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番外編 バトル・ロワイヤル1
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ある日のこと。
クラスの男子全員に、能力のことがバレた。
水曜3限目、体育後の男子更衣室。
「なあからすま、俺たちトモダチだよな?」
「いや、別に」
「なんでだよおおお!俺たちも、夢の世界へ連れてってくれよおおおお!」
「ああああ!俺たちもやりてぇええええ!真行寺と、井野口と、森下と、雨屋も乗宮も木津川も本織も、とにかく全員とやりてええええ!」
「いや、こはるはだめだし」
がし、と俺の両腕が掴まれた。
触んな。暑苦しい。
「強制執行を開始する。意義のある者は?」
「異議なし」
「賛成」
「賛成だ」
「さんせーい」
「民主主義的結論により、執行を開始する。諸君、準備せよ」
「「「アイサー!」」」
「な、なにをする、きさまらー」
俺の耳に、イヤホンが押し込まれた。
耳元から、恐るべき眠りの呪文が響いてくる。
こいつら、俺を強制的に眠らせて____
「ま、待て!俺だけを眠らせても、この能力は発動しな」
「ふふふ。すでに調べはついているんだよからすまくん」
俺の胸ポケットに写真を押し込んできた。
これは・・・・・・クラス写真!?
まさか。
「本来、この次、水曜4限目は数学II、眠ることは許されない」
「だったら」
「知らないのかねからすま?今日、数IIの先生は流感にかかってお休みなのだよ。そして、代わりの授業は、そう_____」
ニタ、とそいつが笑う。
「古文、なのだ」
な、なんだって。
そんな。
耳元から流れる魔力に、俺は徐々に意識を無くしていった。
教室へと連行され、席に座らされ。
「あれ、からすまくん、どしたの?」
「なんか体調悪いってさ」
朦朧とした状態で、女子の声が聞こえる。
だめだ。だめだ。
ここにはこはるも、乗宮もいる。だめだ。
授業が始まる。
必死にイヤホンを外す。
その耳に、直に古文の教師の声が流れ込む。
録音よりも、強烈な魔術。
俺にはもう、抗うことはできなかった。
見渡す限りの、緑の草原。
柔らかな草が一面を覆っていた。
「おおおおおおお」
奴らがどよめく。
「こ、これが、からすまの能力」
「すげぇ」
全員が、あちこちを見回していた。
「だけどさ」
ひとりが言う。
「なんで俺たち、全裸なんだ???」
そう。
俺の視界に映るクラス全員の男子共(病欠のみつるを除く)は、見たくもない生まれたての部分を全面的に晒していた。
安心して下さい。全員、履いてませんよ。
「なんでお前だけ制服なんだよからすま」
「知るかよ」
なんとなくは分かっている。
性欲剥き出しでここに来た野郎共は、つまり色々と剥き出しってことだ。サルだな。
「で、なんで野郎しかいないんだ?からすま」
「だから、俺が知るかよ」
見渡す限り、全裸の男子しかいない。てか見せんな。
何かの間違いで、男だけで夢の世界に来てしまったんだろうか。悪夢だ。
と、誰かが指さした。
「あそこ、誰かいるみたいだぞ」
「本当か?女子か?」
「さあ」
全員がそっちを見た。
確かに、草原を歩く人影があった。
