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14:進化の寄り道~深夜の見回り~
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本日は夜会で御座います。
弟のオリバーの上司とも言える第三王子殿下ジュリアス様の誕生日を祝う夜会。
心なしかこのジュリアス殿下。バルタザール様と同種でなのではないか?そんな気が致します。
世間では弟のオリバーがジュリアス殿下の「恋人」ではないかという噂が御座います。オリバーの姉ですのでかなりガッツリ知っておりますがオリバーは至ってノーマルで御座います。
寝台の下部が収納になっているのですが、オリバーには収集癖が御座いまして目一杯各地を巡業するアイドルたちのグッズが詰め込まれております。
18歳あたりからは露出の多くなったグラビア・アイドルの写真集が加わりました。
クリーンメイドが清掃をする際に「ゴミ箱が空」になっているのと「使い捨てペーパー」の減りが尋常ではない日があるので、健全に育っているはずです。
姉弟とは言え確認できない事項では御座いますけれど。
第三王子ジュリアス殿下がバルタザール様と同種と感じる。
それは異母兄である第一王子殿下のお妃様に対しての熱視線が半端ないのです。
他には…オリバーに対して指示を出しオリバーが異を唱え
「出来るわけないでしょう!」と言いますと
「頼む。泣きのもう一回だ!」と仰られ
「ホントにこれが最後ですからね!」と念を押されると
「これっきりだなんて、もぉ~言わせない!」と返されるからですわ。
どうやら第一王子妃の廃棄物を手に入れているらしい。らしい!で御座いますがそんな噂も聞こえてくるのです。これもまた姉弟とは言え確認できない事項では御座いますけれど。
そんなジュリアス殿下の誕生日を祝う夜会に出席をする事となりました。
アーカンソー公爵家では当主のお爺様がそろそろバルタザール様のお父様に家督を譲られるのも間もなく、と言う事でバルタザール様は次々当主となるため、妻なのに婚約者として出席をするのです。
「ロティ!迎えに来た。準備は終わっ―――うぅっ!!」
また胸を抑え、息が短く「ハッハッハッハ」
将来を考えてラマーズ法を習っていると聞きましたが、多分…出産の大変な時に隣で「ハッハッハッハ」されるとキレてしまうかも知れません。
お母様が仰っていたのです。
陣痛の感覚が短くなって痛みを逃せ、堪えろ…「出来るもんならやっとるわ!」と物静かな令嬢、そして貞淑な妻を演じてきた数年間が一言で吹っ飛んだほどの痛みなのだとか。
「夫の助け?隣にいるだけで苛つくわ」
涼しい顔で仰っておりましたもの。
「ロティ。俺は新しい扉を開いてしまったかも知れない」
「あら?お屋敷の改装工事が終わりましたの?」
「麗しい姿に目が眩むッ!いったい俺をどうしたいんだっ!」
「このドレス、バルタザール様のお部屋にトルソーに纏わせて暫くあったではありませんか」
「胴体だけの人形が来ている時も妄想を受け流すのに大変だったが…これはクるな」
いつもは首もハイネックなドレスだったのですが、今回は大きくデコルテが開いております。ついでに背中も半分ほどが出てしまいますので、メイドさん達のマッサージはいつもより気合が入っておりました。背中にポツっと吹き出物が出来てしまうととても着られるデザインではありませんもの。
「バルタザール様、素敵ですわ。あら?また勲章が増えましたのね」
「これか。これは深夜の見回り中にデバガメを捕縛したんだ」
「まぁ…デバガメと言いますと進化するとカメールなゼニガメとはまた別の?」
「デバガメが進化をしたらただの変態だ」
――バルタザール様とどう違うのかしら?――
いけない。いけない。捕縛する方とされる方。大きな違いではありませんか!
決してバルタザール様を変態だとは思っておりませんわよ?
