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ダメ!それは私の!
第40話 メグルと動揺
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リリーの家を飛び出してすぐ、道行く人々の視線が僕に釘付けになった。
それだけで居た堪れない気持ちになって駆け出した。
僕はすぐに閑散とした路地裏に入って、息を整える。
落ち着け、落ちつけ…。
そう自分に言い聞かせるが、落ち着けば落ち着くほど先ほどのギザったらしい自分の行動が頭の中を駆け巡る。
なんであんな事しちゃったんだよ?!馬鹿なの?!馬鹿なんでしょう?!
自分の頭を抱え込んでその場に蹲る。
あの時は妙に気持ちが昂ってしまった。何かカッコいい所を見せたいと思ってしまったのだ。…リリーに。
リリーは極度の人見知りで、よく遊びに来るというコランさんですら面会できない程だ。と、カーネさんから聞いていた。
現に部屋に向かった僕たちが原因で過呼吸を起こしてしまうほどだ。
彼女の中での他人はそれほどに恐怖の対象なのだろう。
そんな彼女は怯える僕を見てすぐに助けに来てくれた。
恐怖の対象である僕を、同じく恐怖の対象であるコランさん達から守ってくれたのだ。
僕は怖かった。自分より大きなものがゆっくりと迫ってくる様が。
…人間が迫ってくる様が。
正直油断していた。
もう自分は人間を克服したと思っていたのだ。
だが、ふたを開けてみればこの通り。
ちょっとしたきっかけで腰すら立たなくなってしまった。
自分に力があると分かっていても、それは人に向けて良い物ではない。
でも、最後にはそんな考えもぐちゃぐちゃになる程に恐怖していた。
やっぱり僕は人間が駄目なようだった。
何故怖いのか…。
それは思い出せないし、思い出したくもない。
リリーはそんな状態の僕を助けてくれた。
そして僕はそんなリリーに母さんを重ねてしまった。
唯一信頼できる人間。
一緒にいて安心できる存在。
そして、今一番いて欲しい存在。
そんな存在を彼女から感じてしまったのだから、心が揺れ動かされない訳がなかった。
僕は母さんにもよく見栄は張る。
それを聞いた兄弟たちに弄られて、顔を赤くした事も一度や二度ではない。
分かっていてもやってしまうのだ。
今回の件も同じだろう。
なんで見栄を張っちゃうかなぁ…。
毎回後悔するのに昂った感情が抑えられない…。
これはもう病気なのでは?
そんな事を考えながら恥ずかしい記憶をもみ消す。
それと同時に母さんの顔を思い出して心が少し落ち着いた。
よし!気持ちを切り替えてお祭りを回ろう!
お祭りは情報を集めるにも、友好を築くにも打って付けの機会だ。
正直この村を逃せば他の村と友好を結べる確立など皆無だろう。
足場を固めるにも今回のお祭りには参加しておきたい。
人を見て危なくなりそうだったらその前に逃げだす。
大丈夫だ。僕に何かあっても姉さんたちが助けてくれる。
それに本当に悪意のある相手なら…。手段は選ばない。
僕は胸の前に両手を構え、包み込むようにしてその間に火の球を出現させる。
焦っている時では爆発させることしかできないが、落ち着いていればこの通り。ちゃんと制御できる。
…それに火を眺めていると皆と囲む食卓が思い出されて落ち着くのだ。
大丈夫、僕は強い。
もしもの時は皆もいる。これはチャンスだ。
…よし、行くぞ。
路地裏から外を見た時、丁度リリーがその前を通りかかった。
母さんの面影を感じたはずの彼女。
にもかかわらず彼女を目の前にした瞬間、安心するどころか頭が真っ白になった。
手の内の火の球がボン!と音を立て爆発する。
熱いだの痛いだの言う前に、彼女の視線をその音に引きつけられる方が大問題だった。
僕は身を翻すと村の外に走る。
リリー達が振り返る頃には、彼の心を体現した様に、もやもやとした煙だけが立ち込めていた。
それだけで居た堪れない気持ちになって駆け出した。
僕はすぐに閑散とした路地裏に入って、息を整える。
落ち着け、落ちつけ…。
そう自分に言い聞かせるが、落ち着けば落ち着くほど先ほどのギザったらしい自分の行動が頭の中を駆け巡る。
なんであんな事しちゃったんだよ?!馬鹿なの?!馬鹿なんでしょう?!
