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闇を愛するユニコーン
7.病気のわたあめ犬
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ラベンダーの荷馬車が到着したのは、こぎれいなお屋敷でした。扉をノックすると、すでに話は聞いていたのでしょう。すぐに反応がありました。出てきたのは青い目の黒猫のような姿をした獣人で、目の色に合わせた青いマントを着ています。その腕の中には、話に聞いていた通りのわたあめ犬がいました。くるりとまるまると、まさにわたあめのような姿になる、無害なペット用のモンスターです。周囲の人達を笑顔にするような愛嬌のある仕草や、明るい性格が特徴です。元気よくぽんぽんはねるのも特徴なのですが、けれど今は具合が悪いようで、黒猫のご婦人の腕の中でぐったりとしていました。
「カイヤさんですね? こちらはマシュマロ君で間違いないですか」
黒猫のご婦人がうなずくと、メイプルはていねいにお辞儀をして言いました。
「お迎えにあがりました。さっそく行きましょう」
すでに出かける準備はしておいたのでしょう。カイヤは先にマシュマロを荷馬車に乗せると、そのまま速やかに荷物をまとめて出てきました。彼女が乗り込むまでの間、メイプルたちは荷馬車でマシュマロの様子を見守っていました。やはり元気がないようです。いつものわたあめのような丸まりすら見せる様子がありません。
カイヤは戻ってくると、マシュマロのことを話してくれました。
「お昼まではいつもと変わらなかったのだけれど、夕飯の後で突然具合が悪くなってしまったみたいなの。すぐにモンスター病院にお電話をしたのだけれど、そこまで行く足がなくて……その間にマシュマロもどんどん元気がなくなっていって……」
不安が大きいのでしょう。カイヤはそのまま猫の耳を倒してしまいました。
こんな時、自動車があったらどんなによかったでしょう。しかし、メイプルたちの暮らす世界にはまだ自動車というものがありません。そして、人々の足となる馬や馬車といったものは、全ての人が乗りこなせるわけではありませんでした。また、馬車を手配するのも大変でした。誰でも乗れるような馬車には数に限りがあって、夜にもかけつけてくれるところとなるとさらに少数です。
すっかり困り果てたカイヤがとっさに思い出したのが、パームのことでした。彼女の言っていた荷馬車の話を思い出して、相談してみたのです。そして、相談を受けたパームからメイプルのところに電話が来たというわけです。
「あなたがパームさんと知り合いだったのが不幸中の幸いね」
シロップは言いました。
「心配はいらないわ。うちで働くのは夜道をおそれずにかけぬける、ユニコーンの中でも立派なユニコーンなんだから。どうか安心して」
元気づけるようにシロップが言う横で、メイプルはそっとラベンダーにささやきました。
「モンスター病院までお願い」
すると、ラベンダーはきりっとした表情と共に、角を光らせました。応答するように光るのは、モンスター病院のあるあたりです。メイプルがたずなを通して合図を送ると、ラベンダーはすぐに走り始めました。
荷馬車を引っ張るのはラベンダーたった一頭ではありますが、ユニコーンはただの馬ではありません。カイヤとマシュマロが乗ったくらいではスピードも落ちたりせず、力強く進みました。それに、外灯の乏しい夜道も迷ったりしません。どこにも、誰にもぶつかることなく、ラベンダーは走りつづけました。ガタガタ、ゴトゴトとゆれる荷馬車の中で、シロップは時折、カイヤとマシュマロの様子を見守りました。
カイヤはずっとマシュマロをはげますように抱きしめていました。マシュマロの方は舌を出したままぐったりとしています。そのまま馬車の進む音だけが響く沈黙の時間がしばらく流れた末、ようやくその場所は見えてきました。
預かり屋さんからも、カイヤのお屋敷からもちょっと遠い場所にあるその建物。光の国では数少ないモンスター病院です。
その入り口にはすでに、事前に連絡を受けていたお医者さんが、パートナー妖精と一緒に待っていました。
「カイヤさんですね? こちらはマシュマロ君で間違いないですか」
黒猫のご婦人がうなずくと、メイプルはていねいにお辞儀をして言いました。
「お迎えにあがりました。さっそく行きましょう」
すでに出かける準備はしておいたのでしょう。カイヤは先にマシュマロを荷馬車に乗せると、そのまま速やかに荷物をまとめて出てきました。彼女が乗り込むまでの間、メイプルたちは荷馬車でマシュマロの様子を見守っていました。やはり元気がないようです。いつものわたあめのような丸まりすら見せる様子がありません。
カイヤは戻ってくると、マシュマロのことを話してくれました。
「お昼まではいつもと変わらなかったのだけれど、夕飯の後で突然具合が悪くなってしまったみたいなの。すぐにモンスター病院にお電話をしたのだけれど、そこまで行く足がなくて……その間にマシュマロもどんどん元気がなくなっていって……」
不安が大きいのでしょう。カイヤはそのまま猫の耳を倒してしまいました。
こんな時、自動車があったらどんなによかったでしょう。しかし、メイプルたちの暮らす世界にはまだ自動車というものがありません。そして、人々の足となる馬や馬車といったものは、全ての人が乗りこなせるわけではありませんでした。また、馬車を手配するのも大変でした。誰でも乗れるような馬車には数に限りがあって、夜にもかけつけてくれるところとなるとさらに少数です。
すっかり困り果てたカイヤがとっさに思い出したのが、パームのことでした。彼女の言っていた荷馬車の話を思い出して、相談してみたのです。そして、相談を受けたパームからメイプルのところに電話が来たというわけです。
「あなたがパームさんと知り合いだったのが不幸中の幸いね」
シロップは言いました。
「心配はいらないわ。うちで働くのは夜道をおそれずにかけぬける、ユニコーンの中でも立派なユニコーンなんだから。どうか安心して」
元気づけるようにシロップが言う横で、メイプルはそっとラベンダーにささやきました。
「モンスター病院までお願い」
すると、ラベンダーはきりっとした表情と共に、角を光らせました。応答するように光るのは、モンスター病院のあるあたりです。メイプルがたずなを通して合図を送ると、ラベンダーはすぐに走り始めました。
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カイヤはずっとマシュマロをはげますように抱きしめていました。マシュマロの方は舌を出したままぐったりとしています。そのまま馬車の進む音だけが響く沈黙の時間がしばらく流れた末、ようやくその場所は見えてきました。
預かり屋さんからも、カイヤのお屋敷からもちょっと遠い場所にあるその建物。光の国では数少ないモンスター病院です。
その入り口にはすでに、事前に連絡を受けていたお医者さんが、パートナー妖精と一緒に待っていました。
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