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しおりを挟む「日曜日、9時か・・・・・・」
翌朝。
気だるい土曜日の朝、ベッドの上でゴロゴロしつつ、女神からもらったチケットを見つめる。
LIMEの着信はゼロ。昨晩、ちゃんと家に着きましたLIMEはなかった。
アドレスを交換して以来、毎晩のようにLIMEが来ていたので、なんとなく不安になった。家に帰ったら御両親がオニの形相で待ち構えていて、一晩中怒られてたりとか。
あんなに可愛い娘だ、どれだけ心配してもし足りないだろう。ましてや、過去に色々と心配な事もあったことだし。
ひょっとして、誰か男と一緒だったのか、と拷問にかけられていたりして。
そして、今頃僕の名前が割れ、学校に問い合わせが行き、お父さんは薙刀を持って僕の家に、息の根を止めんと真っ直ぐこちらへ向かっているという可能性も。
次に来るLIMEが『今すぐ逃げて!』だったりして。
下らないことを考えつつ、ゆっくりと起き上がる。
「でもねえ、お母さんとしては、とおっても幸せな気分を味わえたのよ」
今日は仕事なしである母親は朝から、何度もこれを繰り返す。
曰く、彼女居ない歴15年間の息子にようやく春の気配がした、それもとびっきりの美少女が。
美沙ちゃんママとの約束はあるけど、あんなかわいい子なら友情を天秤にかけちゃうわあ。
おいなんだその約束ってのは。聞いてないぞ。まあ、どうせロクでもないことに違いない。
僕はとっとと朝食を腹の中に入れる作業に入る。
「ねえ直樹、姫神さん、今度いつ来るの?今週の日曜、母さん家にいないから、来るなら来週あたりに」
「こねーって。生徒会の用事で来ただけだって言っただろ」
「嘘つかないの。あんたに生徒会が何の用事があるのよ」
んぐ、と納豆をかき込む手を止めた。お茶を飲み干す。
「いや、それは、修学旅行の行き先とか」
「なんで一年生の修学旅行に、二年生の人が関係あるわけ?」
「・・・・・・生徒会としては、ちゃんと把握しておかなければ、とか言ってたし」
「生徒会の人、何人来てたの?うちに」
味噌汁をずずず。
今日はあわせ味噌か。悪くない。
「えーと、男の人が4人、女の人があとふたり」
「コップ、二つしか使われなかったようだけど」
「・・・・・・姫神センパイしか、お茶出さなかったんだ。他の人、途中で飲み物買って来たもんで」
「ふうん。・・・・・・あんたの部屋に落ちてた髪の毛、女性のもの一種類しかなかったけど」
「げほごほっ!」
僕は咽せた。
「勝手に入るな&いつ調べた?って顔ね。あんたが姫神さんを送っていったすぐ後よ。あの後すぐ片付けた、という言い訳は通用しないわ」
・・・・・・忘れていた。
この人は一応国立理系大学の出身で、大手薬剤メーカー研究開発部のチーフ。
愛読書はシャーロック・ホームズ全集。好きな人はシャーロック・ホームズ、尊敬する人はシャーロック・ホームズ。
「あと、玄関の靴跡と土」
「まだあんのかよ!」
「早く全部吐いた方が、楽になるわよ」
「・・・・・・ごめんなさい」
「来たのは姫神さん一人、あってるわね?」
「はい」
「姫神まりささん?」
ぐっ。なぜ名前まで。
「な!なんで・・・・・・」
「あなたの部屋に、ずっとポスター貼ってあったじゃないの」
あう。そうだった。
「とっても可愛らしい二年生の姫神さん、って聞いたら、美沙ちゃんのママが即答でたっぷり教えてくれたわよ。有名人で元アイドルで、歌手だってね」
歌手、は違う。たぶん。いやどうだったか。
「まさか、美沙には」
「伝わってないわ。ちゃんと釘を刺しておいたから」
良かった。夜中に二人きりだったなどと高校全体で噂になれば、半殺しでは済まないかもしれん。
「姫神さん、なぜ泣いていたの?」
バレてたか。そりゃまあ、あの目じゃバレるよな。
「彼女の悩みの問題です。理由は一切口外しない、と約束しました」
「ベッドを使った形跡は一部しかないようだけど?」
「そういう行為には及んでおりません」
「カーペットの足跡からして、最初はテーブル脇の床に座った。次にベッドに移動したが、枕には彼女の髪の毛は付着していない。ということは、ベッドの上に座って見つめあっていた、もしくは抱き合っていた。どう?」
「・・・・・・あんた、本当の職業は何か言ってみろ」
「ダイア化学工業のしがない研究員サラリーマン。それがなにか?」
「捜査一課とかに協力してないか?」
コーヒーをずずっ、と啜る母。いつもながらブラックだ。
「してないわよ。いつ依頼が来るのかしら、と待ってはいるんだけど」
日本の警視庁よ、ちょっとはドラマとかアニメを参考にしろ。たぶん少しは役に立つぞ、この人。
「セックスおよびフェラチオはしていない。なぜならあんたのパンツには昨日_____」
「わーっ!もうやめっ!ごめんなさいっ!許してくださいっ!」
「最初から諦めて、全て吐けば見逃してやるものを。・・・・・・で、次のデートはいつ?」
「に、日曜、です」
「明日じゃない。ちゃんと勝負パンツ決めたの?」
「い、いいえ・・・・・・」
「あんた、率直に言ってデートの経験は?」
「あ、あるよ、まあ」
「美沙ちゃんと出かけたのを除く」
「・・・・・・ありません」
「約束時刻及び行き先の予定」
「東京ビッグサイト、午前9時に駅で待ち合わせ」
「掛かる時間と電車の料金、昼食の予定を述べよ」
「・・・・・・わかりません」
「今すぐググってこい、この甲斐性なし。デートの主目的は?」
「モンバ・・・・・・ゲームのイベントに」
「ふむ・・・・・・色気ないわね。まあ、それについてはいいわ。・・・・・・東京か。あとでお金、渡してあげるから」
「ありがとうございます、母上様」
結局、その日は一日中、女神からの連絡はなかった。
時折思い出したようにモンバスにログインしてみたが、JJのログイン状況はいつもオフライン。
フレの中には同じく、明日フェスタに出るぞ~という人もいて、それなりに盛り上がっているらしい。
みんな上手いんだろうな、でも、普段から一緒にSkypeプレイしている自分とJJも、連携度はかなり高いはず。そう思うしかなかった。
明日は決戦の日、日曜日。
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