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帰還
第102話
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「最低だ……」
俺は草陰で、一人呟く。
コグモは俺を心配して手を差し伸べてくれたと言うのに、それを……。
でも、あれは反射だった。反射だったんだ。
仕方なかった。仕方なかった事にしたい。
……でも、コグモに触れられた瞬間、確かに思ってしまったんだ。……気色が悪いと。
だって、そうだろ?
家にいるウサギからしたら、そこら辺のウサギを食うと言う事は、頭の良い人間が、頭の悪い、それこそ生まれたばかりの赤ん坊を食うような事だ。
それを、あの優しいコグモが、平然として見ていられる、あの空間が恐ろしかったのだ。
……違う。狂っているのは俺だ。俺が狂っているんだ。
そんなの、弱肉強食のこの世界では当然の事なのに。
人間の社会だって、強い者が弱い者を食い物にしているじゃないか。
この世界との違いは、それが、直接的か、そうでないかの違いだけ。
それこそ、直接手を下して、必要な分だけを得る。
この世界の方が、よっぽど、清く、正しいく、美しいのだ。
間違っているのは俺で、汚れているのも俺だ。
くだらない価値観を捨てられなくて、それが正しいと、今でも心の何処かで思っている。
あの会社に居続ける事が全てだと思っていた、あの頃の自分と同じだ。
学校の友人とそりが合わなくなったあの時と同じ。
母さんと喧嘩して、突き飛ばしてしまったあの時と同じ……。
「ウヴォェッ!!」
胃など言う物はないのに、吐き気がしてきた。
いつも間違っているのは俺だ。
あの会社に居続けなければいけないと言う強迫観念も、
いじめを見て見ぬふりをした自己保身も、
正しいと分かっていた母の言葉を受け入れられなかった、あの時の自分も、
全部全部、今でも、心の何処かで正しいと、仕方が無い思っている。
どうして、こうも言い訳ばかりなのだろうか?
自分が間違っていると、認められないのだろうか?
一層の事、いつも間違ってしまう、自分を吐き出せてしまえれば良いのに……。
「だ、大丈夫ですか?」
突然の声に驚き、顔を上げると、そこには、心配そうな表情で俺の顔を覗き込む、コグモの姿があった。
「な、何でここに……」
俺が突き放して、傷つけたはずなのに……。
「す、すみません……。実は、ルリ様が木から飛び降りる寸前、体に追跡用の糸を付けさせて頂きました……」
申し訳なさそうに呟くコグモ。
しかし、俺が聞きたいのは、そう言う事ではなかった。
何故、自分を傷つけた相手を、わざわざ、こんな所まで追いかけて来てくれたのか。それが聞きたかった。
「ご迷惑かもしれませんが、お話だけでも聞かせて下さいませんか?」
少し苦しそうな笑顔で笑いかけてくるコグモ。
俺を安心させようと、頑張ってくれている様だった。
本当に優しい子くて、強い子だ……。
その強さと、優しさに、俺は甘えてしまいそうになった。
俺は草陰で、一人呟く。
コグモは俺を心配して手を差し伸べてくれたと言うのに、それを……。
でも、あれは反射だった。反射だったんだ。
仕方なかった。仕方なかった事にしたい。
……でも、コグモに触れられた瞬間、確かに思ってしまったんだ。……気色が悪いと。
だって、そうだろ?
家にいるウサギからしたら、そこら辺のウサギを食うと言う事は、頭の良い人間が、頭の悪い、それこそ生まれたばかりの赤ん坊を食うような事だ。
それを、あの優しいコグモが、平然として見ていられる、あの空間が恐ろしかったのだ。
……違う。狂っているのは俺だ。俺が狂っているんだ。
そんなの、弱肉強食のこの世界では当然の事なのに。
人間の社会だって、強い者が弱い者を食い物にしているじゃないか。
この世界との違いは、それが、直接的か、そうでないかの違いだけ。
それこそ、直接手を下して、必要な分だけを得る。
この世界の方が、よっぽど、清く、正しいく、美しいのだ。
間違っているのは俺で、汚れているのも俺だ。
くだらない価値観を捨てられなくて、それが正しいと、今でも心の何処かで思っている。
あの会社に居続ける事が全てだと思っていた、あの頃の自分と同じだ。
学校の友人とそりが合わなくなったあの時と同じ。
母さんと喧嘩して、突き飛ばしてしまったあの時と同じ……。
「ウヴォェッ!!」
胃など言う物はないのに、吐き気がしてきた。
いつも間違っているのは俺だ。
あの会社に居続けなければいけないと言う強迫観念も、
いじめを見て見ぬふりをした自己保身も、
正しいと分かっていた母の言葉を受け入れられなかった、あの時の自分も、
全部全部、今でも、心の何処かで正しいと、仕方が無い思っている。
どうして、こうも言い訳ばかりなのだろうか?
自分が間違っていると、認められないのだろうか?
一層の事、いつも間違ってしまう、自分を吐き出せてしまえれば良いのに……。
「だ、大丈夫ですか?」
突然の声に驚き、顔を上げると、そこには、心配そうな表情で俺の顔を覗き込む、コグモの姿があった。
「な、何でここに……」
俺が突き放して、傷つけたはずなのに……。
「す、すみません……。実は、ルリ様が木から飛び降りる寸前、体に追跡用の糸を付けさせて頂きました……」
申し訳なさそうに呟くコグモ。
しかし、俺が聞きたいのは、そう言う事ではなかった。
何故、自分を傷つけた相手を、わざわざ、こんな所まで追いかけて来てくれたのか。それが聞きたかった。
「ご迷惑かもしれませんが、お話だけでも聞かせて下さいませんか?」
少し苦しそうな笑顔で笑いかけてくるコグモ。
俺を安心させようと、頑張ってくれている様だった。
本当に優しい子くて、強い子だ……。
その強さと、優しさに、俺は甘えてしまいそうになった。
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