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終章・魔王大戦
77 開戦
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魔王が身を潜めている渓谷の手前にある平野に連合軍およそ10万人が集結していた。
精鋭を集めたこの部隊はすでに陣を引き魔王の配下と思われる魔物たちとにらみ合いをしている。
膠着状態が続く中、突如として警告から激しい魔力が立ち上った。
「伝令!魔王の拘束がとかれました!」
伝令が早いか、魔物たちが動き始める。
連合軍と魔王軍の戦いが始まった。
ディートたちは戦場を避けた山道を気配を消しながら進んでいた。
魔王と直接対峙するまでに消耗はできればしたくない。
護衛の少数部隊数隊とともに進んでいく。
が、そううまくいくはずもなく。
彼らの前に人語を流ちょうにしゃべる魔物が現れた。
「高い知能を盛った魔物…魔王の直属の眷属か!」
アレクシスが叫ぶ。
魔王はその強大な魔力を持って魔物を進化させることが出来るという。
魔王が直接進化させた魔物は知能が高く強大な力を持つとされ、1体で都市を壊滅させることが出来るほどだったと伝承では伝えられている。
「神器の持ち主を確認。我が君のためにその命頂戴する!」
竜と人が合体したようなその眷属はディートたちに向かって爪を伸ばす。
「させんよ」
そんな中、狼に乗った男性が割り込んできた。
アルマリアと同じく聖獣に仕える巫であった。
「ここは私に任せて先に行け!」
ディートたちは聖獣の巫にその場を任せて先に進む。
眷属たちが現れるたびに、聖獣の巫女や巫たち、もしくは小隊が残りディートたちを先に進ませていく。
余波で伝わる死闘。
だが、ディートたちは振り向かない。振り向けない。
魔王討伐の要である彼らは誰が倒れたとしても進まなければならなかった。
「はああああああ!」
ソラリヤ王国第三王子リーグベルトは魔物を両断した。
一兵士として戦う彼の存在は兵の士気を上げるのに大いに役立っていた。
強大な力を持つ魔物との闘いにおいて心が折れないことは彼らが生存するために最も必要な要素である。
彼はティアー・ダリク伯爵令嬢に恋をしていた。
きっかけはアリーの事件後にお見舞いに行った時のこと。
本来の彼女に触れていくうちにだんだんと惹かれていったのだ。
リーグベルトは自分が兄弟に劣っている自覚があった。
それゆえにやる気が起きず最低限のことしかしてこなかった。
精神的にも弱く、今回もアリーの魅了に実はすっかりかかっていた。
メイドのことがあったおかげで魅了を解除してもらえたので良かったものの、無ければ前の時間と同じような末路をたどっていただろう。
アリーのことティアーのこと…それらの経験を経て彼は変わりたいと願うようになっていた。
だからと言って人はすぐに変われない。
悩んだ末に彼は唯一自身のある魔法剣士として実力をつけるところから始めようとした。
ディートたちが修行している傍らで彼もまた魔王と戦えるくらいを意識して修行をしていたのである。
「(この戦いを生き残れれば…自分は変われるような気がする…)」
己を変えるために剣を振るう。
ルーベルトにとっては魔王軍との戦いは己との戦いでもあった。
精鋭を集めたこの部隊はすでに陣を引き魔王の配下と思われる魔物たちとにらみ合いをしている。
膠着状態が続く中、突如として警告から激しい魔力が立ち上った。
「伝令!魔王の拘束がとかれました!」
伝令が早いか、魔物たちが動き始める。
連合軍と魔王軍の戦いが始まった。
ディートたちは戦場を避けた山道を気配を消しながら進んでいた。
魔王と直接対峙するまでに消耗はできればしたくない。
護衛の少数部隊数隊とともに進んでいく。
が、そううまくいくはずもなく。
彼らの前に人語を流ちょうにしゃべる魔物が現れた。
「高い知能を盛った魔物…魔王の直属の眷属か!」
アレクシスが叫ぶ。
魔王はその強大な魔力を持って魔物を進化させることが出来るという。
魔王が直接進化させた魔物は知能が高く強大な力を持つとされ、1体で都市を壊滅させることが出来るほどだったと伝承では伝えられている。
「神器の持ち主を確認。我が君のためにその命頂戴する!」
竜と人が合体したようなその眷属はディートたちに向かって爪を伸ばす。
「させんよ」
そんな中、狼に乗った男性が割り込んできた。
アルマリアと同じく聖獣に仕える巫であった。
「ここは私に任せて先に行け!」
ディートたちは聖獣の巫にその場を任せて先に進む。
眷属たちが現れるたびに、聖獣の巫女や巫たち、もしくは小隊が残りディートたちを先に進ませていく。
余波で伝わる死闘。
だが、ディートたちは振り向かない。振り向けない。
魔王討伐の要である彼らは誰が倒れたとしても進まなければならなかった。
「はああああああ!」
ソラリヤ王国第三王子リーグベルトは魔物を両断した。
一兵士として戦う彼の存在は兵の士気を上げるのに大いに役立っていた。
強大な力を持つ魔物との闘いにおいて心が折れないことは彼らが生存するために最も必要な要素である。
彼はティアー・ダリク伯爵令嬢に恋をしていた。
きっかけはアリーの事件後にお見舞いに行った時のこと。
本来の彼女に触れていくうちにだんだんと惹かれていったのだ。
リーグベルトは自分が兄弟に劣っている自覚があった。
それゆえにやる気が起きず最低限のことしかしてこなかった。
精神的にも弱く、今回もアリーの魅了に実はすっかりかかっていた。
メイドのことがあったおかげで魅了を解除してもらえたので良かったものの、無ければ前の時間と同じような末路をたどっていただろう。
アリーのことティアーのこと…それらの経験を経て彼は変わりたいと願うようになっていた。
だからと言って人はすぐに変われない。
悩んだ末に彼は唯一自身のある魔法剣士として実力をつけるところから始めようとした。
ディートたちが修行している傍らで彼もまた魔王と戦えるくらいを意識して修行をしていたのである。
「(この戦いを生き残れれば…自分は変われるような気がする…)」
己を変えるために剣を振るう。
ルーベルトにとっては魔王軍との戦いは己との戦いでもあった。
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