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<入院3日目>
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<入院3日目>
翌日、夕方の検温が終わると、食事が運ばれてきた。
手を付けずに待っていると、ノックがしてそっと高梨さんが入ってきた。
「こんばんわ」
今日は私服だ。いつものナース服もいいが、白いブラウスにジーパンも良く似合う。
ここは特別室なので鍵がかかる。高梨さんはそっと鍵を閉めた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、楽しみに待ってました」
「お口に合うといいんですけど」
タッパーを開け、手作りのチキン揚げとタルタルソースがたっぷりと出てきた。
いいなあ。やはりチキン南蛮はタルタルソースがたっぷりでないとね。
「あーん、します?」
「じ、自分で食べられますから」
言ってからしてもらえれば良かった、と後悔したが、時既に遅し。
フォークを使って口に運んだ。
「うめぇ」
「本当ですか?良かったです」
「マジ美味いですよこれ。ビネガー多めです?」
「よく分かりますね。お母さんに教えてもらったんです」
「めっちゃ美味しいです。もう1個、いいですか?」
「全部どうぞ」
たちまちのうちに平らげてしまった。
うむ。お腹も大満足だ。
「いやあ、旨かったです。高梨さん、可愛いし美人だし、スタイルいいし料理も上手って最高ですね」
「えーっ、そんな褒めてもらっても、何も出ませんよ?」
「辻村の奴、こんな美味しいのをいつも食べさせてもらってるのかな。ますます羨ましいです」
「えっ、うーん・・・・・・それは」
先程まで満面の笑顔だった高梨さんの顔が陰った。
「亮くん、あんまり揚げ物は好きじゃないって、それに、こんなにたくさん作られても食べられないだろって」
「はあ?」
「チキン南蛮って知らなかったらしくて、作ってあげたんですけど、ふつーの唐揚げでいいじゃん、って。タルタルソースもかけなくって」
「もったいないな」
「でも」
高梨さんはまた笑顔になった。
「宮田さんの食べ方って、すごく見てて元気になりました!こんなに作って迷惑かなって心配したけど、いっぱい食べてもらうのって、見てて嬉しいです」
「いやいや。毎日食べたいですよ」
「また今度も作ってきていいですか?」
「ぜひお願いします。できれば高梨さんと一緒に食べたいです」
「じゃ、もっと作ってきます!・・・・・・あ、でも」
高梨さんは俺の耳元に顔を寄せてきた。
どき、と胸が高鳴る。
「このことは内緒にしておいてくださいね。わたし新人だし、勝手なことしてて師長さんに見つかったら怒られますから」
「ええ。絶対秘密にします」
「亮くんにも言わないで下さいね。ふたりだけの秘密ですよ」
綺麗な人差し指を口に当ててそう言うと、高梨さんはお茶を差し出して帰っていった。
翌日、夕方の検温が終わると、食事が運ばれてきた。
手を付けずに待っていると、ノックがしてそっと高梨さんが入ってきた。
「こんばんわ」
今日は私服だ。いつものナース服もいいが、白いブラウスにジーパンも良く似合う。
ここは特別室なので鍵がかかる。高梨さんはそっと鍵を閉めた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、楽しみに待ってました」
「お口に合うといいんですけど」
タッパーを開け、手作りのチキン揚げとタルタルソースがたっぷりと出てきた。
いいなあ。やはりチキン南蛮はタルタルソースがたっぷりでないとね。
「あーん、します?」
「じ、自分で食べられますから」
言ってからしてもらえれば良かった、と後悔したが、時既に遅し。
フォークを使って口に運んだ。
「うめぇ」
「本当ですか?良かったです」
「マジ美味いですよこれ。ビネガー多めです?」
「よく分かりますね。お母さんに教えてもらったんです」
「めっちゃ美味しいです。もう1個、いいですか?」
「全部どうぞ」
たちまちのうちに平らげてしまった。
うむ。お腹も大満足だ。
「いやあ、旨かったです。高梨さん、可愛いし美人だし、スタイルいいし料理も上手って最高ですね」
「えーっ、そんな褒めてもらっても、何も出ませんよ?」
「辻村の奴、こんな美味しいのをいつも食べさせてもらってるのかな。ますます羨ましいです」
「えっ、うーん・・・・・・それは」
先程まで満面の笑顔だった高梨さんの顔が陰った。
「亮くん、あんまり揚げ物は好きじゃないって、それに、こんなにたくさん作られても食べられないだろって」
「はあ?」
「チキン南蛮って知らなかったらしくて、作ってあげたんですけど、ふつーの唐揚げでいいじゃん、って。タルタルソースもかけなくって」
「もったいないな」
「でも」
高梨さんはまた笑顔になった。
「宮田さんの食べ方って、すごく見てて元気になりました!こんなに作って迷惑かなって心配したけど、いっぱい食べてもらうのって、見てて嬉しいです」
「いやいや。毎日食べたいですよ」
「また今度も作ってきていいですか?」
「ぜひお願いします。できれば高梨さんと一緒に食べたいです」
「じゃ、もっと作ってきます!・・・・・・あ、でも」
高梨さんは俺の耳元に顔を寄せてきた。
どき、と胸が高鳴る。
「このことは内緒にしておいてくださいね。わたし新人だし、勝手なことしてて師長さんに見つかったら怒られますから」
「ええ。絶対秘密にします」
「亮くんにも言わないで下さいね。ふたりだけの秘密ですよ」
綺麗な人差し指を口に当ててそう言うと、高梨さんはお茶を差し出して帰っていった。
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