12 / 24
第12話 運命の夜会~初見ですよね?~
しおりを挟む
国王の生誕祭が開かれる日。その日は朝からどの家も大忙しだった。
堅苦しい国王や重鎮の有難い話を聞くのは午前中に登城する当主たち。
3時間に及ぶスペクタクルな演説を直立不動の姿勢で聞き、ガチガチになった体に鞭打って一旦屋敷に戻ればそこは戦場。妻や娘、時に子息が「髪を結って!」「飾りがズレてる!」と大騒ぎ。
当主一家を馬車に乗せ、送り出したあと使用人達は真っ白な灰になって燃え尽きる。
モルス伯爵家は次期当主の長兄は帰国しておらず、次兄は警備に当たっているためクラリッサのエスコートは母の従弟で小父のハワード。男爵家なので参加資格はなかったが今回はクラリッサのエスコート役に抜擢された。
ハワードはサヴェッジ侯爵家からの依頼で、木をおがくず状態にしてそこにしいたけの菌糸を混ぜて培養する役割を担ってくれている。
「ハワード小父さま。奥様の具合はどう?」
「凄いぞ。胸から放射状にビビビ―って!!神秘だよなぁ」
「それ、デリカシーマイナスに振り切ってるわ」
「やっぱり?ベスにもそう言われるんだけどな」
ハワードの妻であるベスは2カ月前に第4子を出産したばかり。なんと18年ぶりの出産だった。上の子供も手が離れたし♡と仲良くしてみればデキてしまったのだ。
産後1週間程は母乳が出ないと悩んでいたが今では製造するピッチが速いのか乳の出が悪い同じ月齢の子供3人に分け与えてもまだ余る。
「もうさぁ、めっちゃ可愛いんだよ。年取って出来た子は可愛いって本当だな。この子の為ならなんでも出来るって思えるよ」
ハワードは生まれた子供が可愛いくて堪らず、昼は仕事をして夜は率先して育児をする。夜中の授乳は妻のベスが行うがオムツを交換したり、愚図ればあやしたりと楽しんでいるようだ。
入場の順番まであと少しだが、夜会の時間は限られている。入場前の時間もただ待っているだけではもったいないとクラリッサは友人の令嬢達と打ち合わせをした通り、ハワードを「囲い布」を製造している商会を経営している友人の夫に引き合わせた。
その時、友人の首元には豪華なネックレスが光っていた。
「わぁ、凄い」クラリッサは感嘆の声を出した。
「えへっ。メアリーの店に掘り出し物があるって聞いて。28万だったんだけど結婚1周年だからって♡夫が買ってくれたの」
質流れ品を妻に買い与えるなんてと批難する者もいるだろうが、定価なら間違いなく手も足も出ない品。友人だから商売抜きで買い取り価格で売ってくれるだけで、メアリーの家が出している店で一般用に陳列されれば200万は下らない。
下手をすればメアリーを利用してせどりをすればひと財産築ける。それをしないのも友人だから。
石を嵌めこんだ台座は入れ替えているがそれは見事な宝石が胸元で輝いていた。
シイタケ栽培をするのに培養させた菌糸を原木に埋め込み、原木の中で成長させるには棒積みという工程が必要。木を積み上げて培養するのだが、布などで覆っておく必要があるのだ。
消耗品でもある布であっても、かなり大きな広さ、そして耐久性も求められる。改良もしてもらえると尚有難い。
友人の夫とハワードは初見だがお互いの事業内容は知っている。好感触だった。
「初めまして。お会いしたいと思っていたんです。今日はお会いできて光栄です」
「こちらこそご用命頂けるとの事、小さな商会ですが精一杯――」
友人の夫にハワードを紹介し、ハワードと友人の夫が握手を交わそうとした時、後方でちょっとした騒ぎが起こった。
「何かしら」
騒ぎの方を見てみるが入場の扉からは離れているものの既に人だかりが出来ていて背伸びをしても見えるのは誰かの後頭部ばかり。その時クラリッサのよく知る声が耳に飛び込んできた。
「ですから!貴方の勘違いだと言っているのです!」
友人も同じ事を思ったようでクラリッサと顔を見合わせた。声を荒げている女性は共通の友人レーナ。水の濾過設備を事業所などに工事する事業をしていて、このあと間に1人挟んでハワードを顔合わせする予定だった。
近寄って行くとレーナの夫の声も聞こえる。
「失敬だろう!難癖をつけるのもほどほどにしたまえッ!」
「なんだと!!」
――え?この声って――
人の輪を掻き分けて中心部に進むと、そこにいたのは胸ぐらを掴まれたのかボタンが取れて胸元がはだけたシャツを着たレーナの夫。足元にはリボンタイが落ちていた。そして美しく結い上げられていたであろう髪が敗走する兵士のようにザンバラになった無残な姿のレーナ。
