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(๑><๑) ハーシア15歳♡
24:ラストチャンス
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ハーシアとプレデータが去った後の部屋ではユリアがイクスに詰め寄っていた。
「どういう事?ねぇ!聞いてないんだけど?」
「言っていないからな。聞いている方が驚きだろう。そもそもユリア。お前は招かれていないんだ。随分と遅くはなったが非礼を詫びる事も出来んのか」
向かいにはバイソン子爵家の人間がまだ3人も残っているというのに、叱責を受けたユリアはムッとして顔をプイっと逸らせた。
10歳になる前ならまだ許される行動でも15歳でデヴュタントも終えていれば許されるものでもない。
むくれるユリアを横目にイクスは3人に深々と頭を下げた。
「事前に断りは入れたとはいえ、お見苦しいものを見せるだけでなく非礼の数々。重ね重ね申し訳ない」
「気になさらないでください。主も腹を括った事でしょう」
「そう言って頂けるとありがたい」
イクスはこの食事会にユリアはハーシアにバイソン子爵家へ嫁がれては困るので妨害するだろうと予測していた。それがユリアの意志なのかファクターに頼まれてなのかは問題ではない。
記憶にあるユリアの不貞行為に走る行動も理解は出来なかったが、今回も理解が出来ない。
貴族でも平民でも不貞行為に走る者が一定数いる事は知っている。
孫可愛さでハーシアの人生を壊してしまったと思うと同じ轍を踏むわけにはいかなかった。
ファクターとは大手を振って街を歩ける状態にしてやったのにユリアもファクターも婚約をよしとしていない。ここ数日ファクターとは会っていないようだったが、それでも疎遠になったり、嫌悪しあう訳でもない。
惹かれ合う2人だ。親の預かり知らぬところで密会はしているかも知れないが婚約をさせたし、婚前交渉があったとてそれもいいだろうと気持ちを切り替えた。
2人が考えている事など透けて見える。
ユリアもファクターも自分たちのために犠牲になって奉仕をしてくれる人間を欲しているのだ。
――この子はまたハーシアを利用しようとしている――
父としてハーシアもユリアも同じように可愛いのだが、また経験するであろう不実を思うとユリアへの気持ちがガリガリと削り取られた。
――どうしてこんな考えを持つようになってしまったのか――
無尽蔵に欲しがるものを与えてやる事は出来なかったが、それでも他人を、まして実の姉を利用して楽な生き方をしようとしているユリアには親としてではなく当主として対応せねばならないと見切りをつけた。
この昼食会はユリアに与えた最後のチャンスでもあった。
ここでベルマウス伯爵家の娘として振舞うのであれば、貴族の婚約とは家と家の繋がりで契約だと理解をしたのだからセシル家に持参金を更に上乗せして早くに嫁がせるつもりだった。
失態を犯すのなら何としてもセシル家との婚約を白紙に戻し、修道院にいれようと。それも嫌だとごねるのであれば廃籍し放逐だ。
ベルマウス伯爵家の事情に付き合ってくれたバイソン子爵家には感謝しかない。
年の差はあったが、セシル伯爵家の言いがかりに折れてファクターに嫁がせるくらいならと意を決しプレデータに会いに行った時、プレデータは驚いていた。
何故なら釣書はまだ女性と縁のないプレデータを気遣って執事が独断で出してしまったものだったのだ。
プレデータは執事を叱りもせずに豪快に笑った。
『こちらはご息女からすれば親よりも年を食った男になります。まだ若いのに余りにも不憫だ』
そう言ってプレデータは子爵家から申し入れたのに断ることになって申し訳ないと詫びた。イクスはその姿勢にハーシアを託せるのはこの男しかいないと感じた。
是が非でもと頼み込んだが、プレデータの気持ちは変わらなかった。
『なら、こうしてみてはどうでしょう』
折衷案にもならない案を出したのは独断専行したプレデータの執事。
敢えて食事会では自己紹介をせず、ハーシアがプレデータを見合い相手と見抜くことが出来れば話を受ける。見抜けなければ単なる食事会で終わる。
こうするのは理由もあった。
ハーシアはまだ15歳。
バイソン子爵家は田舎貴族であることから、王都の貴族に嫁ぐのとはまた違う気構えも必要になるし、若いからと言って手を抜けない事も多い。それだけ知識と経験が必要とされるし見抜く力も要求をされる。
角が立たないように提案してくれた案をイクスは飲んだ。プレデータもそれでいいと納得した。
プレデータは釣書の絵姿は全く参考にならず、年齢の35歳だけが頼りなので見抜けるはずがないと思ったのだろう。
ハーシアが迷うことなくプレデータにエスコートを頼んだ時、イクスも驚いた。
「では、明日にでもお屋敷に伺いますので婚約の手続きを致しましょうか」
「是非、お願いいたします」
