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カエルになった行商人
2.カエルをつれたお姉さん
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ある日、メイプルたちのもとに、お洒落な鳥かごを持ったお客さんが訪ねてきました。お客さんの名前はパーム。その横にはシジミチョウの羽をもつパートナー妖精のシュガーがいました。どちらもメイプルとシロップよりも一回り年上のお姉さんで、町の中心で宝石屋さんを営んでいる店主さんでもありました。
パームが手に持っている鳥かごにはキラキラとしたカバーがかけられており、中は見えません。ですが、お洒落なこのお姉さんが優雅に話すさまを見て、メイプルもシロップもかごの中にいるのはきっと美しいモンスターなのだろうと勝手に想像していました。
不死鳥か、金の卵を産むというガチョウか、きらびやかなイメージと共に注目していましたので、二人とも、鳥かごのカバーを外すパームとシュガーが、不安そうな表情をしている事に全く気付きませんでした。そして、直後、鳥かごの中身があばかれた瞬間、シロップは真っ先にのけぞってしまいました。
「まあやだ! カエルじゃないの!」
そうです。そこには小さな服を着たカエルらしき生き物がいたのです。メイプルもシロップも戸惑ってしまいました。というのも、カエルのモンスターにはいくつか心当たりがあったのですが、目の前の鳥かごの中にいる服を着たカエルは、いずれの種類とも特徴がちょっと違ったのです。
それに、まずい事実もありました。カエルのモンスターたちはみんなの大事なパートナー妖精を食べてしまう恐れがあるため、光の国においてはペットとして飼ってはいけないモンスターとして指定されていたのです。
シロップが眉をひそめたのもそのせいです。しかし、本当に驚くのはこれからでした。シロップの言葉を聞くなり、その服を着たカエルがゲコゲコ鳴いたかと思うと、鳥かごの中でぴょんぴょんはねまわりながら文句を言ってきたのです。
「カエルじゃないやい!」
「きゃあっ! カエルがしゃべった!」
思わぬ文句にシロップは悲鳴を上げてしまいました。それに、メイプルも驚いてしまいました。しゃべるカエルのモンスターなんて、メイプルの知る限りこの世界にはいなかったためです。
「この子はいったい……」
驚きを隠せないメイプルを、鳥かごの中にいるカエルは目を潤ませながら見上げました。そして、小さな両手をぴたりとくっつけ、拝みながら言ったのでした。
「お嬢ちゃん、どうかオイラたちを助けておくれ」
そして、彼は語り始めました。
彼の名前はポポ。年齢はメイプルたちよりも、やはり一回り上のお兄さんです。普段は国をまたいで商売をする行商人のお仕事をしているそうです。
「はあ、行商人? カエルが?」
あきれたように口を挟むシロップを、メイプルは軽くとがめました。けれど、ポポという名のそのカエルは苦笑いを浮かべながら言いました。
「ああ、そう疑うのも仕方ないさ。オイラのこの姿を見て、人間だったなんて思うやつがいるわけがない。だが、オイラはカエルじゃない。本当は人間なんだよ!」
必死に訴える彼を前に、シロップはますます眉を吊り上げました。もともと妖精を食べてしまう恐れのあるカエルは苦手でしたし、そうでなくたってにわかには信じられないお話だったためです。
「冗談じゃないわ。あなたのどこが人間なのよ。どこからどう見たってカエルじゃない。第一、この国の人間だったらパートナーはどうしたの? 光の国生まれならみんな妖精が一緒にいるはずでしょう?」
すると、ポポは大きくため息をついてから答えました。
「それこそがまさに、君たちを頼った原因なんだよ」
どこか切実なその様子に、メイプルはそっと訊ねました。
「どういうこと?」
すると、やはり同じように深刻な顔をしたパームとシュガーがそれぞれ口を開きました。
「ポポは、闇の国生まれの人間なんです。これまでは、わたしと一緒に闇の国と光の国とを行き来する架け橋のような活動もしていたんです」
「そ、だから、生まれつき妖精がいないの。その証拠にあなた、妖精ならば目ざとく気づくあの輝く心を全く感じないでしょう?」
シュガーの問いを受け、シロップはようやく納得しました。確かに、闇の国の人間ならばパートナー妖精がいなくてもおかしくはありません。しかし、納得したと同時に、これはもしやまずい話なのではと思い始めました。