その向かいには・・・。
――エミリオ!!どうしてこんな事を!!――
ハッとするがエミリオは駆け付けてきたクラリッサと友人を視界に入れると「お前もかぁ!!」
鬼の形相で友人に掴みかかろうとするエミリオの前にクラリッサは体を割り込ませた。
「何をしてるの!こんな祝いの場で!」
「誰かと思ったら首謀者のクラリッサじゃないか」
「首謀者?なんのこと?」
サッパリ意味が解らない。何の事だと思っているとエミリオは周囲を取り囲む貴族達に向かって大声を上げた。
「みなさーん!この女は俺の相続するはずだった領地を盗み取るだけじゃなく、嫉妬に駆られてこうやって友人を使って平民の女性から宝飾品を取り上げ、戦利品の如く!!仲間内で分け合ってこの場に身につけてくる不届き者ですよー!!手癖が恐ろしく悪いので盗まれないように気を付けてくださーい!!」
「何を言ってるの!失礼なことを言わないで!」
「失礼だって?失礼なのはソッチだろう。金がないのは解るが、だからと言って平民の持ち物を・・・俺のファルマの持ち物を根こそぎブン取るのは良い事なのか?失礼以前に犯罪じゃないのか?」
「何を言ってるか全く解らないわ。言い掛かりも大概にした方が良いわ」
「言い掛かりだと?言っておくがその女の髪飾り!それは俺がファルマに贈った物だ!そしてその女がしているネックレス!それも俺がファルマに買ってやったものだ!台座を変えて誤魔化しているが間違いないッ!」
「間違ってるのはアナタの頭の中の認識よ!首謀者だのなんだの。挙句にまるで盗人のような物言い。失礼にも程があるわ」
「言うじゃねぇか。昔っから気に食わなかったんだよ。保険の役目も出来ない役立たずが。お前のせいで!!俺は相続するはずだった宝の山、領地を失ったんだ。それに飽き足らず…ホント、ガメつい女は言う事が違うぜ。ま、ここへもお一人様とは憐れだな。尤もお前みたいな女、連れて歩くのも恥だがな!」
「ガメっ…!!大きなお世話!そっちこそ破落戸かと思ったわ。ここは貴族が来る場所よ。出直して来たらどうなの」
売り言葉に買い言葉。レーナ夫婦からエミリオの気が逸れたのは僥倖。矛先は完全にクラリッサに向いた。声を荒げてしまったが、破落戸と言われたエミリオは更に激昂し拳を振り上げて殴りかかって来た。
――不味いっ!殴られるっ――
クラリッサはギュッと目を閉じたが体は動かせない。動いてしまえばエミリオの振り被った手は友人に当たってしまう。そう思うと動けなかった。
が…痛みは何時まで経ってもやってこないばかりでなく「遅くなってすまない」と優しい声がしたと思ったら「痛い!」悲鳴を上げたのはエミリオだった。
「私の連れに何をしようと?」
――連れ??え?ハワード小父様何時の間にそんなイケメンに?――
エミリオの腕を掴み、サッと後ろ手に捕縛するように抑え込んだのは目も覚めるような美丈夫。「連れ」と言われて周囲を見渡す。
「私?」と自分を指差すとエミリオを抑えつけたまま美丈夫はクラリッサに微笑んだ。
――貴方、誰?初見ですよね?――
微笑まれる理由も、その美丈夫が誰なのかもクラリッサには判らなかった。
堅苦しい国王や重鎮の有難い話を聞くのは午前中に登城する当主たち。
3時間に及ぶスペクタクルな演説を直立不動の姿勢で聞き、ガチガチになった体に鞭打って一旦屋敷に戻ればそこは戦場。妻や娘、時に子息が「髪を結って!」「飾りがズレてる!」と大騒ぎ。
当主一家を馬車に乗せ、送り出したあと使用人達は真っ白な灰になって燃え尽きる。
モルス伯爵家は次期当主の長兄は帰国しておらず、次兄は警備に当たっているためクラリッサのエスコートは母の従弟で小父のハワード。男爵家なので参加資格はなかったが今回はクラリッサのエスコート役に抜擢された。
ハワードはサヴェッジ侯爵家からの依頼で、木をおがくず状態にしてそこにしいたけの菌糸を混ぜて培養する役割を担ってくれている。
「ハワード小父さま。奥様の具合はどう?」
「凄いぞ。胸から放射状にビビビ―って!!神秘だよなぁ」
「それ、デリカシーマイナスに振り切ってるわ」
「やっぱり?ベスにもそう言われるんだけどな」
ハワードの妻であるベスは2カ月前に第4子を出産したばかり。なんと18年ぶりの出産だった。上の子供も手が離れたし♡と仲良くしてみればデキてしまったのだ。
産後1週間程は母乳が出ないと悩んでいたが今では製造するピッチが速いのか乳の出が悪い同じ月齢の子供3人に分け与えてもまだ余る。
