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「あ!カイルが来たぞ」
「本当だ!」
ラクラス村の住人が、俺の接近に気づく。
「カイルが通るぞ!道を開けてやれ!」
その声を発端に、人混みの中から門外に通づる道ができる。
俺は、そこを突っ切った。
「頼んだわよ、カイル」
「まかせたぜ」
「カイルさん、お願いします」
「あぁ」と返事をしながら通ったが、皆、不安そうな顔をしているのが見えた。
嫌な予感がする。
そして人混みを抜けた先の光景で、嫌な予感は動揺に変わる。
四人組で、男性のみで構成されている武装したパーティ。
戦士三人と、魔法使いらしき者一人。
動揺に焦りが伴い始める。
先頭の男は、『俺は勇者』と言わんばかりの兜を輝かせ、両手剣を背中に携えている。
そして脇の二人は『槍使い』『弓使い』と、どの距離にも対応できる、バランスの良いパーティ構成。
そして極めつけの魔法使い。
いかにも『魔法使いますよ』的な、鉄杖を携えている。
おまけに筋肉量が多い体つきをしており、白兵戦もこなせそうだ。
『勇者』だけでもまずいのに、『魔法使い』までいるとは。
マズイかもしれない。
カイルは魔法使いを見たのは初めてだった。
俺の『一刀両断』は、魔法にも通用するのだろうか。
どんな物でも切り裂く事ができるが、魔法に対して効果があるのか疑問だ。
魔法を試し切りをした事は一度もない。
もしスキルが通用しないのなら、敵わないかもしれない。
だが、戦う事になるのであれば、立ち向かわなければならないのだ。
穏便に済めば良いが。
荒ぶる息を整え、カイルは勇者らしき男に向けて、口を開いた。
「何の用だ」
俺がそう言うと、男は確認をする。
「君が責任者かい?」
責任者。
本来であれば、村長が責任者になるだろう。
しかし、その場にいない様なので「そうだ」と答える。
「良かった。お聞きしたい事と、お願いしたい事がありまして」
「なんだ」
回りくどい言い方。
見方によっては丁寧とも取れる。
俺は、勇者らしき彼の発言に注視した。
「まずお聞きしたい事ですが、この辺りで『魔王』、もしくはその軍勢を見ましたか?」
俺の全身に、雷の様な衝撃が走る。
「魔王だと?」
思い当たるのは妹の事。
騎士団が。
いや、元騎士団の連中が、プリシラの事を『魔王様』と呼んでいた。
おそらくだが、妹のことを指している。
そう思うと、カイルは明らかに動揺し、その感情が表情に出てしまう。
それを彼は見逃さなかった。
「その顔、何か知っていそうですね」
心を覗き込む様な眼差しを俺に向ける。
時すでに遅しだが、俺は表情を引き締め直し、彼に問うた。
「知っていたとして、この村に何の用だ」
俺の警戒する気配を感じ取った彼は、誤解を招かない様に、諭す様に言った。
「安心して下さい。我々は、魔王を討ち滅ぼすのが目的なのです。悪の軍勢により、危害を加えられていたり、脅されていたりするのであれば、我々がお救いします。だから、そんなに警戒しないで下さい」
本心からくる柔らかい笑顔で言う勇者(仮)の男。
警戒を和らげる為なのだろうが、それを聞いたカイルは、冷静ではいられなかった。
プリシラを討ち滅ぼすだと!?
それはつまり、俺の妹を亡き者にするって事だよな?
俺の妹を?
プリシラの愛らしい顔が浮かぶ。
俺や両親に向ける、天使の様な笑顔。
なぜ?何の為に!?
そんな事、断じて容認できない!
容認できるわけないだろう!
アイツが何をしたって言うんーー。
ポヤンと、『暴虐』でラクラス村を滅ぼしかけた昔の記憶が蘇った。
「本当だ!」
ラクラス村の住人が、俺の接近に気づく。
「カイルが通るぞ!道を開けてやれ!」
その声を発端に、人混みの中から門外に通づる道ができる。
俺は、そこを突っ切った。
「頼んだわよ、カイル」
「まかせたぜ」
「カイルさん、お願いします」
「あぁ」と返事をしながら通ったが、皆、不安そうな顔をしているのが見えた。
嫌な予感がする。
そして人混みを抜けた先の光景で、嫌な予感は動揺に変わる。
四人組で、男性のみで構成されている武装したパーティ。
戦士三人と、魔法使いらしき者一人。
動揺に焦りが伴い始める。
先頭の男は、『俺は勇者』と言わんばかりの兜を輝かせ、両手剣を背中に携えている。
そして脇の二人は『槍使い』『弓使い』と、どの距離にも対応できる、バランスの良いパーティ構成。
そして極めつけの魔法使い。
いかにも『魔法使いますよ』的な、鉄杖を携えている。
おまけに筋肉量が多い体つきをしており、白兵戦もこなせそうだ。
『勇者』だけでもまずいのに、『魔法使い』までいるとは。
マズイかもしれない。
カイルは魔法使いを見たのは初めてだった。
俺の『一刀両断』は、魔法にも通用するのだろうか。
どんな物でも切り裂く事ができるが、魔法に対して効果があるのか疑問だ。
魔法を試し切りをした事は一度もない。
もしスキルが通用しないのなら、敵わないかもしれない。
だが、戦う事になるのであれば、立ち向かわなければならないのだ。
穏便に済めば良いが。
荒ぶる息を整え、カイルは勇者らしき男に向けて、口を開いた。
「何の用だ」
俺がそう言うと、男は確認をする。
「君が責任者かい?」
責任者。
本来であれば、村長が責任者になるだろう。
しかし、その場にいない様なので「そうだ」と答える。
「良かった。お聞きしたい事と、お願いしたい事がありまして」
「なんだ」
回りくどい言い方。
見方によっては丁寧とも取れる。
俺は、勇者らしき彼の発言に注視した。
「まずお聞きしたい事ですが、この辺りで『魔王』、もしくはその軍勢を見ましたか?」
俺の全身に、雷の様な衝撃が走る。
「魔王だと?」
思い当たるのは妹の事。
騎士団が。
いや、元騎士団の連中が、プリシラの事を『魔王様』と呼んでいた。
おそらくだが、妹のことを指している。
そう思うと、カイルは明らかに動揺し、その感情が表情に出てしまう。
それを彼は見逃さなかった。
「その顔、何か知っていそうですね」
心を覗き込む様な眼差しを俺に向ける。
時すでに遅しだが、俺は表情を引き締め直し、彼に問うた。
「知っていたとして、この村に何の用だ」
俺の警戒する気配を感じ取った彼は、誤解を招かない様に、諭す様に言った。
「安心して下さい。我々は、魔王を討ち滅ぼすのが目的なのです。悪の軍勢により、危害を加えられていたり、脅されていたりするのであれば、我々がお救いします。だから、そんなに警戒しないで下さい」
本心からくる柔らかい笑顔で言う勇者(仮)の男。
警戒を和らげる為なのだろうが、それを聞いたカイルは、冷静ではいられなかった。
プリシラを討ち滅ぼすだと!?
それはつまり、俺の妹を亡き者にするって事だよな?
俺の妹を?
プリシラの愛らしい顔が浮かぶ。
俺や両親に向ける、天使の様な笑顔。
なぜ?何の為に!?
そんな事、断じて容認できない!
容認できるわけないだろう!
アイツが何をしたって言うんーー。
ポヤンと、『暴虐』でラクラス村を滅ぼしかけた昔の記憶が蘇った。
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