自分の頭を抱え込んでその場に蹲る。
あの時は妙に気持ちが昂ってしまった。何かカッコいい所を見せたいと思ってしまったのだ。…リリーに。
リリーは極度の人見知りで、よく遊びに来るというコランさんですら面会できない程だ。と、カーネさんから聞いていた。
現に部屋に向かった僕たちが原因で過呼吸を起こしてしまうほどだ。
彼女の中での他人はそれほどに恐怖の対象なのだろう。
そんな彼女は怯える僕を見てすぐに助けに来てくれた。
恐怖の対象である僕を、同じく恐怖の対象であるコランさん達から守ってくれたのだ。
僕は怖かった。自分より大きなものがゆっくりと迫ってくる様が。
…人間が迫ってくる様が。
正直油断していた。
もう自分は人間を克服したと思っていたのだ。
だが、ふたを開けてみればこの通り。
ちょっとしたきっかけで腰すら立たなくなってしまった。
自分に力があると分かっていても、それは人に向けて良い物ではない。
でも、最後にはそんな考えもぐちゃぐちゃになる程に恐怖していた。
やっぱり僕は人間が駄目なようだった。
何故怖いのか…。
それは思い出せないし、思い出したくもない。
リリーはそんな状態の僕を助けてくれた。
そして僕はそんなリリーに母さんを重ねてしまった。
唯一信頼できる人間。
一緒にいて安心できる存在。
そして、今一番いて欲しい存在。
そんな存在を彼女から感じてしまったのだから、心が揺れ動かされない訳がなかった。
僕は母さんにもよく見栄は張る。
それを聞いた兄弟たちに弄られて、顔を赤くした事も一度や二度ではない。
分かっていてもやってしまうのだ。
今回の件も同じだろう。
なんで見栄を張っちゃうかなぁ…。
毎回後悔するのに昂った感情が抑えられない…。
これはもう病気なのでは?
そんな事を考えながら恥ずかしい記憶をもみ消す。
それと同時に母さんの顔を思い出して心が少し落ち着いた。
よし!気持ちを切り替えてお祭りを回ろう!
お祭りは情報を集めるにも、友好を築くにも打って付けの機会だ。
正直この村を逃せば他の村と友好を結べる確立など皆無だろう。
足場を固めるにも今回のお祭りには参加しておきたい。
人を見て危なくなりそうだったらその前に逃げだす。
大丈夫だ。僕に何かあっても姉さんたちが助けてくれる。
それに本当に悪意のある相手なら…。手段は選ばない。
僕は胸の前に両手を構え、包み込むようにしてその間に火の球を出現させる。
焦っている時では爆発させることしかできないが、落ち着いていればこの通り。ちゃんと制御できる。
…それに火を眺めていると皆と囲む食卓が思い出されて落ち着くのだ。
大丈夫、僕は強い。
もしもの時は皆もいる。これはチャンスだ。
…よし、行くぞ。
路地裏から外を見た時、丁度リリーがその前を通りかかった。
母さんの面影を感じたはずの彼女。
にもかかわらず彼女を目の前にした瞬間、安心するどころか頭が真っ白になった。
手の内の火の球がボン!と音を立て爆発する。
熱いだの痛いだの言う前に、彼女の視線をその音に引きつけられる方が大問題だった。
僕は身を翻すと村の外に走る。
リリー達が振り返る頃には、彼の心を体現した様に、もやもやとした煙だけが立ち込めていた。
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