ふたりでゲーム

るふぃーあ

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「それでは、予選を始めます!予選に参加される方は、正面モニター両脇にお集まりください。繰り返します、今から予選を・・・・・・」

大型モニターには、11時から予選が始まります、と大きな字で表示されている。その両脇にはそれなりに大きな液晶テレビが据え付けられていて、ゲーム機が2台置かれている。
予選のルールは先程説明を受けた。予選は2段階、二人一組でモンスターを討伐する。最初はガルーダゴルドス、次が水龍ルーディア。

「いよいよ、だね・・・・・・」

女神の顔色はやや冴えない。緊張しているんだろうか。

「ええ。武器はガルーダが片手剣、ハンマー、大剣、ボウガンみたいですね。2戦して10分以内の討伐ができればルーディアに行けるようです。ルーディアが片手剣、太刀、ランス、ボウガン。ルーディアをクリア出来たら本予選に行ける、と」

ちなみに本予選はトーナメント方式で、対戦チームとの討伐時間を競いながら勝ち上がっていく。
最終予選、北海道、東北、中部、関西、九州予選の覇者と対決できるのは、この中でたったの2チームだ。

「がんばろうね。・・・・・・かのんくんは武器、どうする?」
「ガルーダは片手とハンマーの組み合わせがいいでしょうね。センパイが」
「ここではJJだよ」
「はい。JJはハンマーですよね?」
「うん、どっちかって言うと、片手剣とハンマーならハンマーかな」
「じゃあ、僕は片手剣で。ルーディアはJJが太刀、ですか?」
「うん。でないと倒せない」
「するとランスはかみ合わないから、片手か太刀、でしょうか。うーん、サポガンでもいけそうですが」
「かのんくんの邪魔しないようにしないとね」
「もう、積極攻撃あるのみです。10分以内のクリアは結構厳しい条件ですから。・・・・・・と言いたいところですが、とにかく被弾すると時間がかかりますんで、なるべくうまくかわしつつ、というところでしょうか」
「はい、了解しました教官どの」
「では、いざ参りましょう、JJ」
「よろしくお願いします!」


「はい、ではえーっと、次のチームの方~。お名前を」
「J&Cチーム、です」
「えーと、J&Cさん、と・・・・・・・。はいはいありました。準備はいいですか?どちらもクラコン、でしたね?」
「はい」
「では、2回勝負で見事、ガルーダゴルドスを討伐して下さい。各武器の選択およびアイテムの確認時間は90秒です」
「はい」
「では、武器選択画面に移って下さい」

テレビの前は小さな囲いがあって、そこに椅子が二脚並んでいた。
しかし囲いは小さくて、すぐ背後から観客がのぞき込んでいる形だ。主催者側も、これは承知の上なのだろう。だがなんだか落ち着かない。

いざ椅子に座ると、後ろのギャラリーの声もあいまって緊張してきた。コントローラは変にべとついていて、触りごこちが悪い。
ふと隣を見ると、ベレー帽の下には真っ白に緊張した顔。

「JJ、大丈夫ですよ。普段どおりやれば、なんてことありません」
「は、はい。うん、大丈夫」

カチャカチャと画面を確認し、アイテムも確認。念のため、横目でJJの装備とスキル、アイテムも確認する。

「選びましたか?では・・・・・・スタート!」

さあ、戦いはここからだ。



「うう、ごめんなさい、かのんくん・・・・・・本当に」
「気にしなくていいです。ああいうのって運もありますから」
「優勝とか言っといて・・・・・・かのんくん、別の人と出てたら優勝かもしれないのに」
「JJと出たいんですよ」
「ううう・・・・・・もう、あたしだめだ・・・・・・」

1戦目、開始早々に回復薬を飲みだすJJ。観客から失笑が漏れる。
おいおい、まだダメージゼロだろ。
本当は強走薬を選択すべきなのに、明らかなアイテムの選択ミス。

慌てて闘技場に飛び出すJJ。遮二無二突撃して行き、ガルーダの突進にまともに吹っ飛ばされる。背後の観客から、また失笑の声。
2回目の突進にまた吹っ飛ばされ、あえなく死亡。スタート地点に戻されてしまう。二人で合計4回まで死んでも大丈夫なので、すぐこれで終了ではない。

が、その後もJJは本来の動きではなく、何もない場所にハンマーを振り下ろしたり、攻撃中のCanonを吹っ飛ばしたり、まるで初心者の動きだった。討伐時間、28分。とてもクリアタイムの10分には程遠い。

某ゲームのスライムよりも青くなった女神は、2戦目を前に固まってしまっていた。緊張しすぎているんだろうか。
そういえば、トイレに行く前、ちょっとおかしかったからな・・・・・・

「JJさん」

そっと手に触れる。

「もう一度最初からできますよ。これ、2戦して1回でも10分出ればいいんですから」
「う、うん」
「開始時のドリンクはいいんで、開始後即溜め始めて、ガルーダの左側、向かって右に動いて下さい。あとは突撃を避けて、尻尾回転も避けて。スタンったら縦3、のいつもの流れでいいです。落とし穴に落ちたら爆弾を。いいですね?」
「は、はい」
「じゃあ、次行きましょう。大丈夫、落ち着いて」
『準備はいいですか?ではJ&Cチームの2戦目、スタートです!』

マイクのお兄さんが大きな声を出した。


「2戦目で突破できたんですから、いいじゃないですか。結果オーライです」
「でもでも、9分ギリギリだったよ?」
「次に進めればそれでいいんですから。何も問題なしです」
「でも、でもでも、次はルーディアなんだよ?しかも水中限定だし・・・・・・」

半ばベソをかく女神。
そう、彼女は元々水中戦が苦手なのだ。

「今度は自分、ボウガンで行きます。さっきちょっと見たら、火炎弾も麻痺弾もあるようだったし、サポガンでもダメガンでも、どっちでもいけそうなんで」
「うん・・・・・・わたし、もう何もしないほうがいいかも・・・・・・」
「それじゃ、さすがに討伐できませんよ。一人では」
「でもさ・・・・・・でも・・・・・・」

しおしお、とうつむく。
らしくない。

「いつもの、強気の生徒会副会長はどこへ行ったんです?美術部の備品を勝手に捨てた教師を吊し上げに職員室へ乗り込んだり、ワンゲル部の部室を倉庫にしてた野球部に怒鳴り込んだり、合同練習っていいながら水泳部乗っ取ったS高の校長に話つけに行ったり、就任後たった3ヶ月で無敵の生徒会副会長、と呼ばれたのはセンパイじゃないですか」
「ううう・・・・・・でも今は、かのんくんに迷惑をかけたくない、一人のJJなの・・・・・・」
「迷惑なんて思ってません。ここに来れたのもJJのお陰なんですから、楽しんでやりましょうよ。別に勝てなくてもいいじゃないですか」

僕は、誰もがなし得なかった最強の女神とデートしているんだ。もうこれだけで、今日は勝ったも同然だ。
だからあとは勝ち負けじゃなく、楽しんで欲しいな。

「うん・・・・・・分かってる、んだけど、うん・・・・・・」
『では、二次予選を開始しまーす!一時予選を勝ち抜いたチームは、もう一度正面モニターの脇にお戻りくださーい!』

マイクの音が響く。

「さあ、いつも通り、のつもりで行きましょう」
「そうだね・・・・・・がんばろ!」

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