進化すると変質者かな?と思ったことが多々あるくらいです。
と、申しますのも「深夜の見回り」とはマクベル伯爵家の屋敷の周りを徘徊‥いえ警備する事なのでございます。
古い造りの屋敷ですので使用人の部屋が植え込みを目隠しにはしておりますが、忍び込んで着替える様子を見る変態様が年に数回現れるのです。
落とし穴を掘ったり、植木の足元から足元に縄を張り足を引っ掛けるとカランカランと音がする仕掛けもしておりますが、彼らのバイタリティは侮れません。
住み込みの使用人はもう人生半世紀を超えた男性ばかりなのに覗かれるのです。
深夜の見回りに気が付いたのは先週のこと。
わたくしの部屋は4階に御座いますが、深夜目が覚めてふと窓を見ると…
「バルタザール様と目が合った」ので御座います。
心配で部屋の灯りが消えたら、夜明け前まで壁に張り付いて部屋の中に異常がないかを目視で確認されていると仰いますが、4階の窓から見えるはずのないヒトの頭部が見えると生きた心地が致しません。
「ロティの無事を確認しないと寝られない」
――覗かれていると、わたくしが寝られません――
バルタザール様は「警備」だと言い張るのですが、現在は止めて頂いていたはず。
「また覗かれたのですか?」
「覗いてなどいない。見ただけだ」
「それを覗くと言うのです」
「これは俺の名誉にかけて言わせてもらうが、覗きではない」
「・・・・・」
「何か言ってくれ…罪悪感に苛まれる」
――では、暫く黙っている事にします(ぷいっ)――
そうは言いながらも、落下すると危険なので4階の部屋まで外壁にコーニス風な出っ張りをつけたわたくし。決して覗かれたい訳では御座いません。あくまでも安全のためで御座います。
大事な事なのでもう一度。安全のためです。
「ロティ~。違うんだよ。覗いてない。約束は守ってるだろう?」
「・・・・・」
「見たと言っても6時間くらいしか見てない。寝返りをする時に肩が出たから掛布を――」
「6時間!?部屋に忍び込んだのですか?!」
「忍び込んでなどいない!入っただけだ」
「っっっ!」
「寝息を袋に入れただけだ。手は触れてないし…」
「そ、その寝息はどうされたんですの?」
心臓がバクバクしますわ。
心拍数が爆上がりをすると危険だから食べ物には注意をしているのに!
「屋敷に帰るまでは我慢しようとしたんだが…騎乗して全部吸い込んだ」
「吸い込んだっ?!」
「安心してくれ。今はここにあるから秘密は守られている」
――絶対に出てこないよう口と鼻を塞いでもよろしくて?――
絶句するわたくしに微笑んで手を差し出すバルタザール様。
くっ!年下美少年の笑顔合わせ技なんて!一本取られてしまいますわ。
「では、夜会に行こうか」
「えぇ…」
馬車までエスコートをするバルタザール様は間違いなく紳士。
ただ、馬車が走り出すと気忙しく動き回り色んな角度からわたくしをみるのはお止めなさい。
「バルタザール様、お座りくださいませ」
「あぁ、胆は据わってるから気にしないでくれ」
「さりげなく指先を口に入れるのもお止めください」
「触診だ。気にするな」
――触診は手です。舌ではありません――
馬車の中でガリガリ削られていくわたくしのヒットポイント。
王宮に到着する前にぬらりひょんになっていなければ御の字でございましょうか。
弟のオリバーの上司とも言える第三王子殿下ジュリアス様の誕生日を祝う夜会。
心なしかこのジュリアス殿下。バルタザール様と同種でなのではないか?そんな気が致します。
世間では弟のオリバーがジュリアス殿下の「恋人」ではないかという噂が御座います。オリバーの姉ですのでかなりガッツリ知っておりますがオリバーは至ってノーマルで御座います。
寝台の下部が収納になっているのですが、オリバーには収集癖が御座いまして目一杯各地を巡業するアイドルたちのグッズが詰め込まれております。
18歳あたりからは露出の多くなったグラビア・アイドルの写真集が加わりました。
クリーンメイドが清掃をする際に「ゴミ箱が空」になっているのと「使い捨てペーパー」の減りが尋常ではない日があるので、健全に育っているはずです。
姉弟とは言え確認できない事項では御座いますけれど。
第三王子ジュリアス殿下がバルタザール様と同種と感じる。
それは異母兄である第一王子殿下のお妃様に対しての熱視線が半端ないのです。
他には…オリバーに対して指示を出しオリバーが異を唱え
「出来るわけないでしょう!」と言いますと
「頼む。泣きのもう一回だ!」と仰られ
「ホントにこれが最後ですからね!」と念を押されると
「これっきりだなんて、もぉ~言わせない!」と返されるからですわ。
どうやら第一王子妃の廃棄物を手に入れているらしい。らしい!で御座いますがそんな噂も聞こえてくるのです。これもまた姉弟とは言え確認できない事項では御座いますけれど。
そんなジュリアス殿下の誕生日を祝う夜会に出席をする事となりました。
アーカンソー公爵家では当主のお爺様がそろそろバルタザール様のお父様に家督を譲られるのも間もなく、と言う事でバルタザール様は次々当主となるため、妻なのに婚約者として出席をするのです。