全員がぞろぞろと、そっちへ向かって歩く。
俺もなんとなく、一緒に歩いた。
あ、と先頭の奴が声を上げる。
「女子だ」
「女だ!」
「いやったああああ!」
「ひゃっっほおおおおおおう!」
全員が駆け出す。
そこには、制服姿のクラスの女子が3人いた。バスケ部の子がひとり、あとはテニス部と吹奏楽部の。
「き、きゃあああああああ!」
大量の裸サルがダッシュしてくるのを見て、女子たちが恐怖に叫んだ。
サルの群れが3人へと襲いかかる。
「な、なにすんの?みんな」
「やめて!やめてよお!」
「きゃあああああ!いやあああああああ!」
多数の手が、女子たちを地面へと押し倒し。
手に手に制服を破り裂き、素肌へと手を伸ばした。
「お、俺が先だぞ!」
「なんでだよ、俺が」
「いいから早くやれ、あとがつっかえてんぞ」
女子たちは必死に抗うが、多勢に無勢。
ひとりを5人以上で押さえ込まれ、両腕を拘束され、脚を広げられ。
脚の間に、ケダモノたちが割って入る。
「いや、やめて、やめて、お願い」
「ごめん、悪い、けど、がまんできねえ」
先端が、女子たちの中へと潜り込みそうになった、その時。
誰かが、空を指さした。
「・・・・・・あれは何だ?」
俺も空を見上げた。
そこに、何かが飛んでいた。
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「いや、あれは_____」
俺には、見覚えがあった。
簡素だがファンタジックな魔法少女の服。細く美しい素足がまたがった、柄の長い箒。
あれは・・・・・・木津川だ。
「き、木津川だ!」
「やりてえ!俺、木津川とやりてえよ!」
「きづがわー!降りてこいよー!」
と、頭上を飛ぶ木津川の箒から、何かが落下した。
黒い影が、こちらへ向かって落ちてくる。
あれは______
「全員、逃げろォ!」
俺が叫ぶのと。
必殺技の声が、ほぼ同時だった。
「スカイドライブ・ハリケーン・アターーーーーーーック!」
ドゴオオオオオオオン。
派手な音を立てて、黒い物体が大地を揺るがした。
女子たちに群がっていた男子どもが、まとめて吹っ飛ぶ。
土煙の中、ゆらり、と槍を持つ短髪の少女が立ち上がった。
怒りに燃えた瞳で、全員を睨みつける。
正体を知って、男子たちがじり、と一歩後ろへ下がった。
「げえっ、の、のりみや」
「・・・・・・てめぇら、一体何してやがる」
手にした槍を、ぶううううん、と頭上で回旋させる。
乗宮が走った。
男子が4名ほど、空中を吹き飛ばされて頭から地面に突き刺さった。
「の、乗宮さん!」
「あこ!助けに来てくれたの!?」
「ありがとー!」
まさに暴行を受けようとしていた、衣服を無惨に裂かれていた女子3人が、乗宮のところに集まった。
「やべえ、乗宮だ」
「槍とか持ってるぞ」
「つ、つよそう」
男子の中には、怯む声もあった。
が、股間がいきりたった20名もの男子たちは、こんなことで止まりはしない。
「落ち着け、相手は一人だ」
「むしろ好都合だぜ。乗宮もやっちまおうぜ!」
「おう!やっちまえ!俺、乗宮ともやってみたかったんだよな!」
「お、俺も俺も!」
包囲されて、じり、と今度は乗宮が一歩下がる。
これは、いくら乗宮でも不利か。
だが。
ひゅん!
