃんの頃から、“お兄ちゃん”は僕のことが好きだった…なんて。
嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。
僕は驚くほどあっさり、“兄との新しい関係”を受け入れたのだった。
ついに『自分の身体に戻る』という決断をした。
…のだが。
「あ゙あ゙ぁぁ!!! あ゙がぁぁ!!!」
すぐに後悔した。獣の叫ぶ声みたいな音が自分の喉から発せられたことに驚く余裕もなかった。
夜から昼を越え、また夜になるまで抱かれ続けていた僕の身体。
そんなところに、迂闊にも意識を戻してしまったのだ。
じっくりと溜めこまれていた“身体の記憶”…その感覚の全てが、一気に襲いかかってきたみたいだった。
勝手に仰け反った背中が、高圧電流を流されたようにガクガク跳ね、
「へ…?」
掠れた間抜けな声と共に
じょろろろ、と失禁していた。
急に激しい叫び声を上げて暴れた僕に驚いたのか、しばらくぽかんとしていた兄だが、
「優弥?!!」
いきなり僕が漏らしたせいで我に返ったのかもしれない。
これまで聞いたことがない上擦ったような兄の声を聞いた気がするが、それどころではなかった。
意識がなく弛緩していたこの身体は、信じられないくらい奥まで兄に道を明け渡し、腹のなか深くまで剛直を受け入れてしまっていたのだ。
…うそ。
なに…これ。
襲い来るであろう激痛は覚悟していた。
それなのに…。
…こんな…、
…こんなのしらない、
…うそだ。
…きもちいい…なんて。
ベッドの上に漏らしてしまった、とか、実の兄に抱かれて快感を得てしまった、とか。
後から落ち込むことがいっぱい起こったのだけれど、僕はその全てから逃避するようにスゥッと意識を失うのだった。
◇
今度の僕は幽霊にはならなかった。
意識を取り戻した僕は、
「優弥!! …良かった。優弥…」
涙に瞳を潤ませて笑う兄に、優しく抱き締められることになる。
「好きだ、優弥。もう離さない」
兄さんは僕のことが好きだったんだって。
『いつから好きだったの?』って訊いたら、
『初めて会った時から』。
『病院で赤ちゃんだった優弥が、僕の指をギュッと握ってくれた瞬間から好きだった』
って。
なにそれ。
本当?
ずっと寂しかった。
『お兄ちゃん』という言葉、存在に押し潰されると思った。
でも僕が寂しかった本当の理由は、
小さい頃から大好きだった兄に、“憎まれている”のだと思っていたから。
大学生になって、兄が家を出て行ってしまったから。
その一方で、兄さんが一人暮らしを選択した理由は、
比較対象の自分がいなければ、僕に対する両親の対応が改善されるのではないかと期待したから。
僕への執着を母さんに責められたから。
なにより、まだ身体が未成熟な僕にうっかり手を出してしまいそうで、『とにかく離れなくてはならない』って思ったからなんだって。
もう我慢するのが限界だったところに、
父さんが僕を“親族の誰か”に“下げ渡そうとしてる”って知って、
僕に手を出してしまったんだって。
“下げ渡す”って何?って思ったけど、その言葉を発した兄さんの顔が、見たことないほど恐ろしいものだったから、詳しくは聞かないことにした。
兄さんに愛されたかった。
ずっと諦めてたのに。
僕が思っていた“愛”と形は違ったのだけれど…、
名前を呼んでもらったせいか、愛しそうに口付けられたためか。
この数日間、僕の身体を甲斐甲斐しく世話する兄の姿を見せられていたからか。
赤ちゃんの頃から、“お兄ちゃん”は僕のことが好きだった…なんて。
嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。
僕は驚くほどあっさり、“兄との新しい関係”を受け入れたのだった。
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