至らない妃になれとのご相談でしたよね

cyaru

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第46話♡♠  お互いの思い

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♡~♡

幾つ目だったでしょう。

コーングルテンミールを運んできた荷馬車に乗せてもらい、無事に貨物用荷馬車に乗り継いでおりますと、休憩地で来る時は聞かなかった音が聞こえます。

「バーン!!」

渓谷に響き渡る音。何かと思えばトウモロコシの粒を炒る…とはまた違うのですが熱を加えながら専用の筒で圧力を加えて、一気に開栓し減圧。
圧力の差を利用し、炒った時の弾け具合とは少し違うトウモロコシ菓子が作られていたのです。

「はい。お嬢ちゃんは可愛いからビートてん菜蜜も多めなっ!」

「わぁ。こんなに?見本の倍以上ありますよ?」

「これ。ルル。いけませんよ。またおねだりしたんでしょう?」

「してないですよ。可愛いからおまけしてくれただけです」

「いいって。いいって。こんな田舎じゃ客も来ねぇし、実は今日で完全店仕舞いなんだ」

「あら?そうですの?どうしてまた」


そんなに売れていないとも思えないのですが、製作にかかる経費を考えると客数で赤字が続いたのかも知れません。

だけど、あの独特の大きな音は宣伝にもなると思うのですが。


「実は原料のトウモロコシの値段が上がっちまって。利益を取ろうと思ったら3倍の値段にしなきゃなんねぇんだけど、そんな高い菓子。誰も買わねぇからさ」

「まぁ、トウモロコシ?そんなに高いの?」

「あぁ。不作なんだと。昨年もそうだったけど流石に2年連続になるとなぁ。厳しくってさ。ずーっと向こうにあるホートベル侯爵家の領地くらいの収穫量があれば良かったんだけどな」

「そうだったのですね」


そう言えばこの辺はレアンドロ殿下の王子領の近く。確か王子領がトウモロコシを育てていてこの辺の供給を賄っていたと思うのですが。

不作の時に備えてお金などもプールし、他から買い付けてでも供給を安定させるはずなのですが何もしていなかったのかしら。


妃の仕事をするなはいいけれど、王子としての仕事もしてないわけ?
出来ないのなら早めに陛下に相談してライオネル様なりに渡せばよかったのに。


そう思ったのですが、店主さんはもっと驚く事を言ったのです。

「それにさ。聞いた話だが王子さんの領地。担保に入ったらしくてさ。俺らと違って毎日今日の飯代稼がなくてもいい生活してるはずなのに、領地担保に金借りてなにやってんだかね」


本当ですわ。
どうせルシェルと毎日豪遊してたんでしょうけど。
はぁ‥こんな事のためにあと2年と少し、ホートベル侯爵家からお金を出すのも勘弁してほしいわ。

離縁したらそれまでの分は手切れ金で結構。
一切手を引かせて頂きますけどね。

少しづつでも返すと言いそうだけど、金額の問題じゃないわ。
返済で付き合いが続くより、バッサリ切った方がこの手のヤカラには丁度いいのよ。

思いがけない情報を得てしまいましたが、私が出来ることは御座いません。
約束ですものね。
婚姻中は利益、不利益は求めない、押し付けない。

つくづくあの書面をレアンドロ殿下直筆で書いてもらった事。
感謝しか御座いませんわ。


♠~♠

四の五のと言う暇もなく、ルシェルとルシェルの産んだ子が王宮に連れて行かれてしまった。

これで私の計画は1つ頓挫した。
不気味なのはあれから一切兄上も父上も、母上からも連絡がない事だ。

もしかすると子供ともども始末してくれたのかも知れない。
ルシェルは罪人だったし、妊娠中だったからここに押し付けられただけだ。
子供が生まれれば刑は執行される。

ルシェルの罪は窃盗罪だが、他の宝飾品ならまだしも王族であることを証明する宝飾品は不味かったのだ。

私だって流石にあれはないと思う。引いた。

母上の言う通りゴミはゴミでしかなかったという事だ。

ファリティを呼びたいが、今、宮にいる使用人は頼みごとを出来るような者ではない。
おそらく何もしなくても報告はされているだろうが、ルシェルと子供がどうなったのか。きちんと知るまでは動かない方がいいだろう。

そう思い、執務机で書類を取り出した。

「あ、領地…そうか…支払いがもうすぐだな」

領地を担保に入れて金を借りたが目いっぱいは借りていない。
昨年の結婚前、ルシェルと楽しんでいる時に不作だなんだと五月蝿かったな。

不作にならないようにするのが領民であり農夫の仕事なのにこちらにツケを回してくるなど不届きなヤカラだ。

不作の領地だったが担保で借りることが出来る額の6割で止めておいてよかったとつくづく思う。

そうすれば残りの4割で返済する時に手持ちがなければ自動で回してもらえる。借入額は増えてしまうがファリティが戻るまでの辛抱だ。何とか足りるだろう。

戻ってくればちゃんと話をするんだ。

イサミアも居なくなった今、ホートベル侯爵家が傾くかと思えばそうではない。
きっと当主代行の手腕だろう。

ファリティだってイサミアと似たような頭の出来だろう。
あのルシェルが見下すくらいだから天然記念物級じゃないのか?

ま、イサミアやルシェルと違って「自分は出来ない」と最初から妃の仕事を辞退する分、多少の常識はあるんだろうがそれだけだ。

一緒に住み始めればホートベル侯爵家の資産を売ってもらい、借りた金の返済をしたらいいだけだ。

当主代行を雇う金も勿体ないし、経営できる頭もないなら清算するのが一番だ。


さて、どうやって暇をつぶそうか。
する事がないと暇もつぶせない。

こんな時に限って目が覚めるのも早くてまだ朝の7時半だ。


そんな私の元に吉報が舞い込んだ。

「殿下、2週間後、登城するようにとの事です」

「登城?また父上の小言か…」

「ファレンティナリティア妃殿下も来られるとの事ですので、正装でお願いいたします」

「何?!ファリティが来るのか?何時!どこに!」

「ですから。2週間後、登城されてください」

「解った。2週間後だな?で、ファリティは今どこにいる?」

「それは私に聞かれても…存じ上げません」

「使えない奴だな。登城する前にここに来るように言っておけ」

「どこに居られるかも解りませんので、伝えようが御座いません」

「それをするのがお前の仕事だろう!」

「私は第1王子ライオネル様の第4執事です。私の仕事はライオネル様より指示のあった事を抜かりなく熟す事であり、レアンドロ殿下に命じられて行う仕事は一切ございません」


ちっ。使えない執事だ。
臨機応変と言う言葉を知らないのか。

しかし、そんな事を抜きしてもファリティに会える。
数日は宮で寝泊まりもするだろう。

私は期待で早速湯殿に行き、汗を流そうとバスタブに飛び込んだ。

くさっ…なんで‥昨日の残り湯のままなんだよ!ぬるいし臭いし!本当に役に立たない使用人だな!!」
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