一本の矢が飛来して、たまたま先頭にいた男子のタマタマを撃ち貫いた。
ひあああああ、と悲鳴にならない悲鳴を上げてそいつが転げ回る。
「乗宮さんだけに、戦わせたりしませんわ。あなた方、恥を知りなさい!」
しゅいん。
ひとりの男子生徒が、日本刀に斬り裂かれてどう、と倒れる。
煌めく白刃に、サルどもは息を呑む。
その美しく、勇ましい武者姿にも。
「し、真行寺だ」
「かっこええ、かわええ、色っぺえ、あと胸でけえ」
「あ、あいつもやっちまえ!おまえら、真行寺と、やりたくねぇのかあああああ!」
「やりてええええええ!」
ドドドドドド。
一斉に飛びかかる。
乗宮と真行寺が、背中合わせになって槍と白刃を振るう。
しかし、多勢に無勢、徐々に押され始める。
ひとりが、真行寺の腕を掴んだ。
「くっ」
端正な顔が歪む。
「あともう少しだ」
「やった、ついに、ついに俺たちも______」
が。
「みんな、何してるのかな?」
クラスの男子全員に、能力のことがバレた。
水曜3限目、体育後の男子更衣室。
「なあからすま、俺たちトモダチだよな?」
「いや、別に」
「なんでだよおおお!俺たちも、夢の世界へ連れてってくれよおおおお!」
「ああああ!俺たちもやりてぇええええ!真行寺と、井野口と、森下と、雨屋も乗宮も木津川も本織も、とにかく全員とやりてええええ!」
「いや、こはるはだめだし」
がし、と俺の両腕が掴まれた。
触んな。暑苦しい。
「強制執行を開始する。意義のある者は?」
「異議なし」
「賛成」
「賛成だ」
「さんせーい」
「民主主義的結論により、執行を開始する。諸君、準備せよ」
「「「アイサー!」」」
「な、なにをする、きさまらー」
俺の耳に、イヤホンが押し込まれた。
耳元から、恐るべき眠りの呪文が響いてくる。
こいつら、俺を強制的に眠らせて____
「ま、待て!俺だけを眠らせても、この能力は発動しな」
「ふふふ。すでに調べはついているんだよからすまくん」
俺の胸ポケットに写真を押し込んできた。
これは・・・・・・クラス写真!?
まさか。
「本来、この次、水曜4限目は数学II、眠ることは許されない」
「だったら」
「知らないのかねからすま?今日、数IIの先生は流感にかかってお休みなのだよ。そして、代わりの授業は、そう_____」
ニタ、とそいつが笑う。
「古文、なのだ」
な、なんだって。
そんな。
耳元から流れる魔力に、俺は徐々に意識を無くしていった。
教室へと連行され、席に座らされ。
「あれ、からすまくん、どしたの?」
「なんか体調悪いってさ」
朦朧とした状態で、女子の声が聞こえる。
だめだ。だめだ。
ここにはこはるも、乗宮もいる。だめだ。
授業が始まる。
必死にイヤホンを外す。
その耳に、直に古文の教師の声が流れ込む。
録音よりも、強烈な魔術。
俺にはもう、抗うことはできなかった。
見渡す限りの、緑の草原。
柔らかな草が一面を覆っていた。
「おおおおおおお」
奴らがどよめく。
「こ、これが、からすまの能力」
「すげぇ」
全員が、あちこちを見回していた。
「だけどさ」
ひとりが言う。
「なんで俺たち、全裸なんだ???」
そう。
俺の視界に映るクラス全員の男子共(病欠のみつるを除く)は、見たくもない生まれたての部分を全面的に晒していた。
安心して下さい。全員、履いてませんよ。
「なんでお前だけ制服なんだよからすま」
「知るかよ」
なんとなくは分かっている。
性欲剥き出しでここに来た野郎共は、つまり色々と剥き出しってことだ。サルだな。
「で、なんで野郎しかいないんだ?からすま」
「だから、俺が知るかよ」
見渡す限り、全裸の男子しかいない。てか見せんな。
何かの間違いで、男だけで夢の世界に来てしまったんだろうか。悪夢だ。
と、誰かが指さした。
「あそこ、誰かいるみたいだぞ」
「本当か?女子か?」
「さあ」
全員がそっちを見た。
確かに、草原を歩く人影があった。
全員がぞろぞろと、そっちへ向かって歩く。
俺もなんとなく、一緒に歩いた。
あ、と先頭の奴が声を上げる。
「女子だ」
「女だ!」
「いやったああああ!」
「ひゃっっほおおおおおおう!」