「ロティ!迎えに来た。準備は終わっ―――うぅっ!!」
また胸を抑え、息が短く「ハッハッハッハ」
将来を考えてラマーズ法を習っていると聞きましたが、多分…出産の大変な時に隣で「ハッハッハッハ」されるとキレてしまうかも知れません。
お母様が仰っていたのです。
陣痛の感覚が短くなって痛みを逃せ、堪えろ…「出来るもんならやっとるわ!」と物静かな令嬢、そして貞淑な妻を演じてきた数年間が一言で吹っ飛んだほどの痛みなのだとか。
「夫の助け?隣にいるだけで苛つくわ」
涼しい顔で仰っておりましたもの。
「ロティ。俺は新しい扉を開いてしまったかも知れない」
「あら?お屋敷の改装工事が終わりましたの?」
「麗しい姿に目が眩むッ!いったい俺をどうしたいんだっ!」
「このドレス、バルタザール様のお部屋にトルソーに纏わせて暫くあったではありませんか」
「胴体だけの人形が来ている時も妄想を受け流すのに大変だったが…これはクるな」
いつもは首もハイネックなドレスだったのですが、今回は大きくデコルテが開いております。ついでに背中も半分ほどが出てしまいますので、メイドさん達のマッサージはいつもより気合が入っておりました。背中にポツっと吹き出物が出来てしまうととても着られるデザインではありませんもの。
「バルタザール様、素敵ですわ。あら?また勲章が増えましたのね」
「これか。これは深夜の見回り中にデバガメを捕縛したんだ」
「まぁ…デバガメと言いますと進化するとカメールなゼニガメとはまた別の?」
「デバガメが進化をしたらただの変態だ」
――バルタザール様とどう違うのかしら?――
いけない。いけない。捕縛する方とされる方。大きな違いではありませんか!
決してバルタザール様を変態だとは思っておりませんわよ?
進化すると変質者かな?と思ったことが多々あるくらいです。
と、申しますのも「深夜の見回り」とはマクベル伯爵家の屋敷の周りを徘徊‥いえ警備する事なのでございます。
古い造りの屋敷ですので使用人の部屋が植え込みを目隠しにはしておりますが、忍び込んで着替える様子を見る変態様が年に数回現れるのです。
落とし穴を掘ったり、植木の足元から足元に縄を張り足を引っ掛けるとカランカランと音がする仕掛けもしておりますが、彼らのバイタリティは侮れません。
住み込みの使用人はもう人生半世紀を超えた男性ばかりなのに覗かれるのです。
深夜の見回りに気が付いたのは先週のこと。
わたくしの部屋は4階に御座いますが、深夜目が覚めてふと窓を見ると…
「バルタザール様と目が合った」ので御座います。
心配で部屋の灯りが消えたら、夜明け前まで壁に張り付いて部屋の中に異常がないかを目視で確認されていると仰いますが、4階の窓から見えるはずのないヒトの頭部が見えると生きた心地が致しません。
「ロティの無事を確認しないと寝られない」
――覗かれていると、わたくしが寝られません――
バルタザール様は「警備」だと言い張るのですが、現在は止めて頂いていたはず。
「また覗かれたのですか?」
「覗いてなどいない。見ただけだ」
「それを覗くと言うのです」
「これは俺の名誉にかけて言わせてもらうが、覗きではない」
「・・・・・」
「何か言ってくれ…罪悪感に苛まれる」
――では、暫く黙っている事にします(ぷいっ)――
そうは言いながらも、落下すると危険なので4階の部屋まで外壁にコーニス風な出っ張りをつけたわたくし。決して覗かれたい訳では御座いません。あくまでも安全のためで御座います。
大事な事なのでもう一度。安全のためです。
「ロティ~。違うんだよ。覗いてない。約束は守ってるだろう?」
「・・・・・」
「見たと言っても6時間くらいしか見てない。寝返りをする時に肩が出たから掛布を――」
「6時間!?部屋に忍び込んだのですか?!」
「忍び込んでなどいない!入っただけだ」
「っっっ!」
「寝息を袋に入れただけだ。手は触れてないし…」
「そ、その寝息はどうされたんですの?」
心臓がバクバクしますわ。
心拍数が爆上がりをすると危険だから食べ物には注意をしているのに!
「屋敷に帰るまでは我慢しようとしたんだが…騎乗して全部吸い込んだ」
「吸い込んだっ?!」
「安心してくれ。今はここにあるから秘密は守られている」
――絶対に出てこないよう口と鼻を塞いでもよろしくて?――
絶句するわたくしに微笑んで手を差し出すバルタザール様。
くっ!年下美少年の笑顔合わせ技なんて!一本取られてしまいますわ。
「では、夜会に行こうか」
「えぇ…」
馬車までエスコートをするバルタザール様は間違いなく紳士。
ただ、馬車が走り出すと気忙しく動き回り色んな角度からわたくしをみるのはお止めなさい。
「バルタザール様、お座りくださいませ」
「あぁ、胆は据わってるから気にしないでくれ」
「さりげなく指先を口に入れるのもお止めください」
「触診だ。気にするな」
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