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CHAPTER_04 マジック・ボール ~the moon sets and the sun rises~
(01)実況中継 ~showtime~
しおりを挟む「――やば、もう始まるじゃん」
シュウの姉――マリコ・ハナミヤは、実家の洗面台で歯磨き中に時刻を確認すると、慌てて口をゆすいでリビングへと向かう。
「お父さーん、時間だよ! テレビつけて」
「ん? ああ……」
父のコウヘイは、重い腰を上げてリモコンの電源ボタンを押す。TVの画面には、騒がしい実況に合わせて盛り上がる会場の様子が映し出された。右上には「LIVE」の文字も見える。
画面には5人1組が4組、計20人の男女が集う。組ごとに同じユニフォームを羽織った姿が映し出されていく。その1組には、シュウを含む学園の面々も――
「――さあ、始まりました! ここペンテグルスで行われる『マジック・ボール』の親善大会、その準決勝! 実況は私、サンテが務めさせていただきます。
解説には、かつて一世を風靡したプロチーム『ヴォン・ヴォヤージュ』
――そのエースとして長年活躍されたベーネさんに来ていただいてます!」
「お願いしまぁ~す!」
実況席に座る2人は、今日1日のために派手な格好で仕事に臨み、興奮を隠せないでいた。
会場に来ていた観客もまた、同様である。
「いやあベーネさん、とんでもないことが起きましたね」
「ほんとですよぉ~ 解説に呼ばれたときはビックリビックリぃ~!」
「今年は何とプロの世界から3組のチームがエントリーしています。当然と言うべきか、3組ともこの準決勝まで勝ち上がりました。そうなるとやはり、期待してしまうのはプロチーム同士の試合になりますね」
「そうですかぁ? 今年は学園の生徒もおもしろいですよぉ」
「ですねー、おっと……時間もあまりないので選手紹介に参りましょう! まずは第1試合――準決勝唯一のアマチュアチーム、先ほども話に挙がりました国立魔法学中央学園からの出場になります」
「この大会では何度も優勝してるんですよねぇ?」
「はい。それに、今年は魔法省直属でもある特進クラスの生徒で固めてきたそうですよ」
「それだけ本気ってことですねえ!」
「中でも注目なのはリオラ・ロイーザ選手! 強力な≪衝撃魔術≫から放たれる球速は早くも話題になっています。それから――おや?」
「あら、エリス選手の姿が見えませんね?」
「はい、学園一の魔法使いと言われるエリス・カサンドラ選手がおられないようですが、まあいいでしょう。
対するはなんと! 世界ランク1位に輝く『アトラータフェレース』が出場です!」
「すごいですよぉ~ カメラの数にも驚きぃ~」
「ベーネさんは、注目している選手はいますか?」
「やっぱりエースのハイドラ選手ですねぇ~ 男性という絶対的なディスアドバンテージを抱えていながら、年齢を重ねても現役でチームを引っ張る姿には心を撃たれちゃいます! やだ、めまいが――」
「はははっ、他にもレイジー選手は現役の学園の生徒さんですね、この点はいかがでしょう?」
「同じクラスでの対決なんてワクワクしちゃう!
レイジーはジュニア時代から一線で活躍している選手ですから、個人的にも頑張って欲しいですねえ!」
「いったいどんな試合内容になるのか、期待しましょう!
続いて第2試合――まずは『リリアナジェッツ』です。海の向こう、アルシア大陸からの出場となります」
「向こうではかーなり強豪のプロチームですねえ」
「はい、実力も実績も十分です! アトラータフェレースとの対戦経験もありますし、エースであるウルル選手の繊細で俊敏な動きにはぜひ注目です!」
「カッコいいっ! 今日で一躍スターになってしまうかもぉ~?」
「そして、その相手になるのが……」
「ごくりっ……」
「こちらも驚きです! 突如、彗星の如く現れたプロ集団、その謎は『血の涙の仮面』に覆われたまま――
昨年の世界大会でアトラータフェレースを負かし、老若男女問わず話題沸騰中の覆面チーム『サンルナール』が出場です!」
「きゃーっ、みすてりあすぅー!」
「昨年は本当に話題が尽きませんでしたね。今回のこの異常事態も彼女たちのせい――いや、彼女たちのお陰と言って過言ではありません!」
「選手名も記号なんですよね。エースは……アール選手、でしたっけ? いったい誰なのかしらぁ~」
「その謎が、今日この場所で解き明かさせれるかもしれません。果たして決勝に進むのはどのチームか、アトラータフェレースは昨年の雪辱を果たすことができるのか?」
「たのしみぃ~!」
「ペンテグルスで行われています『マジック・ボール』親善大会――準決勝第1試合がいよいよです!」
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