「もうさぁ、めっちゃ可愛いんだよ。年取って出来た子は可愛いって本当だな。この子の為ならなんでも出来るって思えるよ」
ハワードは生まれた子供が可愛いくて堪らず、昼は仕事をして夜は率先して育児をする。夜中の授乳は妻のベスが行うがオムツを交換したり、愚図ればあやしたりと楽しんでいるようだ。
入場の順番まであと少しだが、夜会の時間は限られている。入場前の時間もただ待っているだけではもったいないとクラリッサは友人の令嬢達と打ち合わせをした通り、ハワードを「囲い布」を製造している商会を経営している友人の夫に引き合わせた。
その時、友人の首元には豪華なネックレスが光っていた。
「わぁ、凄い」クラリッサは感嘆の声を出した。
「えへっ。メアリーの店に掘り出し物があるって聞いて。28万だったんだけど結婚1周年だからって♡夫が買ってくれたの」
質流れ品を妻に買い与えるなんてと批難する者もいるだろうが、定価なら間違いなく手も足も出ない品。友人だから商売抜きで買い取り価格で売ってくれるだけで、メアリーの家が出している店で一般用に陳列されれば200万は下らない。
下手をすればメアリーを利用してせどりをすればひと財産築ける。それをしないのも友人だから。
石を嵌めこんだ台座は入れ替えているがそれは見事な宝石が胸元で輝いていた。
シイタケ栽培をするのに培養させた菌糸を原木に埋め込み、原木の中で成長させるには棒積みという工程が必要。木を積み上げて培養するのだが、布などで覆っておく必要があるのだ。
消耗品でもある布であっても、かなり大きな広さ、そして耐久性も求められる。改良もしてもらえると尚有難い。
友人の夫とハワードは初見だがお互いの事業内容は知っている。好感触だった。
「初めまして。お会いしたいと思っていたんです。今日はお会いできて光栄です」
「こちらこそご用命頂けるとの事、小さな商会ですが精一杯――」
友人の夫にハワードを紹介し、ハワードと友人の夫が握手を交わそうとした時、後方でちょっとした騒ぎが起こった。
「何かしら」
騒ぎの方を見てみるが入場の扉からは離れているものの既に人だかりが出来ていて背伸びをしても見えるのは誰かの後頭部ばかり。その時クラリッサのよく知る声が耳に飛び込んできた。
「ですから!貴方の勘違いだと言っているのです!」
友人も同じ事を思ったようでクラリッサと顔を見合わせた。声を荒げている女性は共通の友人レーナ。水の濾過設備を事業所などに工事する事業をしていて、このあと間に1人挟んでハワードを顔合わせする予定だった。
近寄って行くとレーナの夫の声も聞こえる。
「失敬だろう!難癖をつけるのもほどほどにしたまえッ!」
「なんだと!!」
――え?この声って――
人の輪を掻き分けて中心部に進むと、そこにいたのは胸ぐらを掴まれたのかボタンが取れて胸元がはだけたシャツを着たレーナの夫。足元にはリボンタイが落ちていた。そして美しく結い上げられていたであろう髪が敗走する兵士のようにザンバラになった無残な姿のレーナ。
その向かいには・・・。
――エミリオ!!どうしてこんな事を!!――
ハッとするがエミリオは駆け付けてきたクラリッサと友人を視界に入れると「お前もかぁ!!」
鬼の形相で友人に掴みかかろうとするエミリオの前にクラリッサは体を割り込ませた。
「何をしてるの!こんな祝いの場で!」
「誰かと思ったら首謀者のクラリッサじゃないか」
「首謀者?なんのこと?」
サッパリ意味が解らない。何の事だと思っているとエミリオは周囲を取り囲む貴族達に向かって大声を上げた。
「みなさーん!この女は俺の相続するはずだった領地を盗み取るだけじゃなく、嫉妬に駆られてこうやって友人を使って平民の女性から宝飾品を取り上げ、戦利品の如く!!仲間内で分け合ってこの場に身につけてくる不届き者ですよー!!手癖が恐ろしく悪いので盗まれないように気を付けてくださーい!!」
「何を言ってるの!失礼なことを言わないで!」
「失礼だって?失礼なのはソッチだろう。金がないのは解るが、だからと言って平民の持ち物を・・・俺のファルマの持ち物を根こそぎブン取るのは良い事なのか?失礼以前に犯罪じゃないのか?」
「何を言ってるか全く解らないわ。言い掛かりも大概にした方が良いわ」
「言い掛かりだと?言っておくがその女の髪飾り!それは俺がファルマに贈った物だ!そしてその女がしているネックレス!それも俺がファルマに買ってやったものだ!台座を変えて誤魔化しているが間違いないッ!」
