伯爵令嬢の懐刀 ~私の覚悟は何だったんでしょうか、殿下~

aihara

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7:いろいろ解決。

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「キャシー嬢から声を掛けてもらえるのは嬉しいね。
 ご家族から手紙が来たらしいが、どうだった?」
 陛下に謁見を申し込むと、すぐさま執務室に呼ばれ、陛下は楽しそうに私が座るソファーの向かいに腰掛けた。
「はい、バッキローニ家としては、陛下からのご提案については、私の判断に任せるとしてくださいました」
 いや、「なるほど、では本腰を入れて口説きにかかろう」じゃないんですよ陛下。
 私は咳払いして続ける。
「で、考えたのですが、そもそもバッキローニ家は子爵家ですので、陛下の婚約相手として、問題があるのではないかと思いまして…」
「なんだ、そんなことを悩んでいたのか。
 それは問題ない、バッキローニ家はここ数年で観光資源だけだった湖を、川魚の水産資源として使い、財政が好調にしたという実績があるから、元々伯爵に陞爵することも考えられていたから、そうなればバッキローニ家は伯爵家、家格は問題ない。
 君が気にするなら、信頼できる公爵に頼んで養子にもできるが、君としてはあくまでバッキローニ家の利が必要だろう?」
 先を読まれた感じだが、それは願ってもない。
 お世話になった義伯父様、伯母様、レイにも恩返しできる。
 とするとあとは、私の気持ちしだいか…
「陛下」
 私の中で最大の懸念が解決したので、意を決してソファーから立ち上がる。
 
「私はアガリスタで一度婚約を解消した魅力に欠けた女と言わざるを得ません。
 それこそ容姿の面では、絶世の美女であるあなた様の妹の白雪姫君には及ぶべくもないでしょう。
 しかし、実務の面ではアガリスタで教育された知識をもとにお役に立てる自信はあります。
 ぜひ、あなたのお隣である王妃の座、お任せいただけますでしょうか」
 
 そして深々と頭を下げた。
 私とて考えていたのだ。
 アガリスタの王太子バカには興味すら持ってもらえず、しかも目の前に現れた白雪姫という絶世の美女を前に、そこそこ美人くらいの私が太刀打ちできるわけもなく、情など何も持たなかったとはいえ、王太子に無慈悲に婚約を解消され、女性としての自信を失っていたところに、追い討ちをかけるように行政官に逮捕され、人間としても何を信じたらいいのか、正直わからなくなった。
 行政官があのまま牢に入れていたら翌日には私はドレスに忍ばせた懐刀で考えたか、今では想像もしたくない。
 しかし、目の前の陛下はそんな私を受け入れると言ってくれた。
 この方なら私を大切にしてくれる、そう直感したのだ。
 
「おお、私の申し出を受けてくれるか、これはありがたい。
 私としてもあなたを好ましく思う…是非私の側で共に歩んでいただきたい」
「もちろんでございます。
 そもそも行き遅れになりかけの傷物ですから、引き取っていただくという意味でもありがたいですわ」
 ほぼ縁もゆかりもなかったけれども、一応アガリスタでは婚約者がいて、婚約解消と一応穏便に縁が切れたとはいえ、あのままアガリスタにいれば私は傷物扱いだっただろう。
「そう卑屈にならないでくれ。
 君はアガリスタの王太子には勿体無いくらいの女性なんだ。
 妹の白雪は容姿こそ君と同じく美しいが、何しろ実の母がアレだからな…アガリスタの王太子にはそろそろ白雪が本性・・を表して来そうであるしな…」
 ん? 聞き流そうとしたけど、なんか気になること陛下が言わなかった?
 白雪姫様の本性がどうとか…。
「何はともあれ、リンガル、ようやく前王妃アレがついに過去のものになる…さぁ、まずはうちうちで祝いの準備だ!」
 そう言うと、エドワード陛下とリンガル子爵様は嬉しそうに準備にか駆り始めた。
 
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