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第3章 夢の未来
26話 鼻血
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スタジオに着いた俺とノマドは、ノマドの案内でいつも練習している部屋の前まできたのだが……
「おい、入らないのか?」
「ちょ、ちょっと待つっス、今心の準備してるところっスから」
「でもなぁ、お前その準備始めてからどのくらい経ったかわかってるか?10分だぞ?10分!」
「わ、わかってるっスよ!あ、あとちょっとっスからちょっと待つっス!」
そんな感じで扉の前で押し問答していた。
幸いな事にスタジオは防音室になっているお陰で中にはこんな馬鹿騒ぎが聞こえていないのだが、さっきからちょくちょくここのスタッフさんが俺達を変な人を見る目で見てくるのが辛いので、出来ればノマドにはさっさと心の準備を完了させて、俺を部屋の中に入れて欲しいところだ。
それから結局さらに5分ほどノマドがモジモジしていたのと、流石にスタジオ前で15分以上も何もせずいるのを不審に思ったのか、俺たちの様子を確認するスタッフさんが少し増えて来たことで、俺が限界になり俺はノマドの静止も聞かずにスタジオの扉を開いて、その中に無理やりノマドを突っ込み、俺はスタッフさんの方に一度頭を下げてからスタジオの中へと入っていった。
「ちょっと先輩まだボク心の準備できてなかったんスけど!」
「うっさいんじゃボケ!お前がさっさと心の準備を完了せんのが悪いわ!」
そんな事を言い合いながらも俺は部屋の中を見渡してみたのだが、そこには俺より少し年下でノマドよりかは年上な美少女星野キラメただ1人しかおらず、それも確かここのスタジオ内は食事が禁止だったはずなのだが、スタジオの端の方で1人女の子座りをしながら、小さな口で両手で持ったおにぎりを啄んでいた。
「あれ?キラメ1人か?」
その声で俺がスタジオに来た事に気がついたキラメは、今まさに食べていたおにぎりを軽くラップに包むと、適当に置きその場で勢いよく立ち上がった。
「ホムラくん!?」
そして久しぶりの再会に喜んだキラメは、大きく手を振りながらこちらの方へと駆けて来た。
「久しぶりー!」
「おう、久しぶり」
裏では何度か話したりはしたものの、リアルで会うのは実に約1年と半年ぶりだ。
それが本当に嬉しかったのか、キラメは満面の笑みでこのまま勢いよくハグをするのか?と思うほどの勢いで、手を振りながらこちらに近づいて来て、俺も久しぶりの再会に少し嬉しくなり、初めの方は軽く手を振り替えしていたのだが、流石に突っ込んでくるとは思っていなかったのでどうしようかと考えていると、キラメが走っている自分の足に自分の足を引っ掛けて、俺とノマドの本当に目の前で顔面から地面へと倒れ込んだ。
その瞬間スタジオ内には、キラメが地面とキスをした時の衝撃音が響き渡った。
「うぉい!大丈夫かキラメ?」
「大丈夫っスかキラメ先輩!」
いきなりの事に俺もノマドも一瞬フリーズしてしまったが、すぐに俺は正気を取り戻しキラメに声をかけたところで、ノマドも正気に戻り俺とノマドはキラメの側まで近づき、2人でキラメを持ち上げ立ち上がらせた。
「あはは、ごめんねちょっとドジっちゃった」
そう煌めく笑顔で言うキラメの鼻からはダバダバと勢いよく鼻血が噴き出していた。
普段はしっかりとリーダーと言うか、ユメノミライのエースとして二期生や三期生を引っ張って来たのか、そのイメージのお陰で一期生のメンバー以外には、頼れる先輩として見られていたキラメが、いきなり目の前で盛大にずっこけたと思ったら、鼻血を見たこともない量を両方の鼻の穴からダバダバと垂らしている様子を見て、ノマドはあり得ないものを見たかの様に少し狼狽えていた。