「間違ってるのはアナタの頭の中の認識よ!首謀者だのなんだの。挙句にまるで盗人のような物言い。失礼にも程があるわ」
「言うじゃねぇか。昔っから気に食わなかったんだよ。保険の役目も出来ない役立たずが。お前のせいで!!俺は相続するはずだった宝の山、領地を失ったんだ。それに飽き足らず…ホント、ガメつい女は言う事が違うぜ。ま、ここへもお一人様とは憐れだな。尤もお前みたいな女、連れて歩くのも恥だがな!」
「ガメっ…!!大きなお世話!そっちこそ破落戸かと思ったわ。ここは貴族が来る場所よ。出直して来たらどうなの」
売り言葉に買い言葉。レーナ夫婦からエミリオの気が逸れたのは僥倖。矛先は完全にクラリッサに向いた。声を荒げてしまったが、破落戸と言われたエミリオは更に激昂し拳を振り上げて殴りかかって来た。
――不味いっ!殴られるっ――
クラリッサはギュッと目を閉じたが体は動かせない。動いてしまえばエミリオの振り被った手は友人に当たってしまう。そう思うと動けなかった。
が…痛みは何時まで経ってもやってこないばかりでなく「遅くなってすまない」と優しい声がしたと思ったら「痛い!」悲鳴を上げたのはエミリオだった。
「私の連れに何をしようと?」
――連れ??え?ハワード小父様何時の間にそんなイケメンに?――
エミリオの腕を掴み、サッと後ろ手に捕縛するように抑え込んだのは目も覚めるような美丈夫。「連れ」と言われて周囲を見渡す。
「私?」と自分を指差すとエミリオを抑えつけたまま美丈夫はクラリッサに微笑んだ。
――貴方、誰?初見ですよね?――
微笑まれる理由も、その美丈夫が誰なのかもクラリッサには判らなかった。
2,748
あなたにおすすめの小説
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
【完結済】結婚式の夜、突然豹変した夫に白い結婚を言い渡されました
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
オールディス侯爵家の娘ティファナは、王太子の婚約者となるべく厳しい教育を耐え抜いてきたが、残念ながら王太子は別の令嬢との婚約が決まってしまった。
その後ティファナは、ヘイワード公爵家のラウルと婚約する。
しかし幼い頃からの顔見知りであるにも関わらず、馬が合わずになかなか親しくなれない二人。いつまでもよそよそしいラウルではあったが、それでもティファナは努力し、どうにかラウルとの距離を縮めていった。
ようやく婚約者らしくなれたと思ったものの、結婚式当日のラウルの様子がおかしい。ティファナに対して突然冷たい態度をとるそっけない彼に疑問を抱きつつも、式は滞りなく終了。しかしその夜、初夜を迎えるはずの寝室で、ラウルはティファナを冷たい目で睨みつけ、こう言った。「この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることはない。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。時が来れば、離縁しよう」
一体なぜラウルが豹変してしまったのか分からず、悩み続けるティファナ。そんなティファナを心配するそぶりを見せる義妹のサリア。やがてティファナはサリアから衝撃的な事実を知らされることになる──────
※※腹立つ登場人物だらけになっております。溺愛ハッピーエンドを迎えますが、それまでがドロドロ愛憎劇風です。心に優しい物語では決してありませんので、苦手な方はご遠慮ください。
※※不貞行為の描写があります※※
※この作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
【完結】 「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります
廻り
恋愛
羊獣人の伯爵令嬢リーゼル18歳には、双子の兄がいた。
二人が成人を迎えた誕生日の翌日、その兄が突如、行方不明に。
リーゼルはやむを得ず兄のふりをして、皇宮の官吏となる。
叙任式をきっかけに、リーゼルは皇帝陛下の目にとまり、彼の侍従となるが。
皇帝ディートリヒは、リーゼルに対する重大な悩みを抱えているようで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる