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しおりを挟む「さあ、挑戦者は背の高い、ひょろっとしてるようで結構がっしり系のお兄さん。その鋭い眼差しで、見事本日最初のパーフェクトを勝ち取るか!ペインターボールは合計7発、見事命中するでしょうか!」
あまりちゃんとした説明なく、ゲームが開始される。手元には7個のペインターボール、やや遠くの方にはストラックアウトっぽい、動く画面に何匹かのモンスター。
「せいっ!せいっ!せいっ!!」
「おお、すごい!お兄さん、次々と的に命中していきます!シャインゲリア、ヴィヴィ、ウリルー。そして、リールドロップ!おおっと、ここで5発目も命中!すごい!さて、あと2発です!」
なんとなく適当に投げているが、案外と当たる。一応中学校の頃は野球部兼ねてたし。
「グラスアルゴスにも命中!これはひょっとして・・・・・・最後の難関、水龍ルーディア来たあ!水中だけにこれは強敵だが・・・・・・当たった!当たりました!見事、パーフェクト達成!」
「やったあ!かのんくん、すごーい!」
観客の歓声と共に、女神からの祝福までいただく。ご褒美のハグつきで。残念ながらキッスは頂けなかったが。
「素晴らしい!みなさーん、パーフェクトの方が出ましたよ!無理ゲーじゃない、そう無理ゲーじゃないことを見事証明してくれました!さあお兄さん、本日最初の栄冠と言うことで、どうぞお立ち台へ!」
「え、えーと」
「はい、まずはお名前と年齢を」
「えっと、かのん、高校生です」
「かのんさん、見事でした。こういうの、お得意ですか?」
「いや、偶然です」
「謙遜もお見事です。もしかして、野球部とかでしょうか?さてはどこかのエースピッチャー!?」
「いえ、剣道部です」
「全然ボール投げに関係ないじゃないですか!さては、夜のボール投げがお得意とか?」
お兄さんの下ネタマイクパフォーマンスに、観客が笑う。
「いえ、そっちも全然で」
「またまたご謙遜を!それにしても、とっても可愛い彼女さんをお連れですよね!いやーうらやましい!」
「いや、彼女とかじゃなくて」
「おや、違うんですか?もしかして、今日これから告白?だったら、このマイクで一発ここでコクっちゃおう!」
「いやあの、その」
「おおっと、モンスターへのペインターボールは得意でも、女の子のマーキングは不得意でしたかぁっ?」
なんかノリノリになっているメガネお兄さん。なんか注目されていて、頭がうまく回らない。
女神はといえば、こちらはなんだかとっても嬉しそうに下から見上げてくれている。
「じゃあ、今はお友だち、ということですね?」
「いや、えーっと、その」
「友達でも彼女でもなく?」
「バスター仲間、です」
「素晴らしい!みなさん、こちらの超可愛い彼女さんもバスターだそうですよ!モンバス村にはまだ美少女が一杯!いやー、そう思えば、課金も全然、苦になりませんよねー!」
ここでまた笑いが。
「さて、見事パーフェクトのカノンさんには、彼女さんに負けないくらいの可愛いナイルーぬいぐるみをプレゼントです!これで彼女のハートもシビレ罠にかかったリュックック同然!さあ、あとは捕獲玉を投げるだけですよね!お見事でした!さて、次の挑戦者は~」
やっとのことでお立ち台から解放され、スタッフの女性からぬいぐるみを受け取る。意外と大きくてかさばる感じだ。
「やったあ!かのんくんすごい!超かっこいい!」
「いやまあ、本当に偶然ですし」
「それでもすごいよ!もう、今なら大リーガーにだってなれちゃう感じ!」
「剣道部ですし」
はは、と笑う。まあ、楽しんでもらえたなら。
「では、どうぞ」
女神に手渡す。
「ええっ、いいの?せっかくのおみやげだよ?」
「あの殺風景な部屋に飾れ、と?」
男の部屋に、ビニールのまま埃をかぶったナイルーいっぴき。
「うう・・・・・・似合わない・・・・・・」
「アフオクかな、それともデルカリ・・・・・・」
「ダメダメ!そんなの、もったいないよ!」
「というわけで、どうぞ」
「じゃあ・・・・・・ありがとうかのんくん。もう永久保存、一生大事にしちゃうよ!」
「本当ですか?50年後に会いに行きますよ?あの時のナイルーぬいぐるみはどこだぁーって」
「うんうん!来て来て!絶対にちゃんと置いといて見せちゃうから!」
よく分からない漫才をかましたまま、他のブースをうろつく。大会予選は11時からなので、もう少し余裕がある。
「カノジョ、かあ・・・・・・」
女神は先程のMCに、ちょっと影響を受けたみたいだ。
「学校の奴らがいたら発狂しますよ。いや、もしかして実際誰かいるかも。月曜日には磔にされますね、僕」
ノリで軽口を叩く。
が、なんとなく反応の薄い女神。
「ねえ、かのんくん、あんなこと言っちゃって、私といるの嫌にならない?」
「全然。とても楽しいです」
「なんか、一日考え込んじゃった。言わなかったほうが良かったのかなあとか、正直重くてヤな女だなあとかって」
立ち止まった僕は、一歩前に進んでしまった女神の背中を見つめる。
しっかりしているようで細い、華奢な背中を。
「僕、なんも気にしてないですよ。本当に」
「うん、そう言ってくれると思った、かのんくんなら。でもさ、やっぱり・・・・・・」
あれれ?一晩前の女神に戻っちゃったか?
「って、くよくよすんなよっ!」
女神は自分でツッコミを入れ、ぱし、と両頬を叩く。
「さあ、鬱陶しい女はここでおしまい!そろそろ予選の開始、かな?」
「まだもうちょっとありますよ。あれだったら」
まだ早いかな。でも、女性は混むからなあ。
「あと20分くらいありますが、トイレとか済ませておきますか?」
「かのんくん、本当に彼女いない?そういう気遣いとか、初デートの男のコには絶対無理だと思うんだけど」
「脳内デートなら、もう何回も済ませてますんで」
「あはは。嘘っぽーい」
本当は美沙の影響ですごめんなさい。
「女性はあちらですね。37番ブースのあたりで遊んでますんで」
「うん、じゃあ、また後で」
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