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契約結婚を前提とした婚約
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本日は非常にどんよりとした空が広がる王都のお天気。
私、アドリアナ・カレドスとブラウリオ・パルカスの婚約式が御座いました。
「愛してもらえると思っているだろうが、残念だったな。この婚約だって渋々…両親の為にしてやったんだ。追い出されたくなかったら大人しくしていろ」
この言葉は婚約者となったブラウリオ様の口から私、アドリアナに向けられた言葉で御座います。
「愛されるなど微塵にも思っておりません。そういう約束の婚約です」
「このっ!」
パンッ!!
軽く返したら頬を打たれてしまいました。
――意味、解らないんだけど?――
そう思った私は間違っているのかしら?
★~★
所謂…政略結婚と申しますか、私のカレドス伯爵家は非常に貧乏。
この度領地で水害があり、資金繰りに困り奔走している中「訳アリ」で嫁探しに奔走しているパルカス侯爵家の利害が一致。
親公認の「契約結婚を前提とした婚約」と相成ったので御座います。
公認と申しますのは、パルカス侯爵家にはお子様がブラウリオ様しかおられません。侯爵夫妻が40歳を超えて初めて授かったお子様がブラウリオ様。
孫は可愛いと申します。
孫と言っても過言ではない御年で生まれたブラウリオ様はそれはそれは…目の中に入れても痛くないほど可愛い可愛いと育てられたのです。
しかし子供は何時までも子供ではなく、ある日ブラウリオ様は「この人と結婚をしたい」と1人の女性、ソフィーリア様と仰るのですが、侯爵夫妻の元に連れて来られました。
ソフィーリア様ご自身はガモンド伯爵家の令嬢と仰っておられますが、ガモンド伯爵家には令嬢はいないのです。
おかしいな~と思い、ちょっと調べてみたパルカス侯爵夫妻。
調べによればガモンド伯爵は後妻さんを迎えたのです。
その後妻さんの連れ子がソフィーリア様。
ここから少しややこしくてガモンド伯爵のご結婚は再婚同士のご結婚。しかしながらソフィーリア様の生みの母はガモンド伯爵の後妻さんではないのです。
前の結婚では男爵様と結婚をされていたようですが、その男爵が外で作った女に産ませた子供がソフィーリア様。市井で娼婦を生業とされていた女性がある日男爵家を訪れて「アンタが面倒見なさいよ」と赤子のソフィーリア様を置いて行ってしまったそうです。
自身の子供かも確認をしようにもそんな方法がある訳もなく、何一つ似ている部分もない赤子でしたが不貞をしたのも事実で教会に孤児として預けるのも忍びないと引き取ったそうですが、その後男爵は病死。
男爵家は確実に実子となる子供が生まれていなかったため、親族が引継ぎ2人は追い出されてしまったのです。その時、夫人は実家の子爵家に身を寄せましたが、目出度くガモンド伯爵家に後妻として迎え入られたのです。
ソフィーリア様を実家に置いていくことも出来ず一緒に連れて来たそうですけども、出自がこれ以上ないくらいに不明のソフィーリア様が養子縁組をしてもらえるはずもなく身分としてはソフィーリア様は平民なのです。
このヘルカオレ王国は結婚について身分違いだから認めない!とはしておらず比較的自由です。
しかしながら貴族には貴族の決まりと言うものが御座います。
【貴族でいたいのなら貴族と結婚をすること。但し再婚はその限りではない】
つまり、ブラウリオ様は貴族でいたいのならソフィーリア様と結婚をするのは誰かと一度結婚をして離縁し再婚で無ければならないという事です。
私にしてみればそこまで愛されているのなら、全てを失い平民落ちをしても添い遂げるべきだと思いますが、それはあくまでも私の考えですので強制はしません。
お子様がブラウリオ様しかおらず、パルカス侯爵夫妻は悩まれたのです。
このまま結婚をしなければブラウリオ様に嫡子はいない事になります。そうなれば家督は血族の誰かが継ぐ事になりますが、パルカス侯爵は非常~に兄弟仲が悪いことで有名なのです。
親族の誰にも家督は渡したくない。
でもブラウリオ様が望む相手と結婚をさせれば、ブラウリオ様は貴族籍を失う。イコール家督を誰かに渡さないといけない。
堂々巡りのジレンマ。悲痛ですわ。
そこで、資金繰りに奔走するカレドス伯爵をお知りになった。
千載一遇の大チャンスと思われたでしょう。
なんせ、私、アドリアナは所謂傷物令嬢なのですから。
私、アドリアナ・カレドスとブラウリオ・パルカスの婚約式が御座いました。
「愛してもらえると思っているだろうが、残念だったな。この婚約だって渋々…両親の為にしてやったんだ。追い出されたくなかったら大人しくしていろ」
この言葉は婚約者となったブラウリオ様の口から私、アドリアナに向けられた言葉で御座います。
「愛されるなど微塵にも思っておりません。そういう約束の婚約です」
「このっ!」
パンッ!!