だが正直俺達一期生からするとキラメは鈍臭い末っ子だったので、転んで鼻血を流すところなども何度も見て来ていたので、今更鼻血を流したくらいでは特段なんとも思わず、流れる様な動きでポケットの中からティッシュを取り出すと、すぐに口周りに着いた鼻血を拭き取るとキラメの両方の鼻の穴に丸めたティッシュを詰め込み、床に着いた鼻血を念のため持って来ていた消毒液を使ってきれいに拭き取った。
「よしっこれで大丈夫だな」
「ごめんねホムラくん」
「いいっていいって、にしても最近は配信を見てる限りお前のどじも治ったと思ったんだけど、まだまだ健在だったんだな」
「いやいや今のは偶々だって!そうだよねぇノマドちゃん」
「はいっス!キラメ先輩がドジしてるイメージなんて全然無いっスよ」
「本当か?キラメが先輩だからってそんな気を使わなくてもいいんだぞ?」
「いや、先輩ほんとっスよ!ボクから見たキラメ先輩は、完全無欠のゴッドオブアイドルって感じっス!だからさっきみたいに鼻血ダラダラなキラメ先輩を見たときは本当にびっくりしたっス。と言うか逆に先輩が颯爽とキラメ先輩の鼻血の処理をしてたのが、普通に気持ち悪かったっス」
「いや気持ち悪いってお前なぁ……」
それを聞いて俺の知らない間にキラメも成長したんだなと、過去の1人だと事務所にも行けず、毎度俺がキラメの家まで迎えに行っていた、あの頃のドジっ子だったキラメを思い出して少し懐かしさに浸っていた。
「そういや今日ってキラメ以外は居ないのか?」
キラメとの再会で色々忘れていたが、今日俺がここに来た理由がノマドがミリーに謝る所を見届ける事だった思い出し、この部屋に入ってからミリーを一度も見ておらず、もしや今日はレッスンの日ではなかったのでは?と少しいやな考えが頭によぎった。
「今日?今日はねカネコちゃんとマミさんは用事で来れないって言ってたから、私とミリーちゃんの2人だけだよ」
「そっかミリーはいるのか」
「うん、今は外でお昼ご飯食べに行ってるけどね」
それを聞いて俺は、今日ここに来たことが無駄足でなかったことがわかり一安心した。
その後最近の出来事などを3人で話し合っていると、スタジオの扉をノックする音が聞こえ、それと同時に1人の女性が部屋の中へと入って来た。
「軍神ミリーただいま昼休憩より帰還しました。」
「おい、入らないのか?」
「ちょ、ちょっと待つっス、今心の準備してるところっスから」
「でもなぁ、お前その準備始めてからどのくらい経ったかわかってるか?10分だぞ?10分!」
「わ、わかってるっスよ!あ、あとちょっとっスからちょっと待つっス!」
そんな感じで扉の前で押し問答していた。
幸いな事にスタジオは防音室になっているお陰で中にはこんな馬鹿騒ぎが聞こえていないのだが、さっきからちょくちょくここのスタッフさんが俺達を変な人を見る目で見てくるのが辛いので、出来ればノマドにはさっさと心の準備を完了させて、俺を部屋の中に入れて欲しいところだ。
それから結局さらに5分ほどノマドがモジモジしていたのと、流石にスタジオ前で15分以上も何もせずいるのを不審に思ったのか、俺たちの様子を確認するスタッフさんが少し増えて来たことで、俺が限界になり俺はノマドの静止も聞かずにスタジオの扉を開いて、その中に無理やりノマドを突っ込み、俺はスタッフさんの方に一度頭を下げてからスタジオの中へと入っていった。
「ちょっと先輩まだボク心の準備できてなかったんスけど!」
「うっさいんじゃボケ!お前がさっさと心の準備を完了せんのが悪いわ!」
そんな事を言い合いながらも俺は部屋の中を見渡してみたのだが、そこには俺より少し年下でノマドよりかは年上な美少女星野キラメただ1人しかおらず、それも確かここのスタジオ内は食事が禁止だったはずなのだが、スタジオの端の方で1人女の子座りをしながら、小さな口で両手で持ったおにぎりを啄んでいた。
「あれ?キラメ1人か?」
その声で俺がスタジオに来た事に気がついたキラメは、今まさに食べていたおにぎりを軽くラップに包むと、適当に置きその場で勢いよく立ち上がった。
「ホムラくん!?」
そして久しぶりの再会に喜んだキラメは、大きく手を振りながらこちらの方へと駆けて来た。