「ちょっと待って。あなた達もしや、とんでもない厄介事を──」
冷たく突っぱねようとするシロップを、メイプルはなだめました。そして、あらためて、彼らに言いました。
「詳しく事情をお聞かせください」
パームが手に持っている鳥かごにはキラキラとしたカバーがかけられており、中は見えません。ですが、お洒落なこのお姉さんが優雅に話すさまを見て、メイプルもシロップもかごの中にいるのはきっと美しいモンスターなのだろうと勝手に想像していました。
不死鳥か、金の卵を産むというガチョウか、きらびやかなイメージと共に注目していましたので、二人とも、鳥かごのカバーを外すパームとシュガーが、不安そうな表情をしている事に全く気付きませんでした。そして、直後、鳥かごの中身があばかれた瞬間、シロップは真っ先にのけぞってしまいました。
「まあやだ! カエルじゃないの!」
そうです。そこには小さな服を着たカエルらしき生き物がいたのです。メイプルもシロップも戸惑ってしまいました。というのも、カエルのモンスターにはいくつか心当たりがあったのですが、目の前の鳥かごの中にいる服を着たカエルは、いずれの種類とも特徴がちょっと違ったのです。
それに、まずい事実もありました。カエルのモンスターたちはみんなの大事なパートナー妖精を食べてしまう恐れがあるため、光の国においてはペットとして飼ってはいけないモンスターとして指定されていたのです。
シロップが眉をひそめたのもそのせいです。しかし、本当に驚くのはこれからでした。シロップの言葉を聞くなり、その服を着たカエルがゲコゲコ鳴いたかと思うと、鳥かごの中でぴょんぴょんはねまわりながら文句を言ってきたのです。
「カエルじゃないやい!」
「きゃあっ! カエルがしゃべった!」
思わぬ文句にシロップは悲鳴を上げてしまいました。それに、メイプルも驚いてしまいました。しゃべるカエルのモンスターなんて、メイプルの知る限りこの世界にはいなかったためです。
「この子はいったい……」
驚きを隠せないメイプルを、鳥かごの中にいるカエルは目を潤ませながら見上げました。そして、小さな両手をぴたりとくっつけ、拝みながら言ったのでした。
「お嬢ちゃん、どうかオイラたちを助けておくれ」
そして、彼は語り始めました。
彼の名前はポポ。年齢はメイプルたちよりも、やはり一回り上のお兄さんです。普段は国をまたいで商売をする行商人のお仕事をしているそうです。
「はあ、行商人? カエルが?」
あきれたように口を挟むシロップを、メイプルは軽くとがめました。けれど、ポポという名のそのカエルは苦笑いを浮かべながら言いました。
「ああ、そう疑うのも仕方ないさ。オイラのこの姿を見て、人間だったなんて思うやつがいるわけがない。だが、オイラはカエルじゃない。本当は人間なんだよ!」
必死に訴える彼を前に、シロップはますます眉を吊り上げました。もともと妖精を食べてしまう恐れのあるカエルは苦手でしたし、そうでなくたってにわかには信じられないお話だったためです。
「冗談じゃないわ。あなたのどこが人間なのよ。どこからどう見たってカエルじゃない。第一、この国の人間だったらパートナーはどうしたの? 光の国生まれならみんな妖精が一緒にいるはずでしょう?」
すると、ポポは大きくため息をついてから答えました。
「それこそがまさに、君たちを頼った原因なんだよ」
どこか切実なその様子に、メイプルはそっと訊ねました。
「どういうこと?」
すると、やはり同じように深刻な顔をしたパームとシュガーがそれぞれ口を開きました。
「ポポは、闇の国生まれの人間なんです。これまでは、わたしと一緒に闇の国と光の国とを行き来する架け橋のような活動もしていたんです」
「そ、だから、生まれつき妖精がいないの。その証拠にあなた、妖精ならば目ざとく気づくあの輝く心を全く感じないでしょう?」
シュガーの問いを受け、シロップはようやく納得しました。確かに、闇の国の人間ならばパートナー妖精がいなくてもおかしくはありません。しかし、納得したと同時に、これはもしやまずい話なのではと思い始めました。
「ちょっと待って。あなた達もしや、とんでもない厄介事を──」
冷たく突っぱねようとするシロップを、メイプルはなだめました。そして、あらためて、彼らに言いました。
「詳しく事情をお聞かせください」
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