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第25話 君の対応が乾燥警報
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「湯を浴びるので出て行って頂けます?」
「承知した。だが…明日の朝もどこかに行くんだろう?勝手を言って申し訳ないが話がしたいのは本当なんだ。湯は…2時間ほどか?その頃にまた来る」
「は?2時間も湯に入っていたら風邪をひきますよ?隣国の追い炊き可能な湯船じゃないんですから。私が湯殿を使う時間は10分です」
「じゅ10分。また10分か?」
「いけませんか?これでも2か月前の17分から短縮できたんですよ。シャンプーとコンディショナーが一緒になったものを使っていましたが、先日それに加えて体も洗えるという1本で3役熟す洗剤を買ったので短縮できたんです」
「解った。では30分後にまた来る」
「30分後…。解りました。ですが私、就寝時間は21時50分と決めていますので、話をしたいことを端的に纏めて来てください。現在21時07分です。30分後ですと13分しか…あっと8分になったので12分しかありません」
「細かいな…解った。善処しよう」
「善処ではなく、してください。では」
フェルナンドは廊下に出ると部屋には戻らずに扉にまた背を預け、30分が経過するのを待つ。
21時50分には就寝と言っていたが、1時間ほどなら付き合ってくれるだろう。そんな期待も胸に抱きながら30分を待ったのだった。
「よし、21時38分だ。行こう」
腕時計の時間を確認し、ノックをすれば扉は直ぐに開いた。
開いたのだが…。
「なんだ!?その格好は!」
「なんだと言われても。寝間着を兼用した寝具ですが」
ハッとして寝台のある区画に行ってみれば寝台はあった。但しそこに敷布もなければ掛布もない。
ベッドマットすらなかったのだ。
「シーツを買ったのですが背中が痛くて。これだ登山家も愛用している寝袋ですので床でも寝られるんです。洗濯物で一番大きくて費用が掛かったのがシーツなので重宝しているんです」
「ちょ、重宝って。それに床で寝る?侯爵夫人が?」
「あら?侯爵夫人である必要はない。どこかの誰かさんが仰いましたけど?」
チクリと嫌味も交えたがセレナとしてはシーツ1枚しかない敷布で背中が痛かったのは本当。しかし気持ちとして侯爵家の所有物である寝台を使って文句をいわれるのもな~っと使うのをやめた。
やるなら中途半端はいけない。徹底しなければならない。
家を出る事も考えなかった訳ではないが、結婚翌日から完全別居となれば周囲が五月蝿い。
丁度朝は6時前、夜は20時過ぎの帰宅になったので屋敷に滞在する時間は10時間ほど。これなら「恥をかかせる気か!」と、文句も言われないだろうと考えていた。
「すまない。失言だな」
「そうでもありませんよ?床は湿原ほど湿っていませんので。この時期は乾燥注意報も出てますしカラッカラです」
==そっちじゃない。どちらかと言えば君の対応が乾燥警報だ==
「お話は何でしょう?」
「実はダグラスが君に金を貸したと言っている。本当だろうか」
「嘘ですね。で?次は?」
「え・・・それだけ?」
「貸し借りはしていませんので。本当か嘘かなら嘘です。それ以上に何か御座いまして?」
「いや、いいんだ。で、騎士団に行っているのはその絵姿のメイリーン騎士に会うため?」
「そうですね。遠目からお姿を見る事も御座いますし、用件がある時はお話もします」
「なるほどな。それで、君は執事に金貨1000枚を渡したそうだが出所を聞いても?怪しんでいるわけじゃないんだ。金貨1000枚と言えば大金だ。この侯爵家の全使用人に割増しで給金を払っても2年分に匹敵する。こう言っては何だが持参金も無かったし…」
「殿下から借りたのかと?借りてませんよ。そもそもで殿下は他人に貸すお金があれば賭博をするでしょうし、今頃は宮に支給されるお金もつっこんでいるのでは?妃殿下とお子様は気の毒だなと思いますが、あんな男を選んだのですから、そうですね、蓼食う虫も好き好き、そう思っております」
「そうか。では出所は他にあると言うんだな?」
「えぇ。ここにはもう何もありませんが輿入れ道具などを綺麗さっぱり売りました。必要最低限は残していますし、品を売って得たお金は全て推し活に使いたいと考えております。侯爵家のお金ではありませんのでご指摘を受ける事も御忠告をされる謂れも御座いません」
「その推し活、推しとはなんだ?よく判らないんだがそんな大金をメイリーン騎士に貢ぐと言う事か?」
「さぁ?それはフェルナンド・ピエロトロ様に教える事でもありませんので。あと20秒ほどです。そろそろお引き取りを」
「待ってくれ!推し活を教え――」
「タイムアップ!出口はそちらです。足元にお気をつけて」
けんもほろろな対応。
セレナの心が完全に離れた、いやもともと繋がりもなく構築をせねばならない時に突き放したのは自分だ。
フェルナンドはセレナの部屋から出ると自室に戻り、寝台に腰かけて考えた。
多数決で考えを決めた訳ではないけれど、セレナの言葉は執事の報告に添ったものだった。
==私はダグラスに騙されていたんだろうか==
騙す必要すらなかったはずなのに敢えて嘘を言ったり、騙そうとする意図が判らない。
夜が明けたら執事に聞こう。
もしかすると笑いあった従兄弟を失うかも知れない。
フェルナンドは悶々としたまま寝台に潜り込んだ。
