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しおりを挟む『欲しい』
言葉以上に欲求が伝わり、息を呑む。
普段の征一郎だったら、そこが受け入れられるほどに柔らかくなったと判断するまで、先に進もうとは思わなかっただろう。
互いに望んでいたとしても、準備のないまま交わることは、暴力と同じだと理性的な征一郎はよくわかっている。
だが、脳に直接語りかけるようなちびの強い欲望がすべてを霧散させ、征一郎は昨晩感じたものと同様の抗いがたい衝動に支配された。
指を引き抜くと、何かに操られるように前を寛げて未だほぐれたとは言い難いそこへと切っ先を当てる。
膝の上に細い腰を引き上げるようにしながら、強引にぐっと割り開いた。
「あ…………!」
指の時と同じだった。
少年の小柄な体躯と比較すると凶悪なまでに長大なものは、しかし繊細な粘膜を傷つけることなく、少しずつ中へと呑み込まれていく。
「っあ……征一郎の……ぜんぶ」
全てを収めてようやく、征一郎は己の主導権を取り戻したような心地がした。
はっとして窺ったちびの表情に苦痛がないことに安堵する。
「っ……、お前ん中、すっげー狭いのにちゃんと入っちまうのスゲーな」
包み込む内部は、熱く、搾り取るような動きを繰り返す。
試す動きで軽く揺すると、ちびは艶めかしい声を上げ、二人の腹に挟まれた花芯は身を震わせて先端からは粘度の高い蜜が滴った。
物理的な刺激だけではなく、視覚や聴覚からも煽られて、興奮が高まる。
「…せ、いちろ、あ、おれ、欲し…くて…」
力ない手が征一郎の腿を掻いた。
欲しいという言葉に性欲とは違うものを感じ取り、そっと小さな手を握りながら聞き返す。
「あー…、お前、もしかして腹減ってんのか?」
「わ、かんな…っおなか、あつい…」
そういえば先日も不安定さを不審に思っていたところ、空腹だったという話だった気がする。
行為の性質上、征一郎が「いるか?」と聞けば気を遣わせて強要することになるのではないかと思い、できる限りちびが言い出すのを待つ姿勢でいたが、毎日定期的に与えるくらいのつもりでいた方がいいかもしれない。
「せ、征一郎…中に…欲し…」
ちびが震える唇で強請る。
内容も表情も欲を煽るのに十分で、征一郎は理性を飛ばしかけたが、確認しておかねばならない大事なことがあった。
「こん中に出すんでもいいのか?」
「……ん…」
出す場所は非常に大事である。ちびが頷くのを見て安心した。
摂取するのはどこからでもいいようだ。
「んじゃもうちょい待っとけ」
「あッ」
細い脚を掴み、体を折り曲げるようにして抽挿を開始する。
ちびの背は浮いて、肩と頭しかベッドについていない状態だ。
犯罪的な体格差だと我ながら思うが、今はそんなことにも煽られた。
「や…っ、あーっ……」
熱い内部を擦ると、腰に来る泣き声を上げて身を捩る。
「せ…いちろ…っはや、く、っほし、あっ」
催促されなくても、煽られ、絞られ、そう長くもちそうもなかった。
早すぎんだろ、と自嘲しながらも、望まれているのだと耐えることはしない。
「っ…出す、ぞ」
くっと息を詰め、欲しがる動きを繰り返す中へと、熱いものを注ぎ込んだ。
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