けなげなホムンクルスは優しい極道に愛されたい

イワキヒロチカ

文字の大きさ
37 / 104

34

しおりを挟む

■都内某所 征一郎宅 寝室

 しんなりとベッドに横たわるちびを、団扇ではたはたと扇いでやる。
「め……迷惑かけてごめんね征一郎…」
「こんなこと別に迷惑なんて思わねーよ。……大丈夫か?」
「うん……」
 頭痛や意識の混濁などはないようで、一先ず大事に至らなかったことにほっとした。
 芳秀は回復力が高いだとか弾除けだとか言っていが、ちびはごく普通の…見た目通りの耐久度に思える。
 無論、それが悪いということではない。
 先に言ってもらえればもう少し気を遣ったのにという…まあ、要するに八つ当たりである。
 今後はもう少し気を付けて様子を見てやらねば。
「俺も気付かなくて悪かったが、お前もつまんねー遠慮で、無理して付き合うなよ」
 アニマルへの洞察力はそれなりにあるが、自分も超能力者ではないので限界がある。
 不具合はすぐに伝えてもらった方が、征一郎としても助かるのだと教えれば、ちびはこくんと頷いた。

 そもそも昨日の今日だ。本調子に戻ってないのでは…と考えたところで、唐突に全ての線が繋がった。

「もしかして、アレか?さっきからなんとなく元気がなかったのはエネルギー切れのせいか!?」

 焦った問いかけを、ちびは肯定しないが否定もしない。
 俺はまた……!と征一郎は己の鈍さを呪う。
「は 早く言え早く!具合はどうなんだ今すぐ血とか吐きそうなのか熱は!?脈は!?飲むか!?」
 激しく狼狽えてべろんと下半身を露出させると、ちびは少し困ったように微笑んだ。
「ま、まだ大丈夫。もう少し回復したらよろしくお願いします…」

 先日の吐血のトラウマから立ち直れていないペットロス恐怖症の征一郎であった。




 恐慌が過ぎ、しばしして回復したちびは、「じゃあ、あの……いい……?」と控えめに求めてきた。
 当たり前だろ、と頷くと、勇気づけられたように征一郎の下着に手をかける。
 ベッドの上で、男の足の間に蹲る少年。
 事情を知らぬものに見られたら通報されそうな構図であることは、この際忘れる。
 客観よ仕事をするなと己に言い聞かせ、ちびの腹を満たすことに集中した。


「腹はいっぱいになったか?」
 二度目の供給は、……結構、頑張った。(何をとは聞くな)
 やればできる子……というよりもちびの方が、一度目よりも控えめな動作だったように思える。
 頭を撫でてやると、うん、ありがとう、と礼を言ったちびは、赤い顔のまま何故か距離を取るようにもぞもぞと後退した。

「お前…」

 汗が引いてから、今度は冷えてはいけないとその辺にあった己のシャツを羽織らせたのだが、そこに隠れた前をかばうような動作に思い当たることがあって、つい無造作に裾を掴み、めくりあげる。
「……わ、」
「勃ってんのか」

 ふるりと姿を現したそこは健気に勃ち上がっていて、好奇心に負けて慌てるちびに構わず観察してしまった。
 一緒に風呂に入るからもちろん目にしたことはあったが、形状を変えているのを見るのは初めてだ。
 征一郎のものとは違うが、それでも子供のものではない。
 夜のお楽しみ等の芳秀及び本人の言葉が真実であったことを裏付けるような、淫靡な花芯がそこにはあった。

「ご ごごごめんなさ」
「別に謝ることでもねーだろ。抜いてやるよ」
 ちびにとっては食事みたいなものかもしれないが、性的な行為でもあるので、弾みでこうなることもあるだろう。
 シャツ持ってろ、と裾を押し付け、誘われるようにそこに手を伸ばした。
「ええええっ!?あのおれ自分で…っあ 待っ…」
 指が絡んだその時。

「あ…っ」

 ちびがびくっと体を震わせ、手に熱い飛沫がかかる。
 出てしまったようだ。
 流石にこれは疑似的なものなのではないかと推測されるが、色や匂いは、人のものとそう変わらないように思えた。
「ッ…………っあ………っ」
 ちびは胸を喘がせながら、呆然と自分のもので汚した征一郎の手を見ている。

 俺より、早くてよかった。

 …などとくだらなすぎる安堵を感じていたのも束の間。
「だ……から待ってって…言っ……」
 ひくりと唇を震わせたちびの瞳が見る間に潤んでいく。
 ふぇ……と泣き出してしまったちびに、征一郎は顔が青くなるほど血の気を下げた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

処理中です...