「久しぶりー!」
「おう、久しぶり」
裏では何度か話したりはしたものの、リアルで会うのは実に約1年と半年ぶりだ。
それが本当に嬉しかったのか、キラメは満面の笑みでこのまま勢いよくハグをするのか?と思うほどの勢いで、手を振りながらこちらに近づいて来て、俺も久しぶりの再会に少し嬉しくなり、初めの方は軽く手を振り替えしていたのだが、流石に突っ込んでくるとは思っていなかったのでどうしようかと考えていると、キラメが走っている自分の足に自分の足を引っ掛けて、俺とノマドの本当に目の前で顔面から地面へと倒れ込んだ。
その瞬間スタジオ内には、キラメが地面とキスをした時の衝撃音が響き渡った。
「うぉい!大丈夫かキラメ?」
「大丈夫っスかキラメ先輩!」
いきなりの事に俺もノマドも一瞬フリーズしてしまったが、すぐに俺は正気を取り戻しキラメに声をかけたところで、ノマドも正気に戻り俺とノマドはキラメの側まで近づき、2人でキラメを持ち上げ立ち上がらせた。
「あはは、ごめんねちょっとドジっちゃった」
そう煌めく笑顔で言うキラメの鼻からはダバダバと勢いよく鼻血が噴き出していた。
普段はしっかりとリーダーと言うか、ユメノミライのエースとして二期生や三期生を引っ張って来たのか、そのイメージのお陰で一期生のメンバー以外には、頼れる先輩として見られていたキラメが、いきなり目の前で盛大にずっこけたと思ったら、鼻血を見たこともない量を両方の鼻の穴からダバダバと垂らしている様子を見て、ノマドはあり得ないものを見たかの様に少し狼狽えていた。
だが正直俺達一期生からするとキラメは鈍臭い末っ子だったので、転んで鼻血を流すところなども何度も見て来ていたので、今更鼻血を流したくらいでは特段なんとも思わず、流れる様な動きでポケットの中からティッシュを取り出すと、すぐに口周りに着いた鼻血を拭き取るとキラメの両方の鼻の穴に丸めたティッシュを詰め込み、床に着いた鼻血を念のため持って来ていた消毒液を使ってきれいに拭き取った。
「よしっこれで大丈夫だな」
「ごめんねホムラくん」
「いいっていいって、にしても最近は配信を見てる限りお前のどじも治ったと思ったんだけど、まだまだ健在だったんだな」
「いやいや今のは偶々だって!そうだよねぇノマドちゃん」
「はいっス!キラメ先輩がドジしてるイメージなんて全然無いっスよ」
「本当か?キラメが先輩だからってそんな気を使わなくてもいいんだぞ?」
「いや、先輩ほんとっスよ!ボクから見たキラメ先輩は、完全無欠のゴッドオブアイドルって感じっス!だからさっきみたいに鼻血ダラダラなキラメ先輩を見たときは本当にびっくりしたっス。と言うか逆に先輩が颯爽とキラメ先輩の鼻血の処理をしてたのが、普通に気持ち悪かったっス」
「いや気持ち悪いってお前なぁ……」
それを聞いて俺の知らない間にキラメも成長したんだなと、過去の1人だと事務所にも行けず、毎度俺がキラメの家まで迎えに行っていた、あの頃のドジっ子だったキラメを思い出して少し懐かしさに浸っていた。
「そういや今日ってキラメ以外は居ないのか?」
キラメとの再会で色々忘れていたが、今日俺がここに来た理由がノマドがミリーに謝る所を見届ける事だった思い出し、この部屋に入ってからミリーを一度も見ておらず、もしや今日はレッスンの日ではなかったのでは?と少しいやな考えが頭によぎった。
「今日?今日はねカネコちゃんとマミさんは用事で来れないって言ってたから、私とミリーちゃんの2人だけだよ」
「そっかミリーはいるのか」
「うん、今は外でお昼ご飯食べに行ってるけどね」
それを聞いて俺は、今日ここに来たことが無駄足でなかったことがわかり一安心した。
その後最近の出来事などを3人で話し合っていると、スタジオの扉をノックする音が聞こえ、それと同時に1人の女性が部屋の中へと入って来た。
「軍神ミリーただいま昼休憩より帰還しました。」
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