愛する事はないと言ったのに

マイユニ

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子供がいれば*

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「いらっしゃい」

「お邪魔します」

 毎月恒例のお食事会の日。出迎えてくれたお義父さんに笑顔を向ける。

 部屋に入って由弥くんの姿を探すもいなかった。漫画返そうと思ったのに。

「聡真、座ろう?」

「あっ、うん」

 彼は最近僕のことを聡真と呼ぶようになった。少し距離が近づいた気がして嬉しくなる。

「最近、雰囲気が変わったね」

 お義父さんが僕達を見ながら嬉しそうに言った。

「そうかな?」

「前はもう少し余所余所しい感じがしたけど」

 そんな風に思われていたんだ。うまくやっているつもりだったのに。

「孫の顔が見れる日も近そうだな」

 思わず横を見ると彼と目があった。

「お父さん、ダメよ。プレッシャーになる事言っちゃ」

「あぁ、そうだね。すまない」

「そうなればいいけど、授かりものだからね」

 えっ、そうなればいいと思ってるの?子供欲しいって思うの?彼との子供……どんな子なんだろう。男の子?女の子?どっちでも可愛んだろうな。いいな、彼との子供を授かることができたら。

「聡真?」

「あっ、ごめん。ボーッとしちゃった」

 優しく微笑む彼に心臓を鷲掴みにされる。カッコ良すぎるんだよ。ふと視線を感じて顔をあげると由弥くんと一瞬目が合った。でも、すぐに逸らされてしまった。気になって何度か見たけれど、目が合うことはなかった。

 食事を終えて部屋に戻ろうとする由弥くんを呼び止める。

「由弥くん、これありがとう」

「この前持ってきてくれてよかったのに」

「だって荷物になっちゃうでしょ?」

「続き持って帰る?」

「いいの?」

「うん。俺の部屋に来て?」

「あぁ、うん」

 史弥さんに言おうと思ったけれど、お義母さんと話をしていたから伝えられないまま部屋を出た。

「うわ、すごいね。めちゃくちゃある!」

 由弥くんの部屋には大きな本棚があって、そこにはびっしりと漫画が並んでいた。すごく羨ましい。

「最近電子で買ったりしてるから増えないようにしてるけどね」

「そっかー」

「聡くんさ、ただ漏れだよ?」

「え?」

「好きってオーラ全開に出てる」

「今日はご両親の前だし、その方がいいかと……」

「兄貴はいいな。真っ直ぐに想われて」

「由弥くん?」

「ムカつく」

「どうしたの?」

「はい、袋に入れたから」

「ありがとう」

「早く戻ったほうがいいんじゃない?」

「うん、ありがとね」

「うん」

 階段を降りて1階へと戻る。由弥くんの様子が気になった。

「聡真?」

「あっ、史弥さん」

「どこに行ってたんだ?」

「由弥くんの部屋。漫画借りた」

 紙袋を掲げてみせると「そう」と一言呟いた。また不機嫌になっちゃった。

「帰ろう」
 
「お二人にご挨拶しなきゃ」

「いいから。もう帰るって言ってあるし」

「そうなの?」

「うん、だから……」

「分かった」

 家を出て、無言で手を引く史弥さんに必死に着いていく。

「史弥さん、痛いよ」

「……」

「史弥さん!!」

「ごめん」

 ようやく立ち止まった史弥さんがバツの悪そうな顔をした。

「別にいいんだけど」

「ごめん」

「このまま手を繋いで帰ろう?」

「うん。手痛かった?」

「もう大丈夫だよ」

 笑いかけると安心したような顔を見せてくれた。ふたりでゆっくりと家までの道を歩いていく。ずっとこうしていられたらいいのにと思ってしまう。

「ただいま……んっ……」

 玄関に入るなりキスをされた。彼の首に腕を回してそのキスに応える。いつもこのまま彼は僕を抱く。普段よりも激しく。

「あっあっあぁっ、そこいい……好きぃ……」

 奥をいっぱい突いてもらって何度もイかされてそれでももっともっとと強請る。

「ほんと聡真はやらしくてかわいいよね」

「史弥さん、もっと」

「うん、もっとイかせてあげる」

「あっあぁぁっ……」

 一際奥を突かれたあとに彼の動きが穏やかになった。

「はぁはぁ……」

 今日もすごかった。先程までの情事を思い出しながら余韻に浸る。顔を上げると優しく見つめてくれる彼と目が合った。ふと昼間に話していた子供のことが頭に浮かんだ。

「ねぇ、史弥さん」

「ん?」

「孫の顔見せたいとか思う?」

 驚いたような顔をした後に目を細めた。

「そうだね。見せてあげたいなと思うよ」

「そっか」

「でも、聡真が欲しくないなら無理にとは言わない」

「僕もね、授かることができればいいなって思う」

「本当に?」

「うん、本当」

「発情期っていつ?」

「たぶんもうすぐ。薬を飲んでるから発情ってあんまりよく分からないけど」

「そっか」

「できるといいな」

 子供がいれば、もしかしたら彼と本当の家族になることができるかもしれない。そんな浅はかな事を考えていたから罰が当たったのかもしれない。
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