113 / 172
帰還
第112話
しおりを挟む
「コグモお姉ちゃん!コトリさん!大ムカデ!ウサちゃん!ゴブリン!パパ!」
外に集まった皆を、楽しそうに指差すリミア。
コトリと、先程、廊下で出会ったコグモ以外の全員が、その様子を見て、目を白黒させている。
「リミアさん。初めから、狂ってるとは思いましたが、とうとう……」
ウサギが、楽しそうにはしゃぐリミアを横目に見つつ、しゃがんで俺に耳打ちしてくる。
「やめろ。やっと子どもらしくなったんだ。これで良いじゃないか。……それと顔が近い」
俺はウサギを髪の糸で押しのけると、ウサギは「うぎゅぅ」と、幸せそうに鳴いた。
マジデキモイ。
「まぁ、ご主人様がそれで良いなら、良いんッスけどね」
姿勢を戻しながら、歯切れの悪い答えを返すウサギ。
まぁ、ドMのウサギからしたら、前の方が良かったのかもしれない。
「良いに決まってるだろ。やっと、甘えてくれるようになったんだから」
俺の言葉に、ウサギは「……そうッスね」と、少し納得いかないご様子。
まぁ、ウサギに納得されなければいけない筋合いなど無いので、別に良いのだが。
「大ムカデ!」
リミアに笑顔で名指しされ「キシッ!」と、鳴いて怯む大ムカデ。
そんな大ムカデに向かって、リミアが走り寄る。
その姿に、大ムカデは怯えつつも、本能から逃げられない。
「スキ!」
大ムカデに抱き着いたリミアが、可愛い声で、そう言った。
事態が把握できず、固まる大ムカデ。
リミアは、そんな大ムカデの胴体に抱き着いたまま「冷たい……」と、気持ち良さそうに頬擦りをしていた。
「キ、キシ……?」
困惑したように、俺達を見回す大ムカデ。
多分、俺ら全員、お前と同じ脳内状況だぞ、大ムカデよ。
「よ、良かったな、大ムカデ。お前なら、俺も安心だ!おめでとう!」
俺は、大ムカデの背中をポン!と、叩く。
「キシキシキシッ!」
勢いよく頭を左右に振る大ムカデ。
「そう言えば、彼女持ち何だっけか。これは修羅場になりそうだな!」
「ハッハッハ!」と、他人事のように笑う俺を、恨めしそうに睨む大ムカデ。
だって、仕方が無いじゃないか。他人事なのだから。
「パパも好き~!」
「うわっと!」
今度は勢い良く俺に抱き着いて来るリミア。
大ムカデが、ざまぁ見ろ、と言いたげな視線で、こちらを見下ろしてきた。
しかし残念だったな大ムカデよ。俺はリミアの父親なのだ。この程度の対応、朝飯前よ!
「そうか、そうか。パパ。嬉しいぞ……」
俺はその場にしゃがみ込むと、笑顔でリミアの頭を撫でつつ、余裕の笑顔で、大ムカデに視線を返した。
「キシッ……」
父親の威厳に、怯む大ムカデ。
どうやら、やっとこいつにも、父親の偉大さが分かったらしい。
「今日は目一杯楽しもうな!」
俺はリミアに視線を戻すと、その小さな体を抱き上げた。
「うん!」
抱え上げられたリミアは、花のような笑顔で返してくる。
そうだよ、俺はこれを望んでいた!
普通の親子!普通の家庭!