プレデータの執事とイクスが言葉を交わすと、ユリアは真っ青な顔になり母親を突き飛ばして部屋を出て行った。
「どういう事?ねぇ!聞いてないんだけど?」
「言っていないからな。聞いている方が驚きだろう。そもそもユリア。お前は招かれていないんだ。随分と遅くはなったが非礼を詫びる事も出来んのか」
向かいにはバイソン子爵家の人間がまだ3人も残っているというのに、叱責を受けたユリアはムッとして顔をプイっと逸らせた。
10歳になる前ならまだ許される行動でも15歳でデヴュタントも終えていれば許されるものでもない。
むくれるユリアを横目にイクスは3人に深々と頭を下げた。
「事前に断りは入れたとはいえ、お見苦しいものを見せるだけでなく非礼の数々。重ね重ね申し訳ない」
「気になさらないでください。主も腹を括った事でしょう」
「そう言って頂けるとありがたい」
イクスはこの食事会にユリアはハーシアにバイソン子爵家へ嫁がれては困るので妨害するだろうと予測していた。それがユリアの意志なのかファクターに頼まれてなのかは問題ではない。
記憶にあるユリアの不貞行為に走る行動も理解は出来なかったが、今回も理解が出来ない。
貴族でも平民でも不貞行為に走る者が一定数いる事は知っている。
孫可愛さでハーシアの人生を壊してしまったと思うと同じ轍を踏むわけにはいかなかった。
ファクターとは大手を振って街を歩ける状態にしてやったのにユリアもファクターも婚約をよしとしていない。ここ数日ファクターとは会っていないようだったが、それでも疎遠になったり、嫌悪しあう訳でもない。
惹かれ合う2人だ。親の預かり知らぬところで密会はしているかも知れないが婚約をさせたし、婚前交渉があったとてそれもいいだろうと気持ちを切り替えた。
2人が考えている事など透けて見える。
ユリアもファクターも自分たちのために犠牲になって奉仕をしてくれる人間を欲しているのだ。
――この子はまたハーシアを利用しようとしている――
父としてハーシアもユリアも同じように可愛いのだが、また経験するであろう不実を思うとユリアへの気持ちがガリガリと削り取られた。
――どうしてこんな考えを持つようになってしまったのか――
無尽蔵に欲しがるものを与えてやる事は出来なかったが、それでも他人を、まして実の姉を利用して楽な生き方をしようとしているユリアには親としてではなく当主として対応せねばならないと見切りをつけた。
この昼食会はユリアに与えた最後のチャンスでもあった。
ここでベルマウス伯爵家の娘として振舞うのであれば、貴族の婚約とは家と家の繋がりで契約だと理解をしたのだからセシル家に持参金を更に上乗せして早くに嫁がせるつもりだった。
失態を犯すのなら何としてもセシル家との婚約を白紙に戻し、修道院にいれようと。それも嫌だとごねるのであれば廃籍し放逐だ。
ベルマウス伯爵家の事情に付き合ってくれたバイソン子爵家には感謝しかない。
年の差はあったが、セシル伯爵家の言いがかりに折れてファクターに嫁がせるくらいならと意を決しプレデータに会いに行った時、プレデータは驚いていた。
何故なら釣書はまだ女性と縁のないプレデータを気遣って執事が独断で出してしまったものだったのだ。
プレデータは執事を叱りもせずに豪快に笑った。
『こちらはご息女からすれば親よりも年を食った男になります。まだ若いのに余りにも不憫だ』
そう言ってプレデータは子爵家から申し入れたのに断ることになって申し訳ないと詫びた。イクスはその姿勢にハーシアを託せるのはこの男しかいないと感じた。
是が非でもと頼み込んだが、プレデータの気持ちは変わらなかった。
『なら、こうしてみてはどうでしょう』
折衷案にもならない案を出したのは独断専行したプレデータの執事。
敢えて食事会では自己紹介をせず、ハーシアがプレデータを見合い相手と見抜くことが出来れば話を受ける。見抜けなければ単なる食事会で終わる。
こうするのは理由もあった。
ハーシアはまだ15歳。
バイソン子爵家は田舎貴族であることから、王都の貴族に嫁ぐのとはまた違う気構えも必要になるし、若いからと言って手を抜けない事も多い。それだけ知識と経験が必要とされるし見抜く力も要求をされる。
角が立たないように提案してくれた案をイクスは飲んだ。プレデータもそれでいいと納得した。
プレデータは釣書の絵姿は全く参考にならず、年齢の35歳だけが頼りなので見抜けるはずがないと思ったのだろう。
ハーシアが迷うことなくプレデータにエスコートを頼んだ時、イクスも驚いた。
「では、明日にでもお屋敷に伺いますので婚約の手続きを致しましょうか」
「是非、お願いいたします」
プレデータの執事とイクスが言葉を交わすと、ユリアは真っ青な顔になり母親を突き飛ばして部屋を出て行った。
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