その頃、セレナは…。
「くぅぅ~くぅぅ~…うにゃにゃ」
既に夢の中。滅茶苦茶寝つきが良かった。
「承知した。だが…明日の朝もどこかに行くんだろう?勝手を言って申し訳ないが話がしたいのは本当なんだ。湯は…2時間ほどか?その頃にまた来る」
「は?2時間も湯に入っていたら風邪をひきますよ?隣国の追い炊き可能な湯船じゃないんですから。私が湯殿を使う時間は10分です」
「じゅ10分。また10分か?」
「いけませんか?これでも2か月前の17分から短縮できたんですよ。シャンプーとコンディショナーが一緒になったものを使っていましたが、先日それに加えて体も洗えるという1本で3役熟す洗剤を買ったので短縮できたんです」
「解った。では30分後にまた来る」
「30分後…。解りました。ですが私、就寝時間は21時50分と決めていますので、話をしたいことを端的に纏めて来てください。現在21時07分です。30分後ですと13分しか…あっと8分になったので12分しかありません」
「細かいな…解った。善処しよう」
「善処ではなく、してください。では」
フェルナンドは廊下に出ると部屋には戻らずに扉にまた背を預け、30分が経過するのを待つ。
21時50分には就寝と言っていたが、1時間ほどなら付き合ってくれるだろう。そんな期待も胸に抱きながら30分を待ったのだった。
「よし、21時38分だ。行こう」
腕時計の時間を確認し、ノックをすれば扉は直ぐに開いた。
開いたのだが…。
「なんだ!?その格好は!」
「なんだと言われても。寝間着を兼用した寝具ですが」
ハッとして寝台のある区画に行ってみれば寝台はあった。但しそこに敷布もなければ掛布もない。
ベッドマットすらなかったのだ。
「シーツを買ったのですが背中が痛くて。これだ登山家も愛用している寝袋ですので床でも寝られるんです。洗濯物で一番大きくて費用が掛かったのがシーツなので重宝しているんです」
「ちょ、重宝って。それに床で寝る?侯爵夫人が?」
「あら?侯爵夫人である必要はない。どこかの誰かさんが仰いましたけど?」
チクリと嫌味も交えたがセレナとしてはシーツ1枚しかない敷布で背中が痛かったのは本当。しかし気持ちとして侯爵家の所有物である寝台を使って文句をいわれるのもな~っと使うのをやめた。
やるなら中途半端はいけない。徹底しなければならない。
家を出る事も考えなかった訳ではないが、結婚翌日から完全別居となれば周囲が五月蝿い。
丁度朝は6時前、夜は20時過ぎの帰宅になったので屋敷に滞在する時間は10時間ほど。これなら「恥をかかせる気か!」と、文句も言われないだろうと考えていた。
「すまない。失言だな」
「そうでもありませんよ?床は湿原ほど湿っていませんので。この時期は乾燥注意報も出てますしカラッカラです」
==そっちじゃない。どちらかと言えば君の対応が乾燥警報だ==
「お話は何でしょう?」
「実はダグラスが君に金を貸したと言っている。本当だろうか」
「嘘ですね。で?次は?」
「え・・・それだけ?」
「貸し借りはしていませんので。本当か嘘かなら嘘です。それ以上に何か御座いまして?」
「いや、いいんだ。で、騎士団に行っているのはその絵姿のメイリーン騎士に会うため?」
「そうですね。遠目からお姿を見る事も御座いますし、用件がある時はお話もします」
「なるほどな。それで、君は執事に金貨1000枚を渡したそうだが出所を聞いても?怪しんでいるわけじゃないんだ。金貨1000枚と言えば大金だ。この侯爵家の全使用人に割増しで給金を払っても2年分に匹敵する。こう言っては何だが持参金も無かったし…」
「殿下から借りたのかと?借りてませんよ。そもそもで殿下は他人に貸すお金があれば賭博をするでしょうし、今頃は宮に支給されるお金もつっこんでいるのでは?妃殿下とお子様は気の毒だなと思いますが、あんな男を選んだのですから、そうですね、蓼食う虫も好き好き、そう思っております」
「そうか。では出所は他にあると言うんだな?」
「えぇ。ここにはもう何もありませんが輿入れ道具などを綺麗さっぱり売りました。必要最低限は残していますし、品を売って得たお金は全て推し活に使いたいと考えております。侯爵家のお金ではありませんのでご指摘を受ける事も御忠告をされる謂れも御座いません」
「その推し活、推しとはなんだ?よく判らないんだがそんな大金をメイリーン騎士に貢ぐと言う事か?」
「さぁ?それはフェルナンド・ピエロトロ様に教える事でもありませんので。あと20秒ほどです。そろそろお引き取りを」
「待ってくれ!推し活を教え――」
「タイムアップ!出口はそちらです。足元にお気をつけて」
けんもほろろな対応。
セレナの心が完全に離れた、いやもともと繋がりもなく構築をせねばならない時に突き放したのは自分だ。
フェルナンドはセレナの部屋から出ると自室に戻り、寝台に腰かけて考えた。
多数決で考えを決めた訳ではないけれど、セレナの言葉は執事の報告に添ったものだった。
==私はダグラスに騙されていたんだろうか==
騙す必要すらなかったはずなのに敢えて嘘を言ったり、騙そうとする意図が判らない。
夜が明けたら執事に聞こう。
もしかすると笑いあった従兄弟を失うかも知れない。
フェルナンドは悶々としたまま寝台に潜り込んだ。
その頃、セレナは…。
「くぅぅ~くぅぅ~…うにゃにゃ」
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