それは、俺が夢にまで見た光景だった。
外に集まった皆を、楽しそうに指差すリミア。
コトリと、先程、廊下で出会ったコグモ以外の全員が、その様子を見て、目を白黒させている。
「リミアさん。初めから、狂ってるとは思いましたが、とうとう……」
ウサギが、楽しそうにはしゃぐリミアを横目に見つつ、しゃがんで俺に耳打ちしてくる。
「やめろ。やっと子どもらしくなったんだ。これで良いじゃないか。……それと顔が近い」
俺はウサギを髪の糸で押しのけると、ウサギは「うぎゅぅ」と、幸せそうに鳴いた。
マジデキモイ。
「まぁ、ご主人様がそれで良いなら、良いんッスけどね」
姿勢を戻しながら、歯切れの悪い答えを返すウサギ。
まぁ、ドMのウサギからしたら、前の方が良かったのかもしれない。
「良いに決まってるだろ。やっと、甘えてくれるようになったんだから」
俺の言葉に、ウサギは「……そうッスね」と、少し納得いかないご様子。
まぁ、ウサギに納得されなければいけない筋合いなど無いので、別に良いのだが。
「大ムカデ!」
リミアに笑顔で名指しされ「キシッ!」と、鳴いて怯む大ムカデ。
そんな大ムカデに向かって、リミアが走り寄る。
その姿に、大ムカデは怯えつつも、本能から逃げられない。
「スキ!」
大ムカデに抱き着いたリミアが、可愛い声で、そう言った。
事態が把握できず、固まる大ムカデ。
リミアは、そんな大ムカデの胴体に抱き着いたまま「冷たい……」と、気持ち良さそうに頬擦りをしていた。
「キ、キシ……?」
困惑したように、俺達を見回す大ムカデ。
多分、俺ら全員、お前と同じ脳内状況だぞ、大ムカデよ。
「よ、良かったな、大ムカデ。お前なら、俺も安心だ!おめでとう!」
俺は、大ムカデの背中をポン!と、叩く。
「キシキシキシッ!」
勢いよく頭を左右に振る大ムカデ。
「そう言えば、彼女持ち何だっけか。これは修羅場になりそうだな!」
「ハッハッハ!」と、他人事のように笑う俺を、恨めしそうに睨む大ムカデ。
だって、仕方が無いじゃないか。他人事なのだから。
「パパも好き~!」
「うわっと!」
今度は勢い良く俺に抱き着いて来るリミア。
大ムカデが、ざまぁ見ろ、と言いたげな視線で、こちらを見下ろしてきた。
しかし残念だったな大ムカデよ。俺はリミアの父親なのだ。この程度の対応、朝飯前よ!
「そうか、そうか。パパ。嬉しいぞ……」
俺はその場にしゃがみ込むと、笑顔でリミアの頭を撫でつつ、余裕の笑顔で、大ムカデに視線を返した。
「キシッ……」
父親の威厳に、怯む大ムカデ。
どうやら、やっとこいつにも、父親の偉大さが分かったらしい。
「今日は目一杯楽しもうな!」
俺はリミアに視線を戻すと、その小さな体を抱き上げた。
「うん!」
抱え上げられたリミアは、花のような笑顔で返してくる。
そうだよ、俺はこれを望んでいた!
普通の親子!普通の家庭!
それは、俺が夢にまで見た光景だった。
0
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
元救急医クラリスの異世界診療録 ―今度こそ、自分本位に生き抜きます―
やまだ
ファンタジー
12/9 一章最後に番外編『雨の日のあだ名戦争』アップしました。
⭐︎二章より更新頻度週3(月・水・金曜)です。
朝、昼、夜を超えてまた朝と昼を働いたあの日、救急医高梨は死んでしまった。比喩ではなく、死んだのだ。
次に目覚めたのは、魔法が存在する異世界・パストリア王国。
クラリスという少女として、救急医は“二度目の人生”を始めることになった。
この世界では、一人ひとりに魔法がひとつだけ授けられる。
クラリスが与えられたのは、《消去》の力――なんだそれ。
「今度こそ、過労死しない!」
そう決意したのに、見過ごせない。困っている人がいると、放っておけない。
街の診療所から始まった小さな行動は、やがて王城へ届き、王族までも巻き込む騒動に。
そして、ちょっと推してる王子にまで、なぜか気に入られてしまい……?
命を救う覚悟と、前世からの後悔を胸に――
クラリス、二度目の人生は“自分のために”生き抜きます。
⭐︎第一章お読みいただきありがとうございました。
第二章より週3更新(月水金曜日)となります。
お楽しみいただけるよう頑張ります!
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる