篠辺のお狐様

梁瀬

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年明け 禍々しい予定

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 やっと話が落ち着くかと思ったところで
「えぇ~っ…私はどこで休めばいいのよぉ。嫌よ、デレデレの溺愛っぷりを見せ付けられて、夜通し聞かされるなんて拷問よ!倉稲様が拝殿なら…神楽殿かお茶室を使わせて貰うからぁ。」
木通の言葉に、急に食いついた倉稲様が
『なんと!…誰がデレデレで、誰を溺愛なんじゃ?…夜通し愛を囁いておるのか?
羨ま…全くけしからん。木通、そなたとは諸々もろもろの話をしてみたいと、前々から思うておったところじゃ。寝巻の集いパジャマパーティーをせぬか⁈』
 倉稲様が前のめりだったのにも驚きだが、気軽に乗っかる木通にも驚かされる。

「いぃじゃない!やりましょう。〝夜の女子会〟」
 木通…夜の女子会って何?あんたが口にすると禍々しいんだけど…(夕霧)
『なんじゃ〝じょしかい〟とは?』
 倉稲…ヤル気なのか?そもそも木通は、どう見ても女子ではなかろう。(狐)
女子おなごと書いて女子じょし。夜に開かれる女だけの四方山話よもやまばなしをする会ってことぉ。」
 ちょっと!楽しそうじゃない…でもネタにされるのは…。(朝霧)
『そうか!他には誰が参加するのじゃ?』
 倉稲様、ここには木通以外に、そんな猛者はいません。(鴉山椒)
「参加は自由なのでぇ、夜になってのお楽しみぃ。」
 木通…あんたバカぁ?だけでしょ!増えないから。(杏)
『楽しみじゃのぉ。』
 倉稲様と木通。獅子と虎、鷲と鷹のようだ。歯向はむかえんしなつかん。(狼)

「じゃ、倉稲様と木通は拝殿で、お休みになられるという事に決まりですね。
ちなみに朝食は〝拝殿で8時〟ですので、それまでに起きておいてくださいね。
から。」
 左京の言葉に、皆が激しく同意した。

 元旦から、倉稲様の突然の訪問と、その後のドタバタな展開で、疲労困憊し、昼食後に日常の巡回と掃除をする事になり、解散となった。
「あの…、倉稲様。ちょっとよろしいでしょうか?」
『如何した?…もしや、夜の女子会の参加希望であるか?朝霧も一緒なら、さぞ楽しかろう。』
いつにも増してハイテンションで、地に足がつかないご様子の倉稲様に、出来るだけ落ち着いた声色で話し掛けた。
「ご紹介したいものがおります。連れて来ても宜しいでしょうか?」
そう前置きして、要石を呼び寄せた。
 [お初にお目にかかります。ここに鎮守として祀られております要石でございます。昨年から年末より三日間、人の姿にて過ごしております。……そして、少し前より
朝霧と……こっ…恋仲になりました。ご迷惑をお掛けする事が無いように致します。何卒、宜しくお願い申し上げます。]
『…そうであったか。ここまでには色々あったであろうが、おめでとう。これからも様々あるじゃろうが、二人で乗り切って行くが良かろう。…幸せにな。』
倉稲様は、我が事のように喜び、声を掛けてくださった。

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