軽く返したら頬を打たれてしまいました。
――意味、解らないんだけど?――
そう思った私は間違っているのかしら?
★~★
所謂…政略結婚と申しますか、私のカレドス伯爵家は非常に貧乏。
この度領地で水害があり、資金繰りに困り奔走している中「訳アリ」で嫁探しに奔走しているパルカス侯爵家の利害が一致。
親公認の「契約結婚を前提とした婚約」と相成ったので御座います。
公認と申しますのは、パルカス侯爵家にはお子様がブラウリオ様しかおられません。侯爵夫妻が40歳を超えて初めて授かったお子様がブラウリオ様。
孫は可愛いと申します。
孫と言っても過言ではない御年で生まれたブラウリオ様はそれはそれは…目の中に入れても痛くないほど可愛い可愛いと育てられたのです。
しかし子供は何時までも子供ではなく、ある日ブラウリオ様は「この人と結婚をしたい」と1人の女性、ソフィーリア様と仰るのですが、侯爵夫妻の元に連れて来られました。
ソフィーリア様ご自身はガモンド伯爵家の令嬢と仰っておられますが、ガモンド伯爵家には令嬢はいないのです。
おかしいな~と思い、ちょっと調べてみたパルカス侯爵夫妻。
調べによればガモンド伯爵は後妻さんを迎えたのです。
その後妻さんの連れ子がソフィーリア様。
ここから少しややこしくてガモンド伯爵のご結婚は再婚同士のご結婚。しかしながらソフィーリア様の生みの母はガモンド伯爵の後妻さんではないのです。
前の結婚では男爵様と結婚をされていたようですが、その男爵が外で作った女に産ませた子供がソフィーリア様。市井で娼婦を生業とされていた女性がある日男爵家を訪れて「アンタが面倒見なさいよ」と赤子のソフィーリア様を置いて行ってしまったそうです。
自身の子供かも確認をしようにもそんな方法がある訳もなく、何一つ似ている部分もない赤子でしたが不貞をしたのも事実で教会に孤児として預けるのも忍びないと引き取ったそうですが、その後男爵は病死。
男爵家は確実に実子となる子供が生まれていなかったため、親族が引継ぎ2人は追い出されてしまったのです。その時、夫人は実家の子爵家に身を寄せましたが、目出度くガモンド伯爵家に後妻として迎え入られたのです。
ソフィーリア様を実家に置いていくことも出来ず一緒に連れて来たそうですけども、出自がこれ以上ないくらいに不明のソフィーリア様が養子縁組をしてもらえるはずもなく身分としてはソフィーリア様は平民なのです。
このヘルカオレ王国は結婚について身分違いだから認めない!とはしておらず比較的自由です。
しかしながら貴族には貴族の決まりと言うものが御座います。
【貴族でいたいのなら貴族と結婚をすること。但し再婚はその限りではない】
つまり、ブラウリオ様は貴族でいたいのならソフィーリア様と結婚をするのは誰かと一度結婚をして離縁し再婚で無ければならないという事です。
私にしてみればそこまで愛されているのなら、全てを失い平民落ちをしても添い遂げるべきだと思いますが、それはあくまでも私の考えですので強制はしません。
お子様がブラウリオ様しかおらず、パルカス侯爵夫妻は悩まれたのです。
このまま結婚をしなければブラウリオ様に嫡子はいない事になります。そうなれば家督は血族の誰かが継ぐ事になりますが、パルカス侯爵は非常~に兄弟仲が悪いことで有名なのです。
親族の誰にも家督は渡したくない。
でもブラウリオ様が望む相手と結婚をさせれば、ブラウリオ様は貴族籍を失う。イコール家督を誰かに渡さないといけない。
堂々巡りのジレンマ。悲痛ですわ。
そこで、資金繰りに奔走するカレドス伯爵をお知りになった。
千載一遇の大チャンスと思われたでしょう。
なんせ、私、アドリアナは所謂傷物令嬢なのですから。
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