全員が駆け出す。
そこには、制服姿のクラスの女子が3人いた。バスケ部の子がひとり、あとはテニス部と吹奏楽部の。
「き、きゃあああああああ!」
大量の裸サルがダッシュしてくるのを見て、女子たちが恐怖に叫んだ。
サルの群れが3人へと襲いかかる。
「な、なにすんの?みんな」
「やめて!やめてよお!」
「きゃあああああ!いやあああああああ!」
多数の手が、女子たちを地面へと押し倒し。
手に手に制服を破り裂き、素肌へと手を伸ばした。
「お、俺が先だぞ!」
「なんでだよ、俺が」
「いいから早くやれ、あとがつっかえてんぞ」
女子たちは必死に抗うが、多勢に無勢。
ひとりを5人以上で押さえ込まれ、両腕を拘束され、脚を広げられ。
脚の間に、ケダモノたちが割って入る。
「いや、やめて、やめて、お願い」
「ごめん、悪い、けど、がまんできねえ」
先端が、女子たちの中へと潜り込みそうになった、その時。
誰かが、空を指さした。
「・・・・・・あれは何だ?」
俺も空を見上げた。
そこに、何かが飛んでいた。
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「いや、あれは_____」
俺には、見覚えがあった。
簡素だがファンタジックな魔法少女の服。細く美しい素足がまたがった、柄の長い箒。
あれは・・・・・・木津川だ。
「き、木津川だ!」
「やりてえ!俺、木津川とやりてえよ!」
「きづがわー!降りてこいよー!」
と、頭上を飛ぶ木津川の箒から、何かが落下した。
黒い影が、こちらへ向かって落ちてくる。
あれは______
「全員、逃げろォ!」
俺が叫ぶのと。
必殺技の声が、ほぼ同時だった。
「スカイドライブ・ハリケーン・アターーーーーーーック!」
ドゴオオオオオオオン。
派手な音を立てて、黒い物体が大地を揺るがした。
女子たちに群がっていた男子どもが、まとめて吹っ飛ぶ。
土煙の中、ゆらり、と槍を持つ短髪の少女が立ち上がった。
怒りに燃えた瞳で、全員を睨みつける。
正体を知って、男子たちがじり、と一歩後ろへ下がった。
「げえっ、の、のりみや」
「・・・・・・てめぇら、一体何してやがる」
手にした槍を、ぶううううん、と頭上で回旋させる。
乗宮が走った。
男子が4名ほど、空中を吹き飛ばされて頭から地面に突き刺さった。
「の、乗宮さん!」
「あこ!助けに来てくれたの!?」
「ありがとー!」
まさに暴行を受けようとしていた、衣服を無惨に裂かれていた女子3人が、乗宮のところに集まった。
「やべえ、乗宮だ」
「槍とか持ってるぞ」
「つ、つよそう」
男子の中には、怯む声もあった。
が、股間がいきりたった20名もの男子たちは、こんなことで止まりはしない。
「落ち着け、相手は一人だ」
「むしろ好都合だぜ。乗宮もやっちまおうぜ!」
「おう!やっちまえ!俺、乗宮ともやってみたかったんだよな!」
「お、俺も俺も!」
包囲されて、じり、と今度は乗宮が一歩下がる。
これは、いくら乗宮でも不利か。
だが。
ひゅん!
一本の矢が飛来して、たまたま先頭にいた男子のタマタマを撃ち貫いた。
ひあああああ、と悲鳴にならない悲鳴を上げてそいつが転げ回る。
「乗宮さんだけに、戦わせたりしませんわ。あなた方、恥を知りなさい!」
しゅいん。
ひとりの男子生徒が、日本刀に斬り裂かれてどう、と倒れる。
煌めく白刃に、サルどもは息を呑む。
その美しく、勇ましい武者姿にも。
「し、真行寺だ」
「かっこええ、かわええ、色っぺえ、あと胸でけえ」
「あ、あいつもやっちまえ!おまえら、真行寺と、やりたくねぇのかあああああ!」
「やりてええええええ!」
ドドドドドド。
一斉に飛びかかる。
乗宮と真行寺が、背中合わせになって槍と白刃を振るう。
しかし、多勢に無勢、徐々に押され始める。
ひとりが、真行寺の腕を掴んだ。
「くっ」
端正な顔が歪む。
「あともう少しだ」
「やった、ついに、ついに俺たちも______」
が。
「みんな、何してるのかな?」
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